ペターの城門カイマンズゲートの閉鎖を告げた鐘塔の鐘
ペターのメインストリートには、ポルトガルがコーッテー王国内に建設した教会の鐘が佇んでいます。
オランダ統治時代のペターはオランダ人居住区であり、運河とベイラ湖と海に囲まれた島でした。
ペターのメインゲートは、東の城門「カイマンズゲート(Kayman’s Gate)で、毎夕の城門の閉鎖時刻を告げる鐘が設置されていました。
イギリス統治時代に城壁が取り壊され、運河は埋め立てられましたが、オランダ統治時代を偲ばせるのがカイマンズゲートの鐘です。
本記事では、カイマンズゲートについて紹介します。
カイマンズゲートとは?
カイマンズゲートは、ペターのメインストリート沿いにあります。
ポルトガルのコロンボ要塞は現在のコロンボフォートとペターにまたがっていて、東のメインゲートがここにありました。
東西に長い形をしたポルトガルのコロンボ要塞のメインストリートが、現在のペターのメインストリートであり、その東端に「女王の門(Porta Reinha)」がありました。門から東側は運河をまたぐ跳ね橋が設置されていたと言われています。
カイマンズの名前はオランダ語のワニを意味する「kaaiman」に由来します。
ポルトガルに代わってコロンボを支配したオランダ東インド会社は、ペター地区を住宅街としました。
住宅街の住人が残飯などを城門から運河に投げ捨てたことで、ヌマワニが餌を求めて集まったことから「カイマンズゲート(ワニの門)」と呼ばれました。
城門は夕方に毎日閉鎖され、その閉鎖の時刻を告げるために鐘塔が建てられました。
鐘塔の鐘は、ポルトガルがコーッテー王国内に建設した「アッシジのフランチェスコ教会」の廃墟の中から発見されました。
1564年にコーッテーはシーターワカ王国によって占領され、同盟国だったポルトガルはコーッテーを放棄、教会は廃墟となっていました。
イギリスがコロンボを支配し、イギリスは都市開発のためにペターの城門を取り壊しました。
役目を終えたカイマンズゲートの鐘は、跳ね橋を渡った丘の上に建つオランダ教会「ウェルベンダール教会」が管理するようになったそうです。
運河を埋め立てたセント・ジョンズ・ロード
現在のセント・ジョンズ・ロードは、ポルトガル時代・オランダ時代は運河でセント・ジョンズ・リバーと呼ばれていました。
イギリスは運河を埋め立て、セント・ジョンズ・ロードと名付けました。
城壁の形をした5thストリート
ペターは南北に走る道が東から「フロントストリート」「1stクロスストリート」「2ndクロスストリート」「3rdクロスストリート」「4ストリート」「5thストリート」となっていますが、5thは”クロス”とついておらず、キーザーストリートとの交差点は稜堡のような形をしています。
おそらくイギリスが取り壊したペターの城壁は5thストリートの辺りにあったと思われます。
ペター城壁の稜堡は東向きで3つありましたが、北の稜堡がセントジョーンズロードの北にあるペターゴールドマーケット(旧フィッシュマーケット)があるあたりに、中央の稜堡がタウンホール南の上の地図のあたり、そして、南の稜堡が菩提樹がある辺りにあったと思われます。
稜堡を意味する英語「Bastian」と、通りを意味する「Mawatha」と名前のついた道が、ベイラ湖の北端沿いを走っていますが、その道の西の端が南向きの稜堡(現在のオルコット・マワサとフロント・ストリートの交差辺り)にぶつかっていたので、その名が付いたのだと思います。
ペターの東西の通りは北からバンクシャル・ストリート(バンクシャルはヒンディー語で倉庫を意味する)、メイン・ストリート(かつでのキングス・ストリート)、キーザー・ストリート(オランダ語で皇帝を意味するカイザーに由来)、プリンス・ストリート、マリバン・ストリートと名前がついています。
参考)
Amazing Lanka:Kayman’s Gate Bell Tower of Colombo Fort
Wikipedia:Kayman’s Gate
The Forgotten Fort Of Colombo
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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