自然豊かなオーガニックファームに泊まる「アンバ農園(AMBA Estate)」体験レポート!
「エッラにきた際の必須の訪問先の一つがAMBA Estate(アンバ農園)です。ティーテイスティングは体験していないのでしたら、是非行ってみてください!」
と、エッラでレストラン「AK Ristoro」を経営するAkaneさんにお勧めされる。
セイロンティー生誕150周年の取材で、スリランカ紅茶局のチェアマンに紹介してもらって訪れたのは3年半前の2007年2月。
高品質少量の紅茶を欧米のラグジュアリーマーケット向けに販売し、現地では欧米の富裕層向けのアグリツーリズムを行い、収益性の高いビジネスで現地に条件の良い雇用を生み出しつつ、環境と健康に良いものを生産するプロセスを構築していることに感銘を受けた取材先であった。
それからスパイスアップの取材記事を見てアンバ農園を訪れた人は多く、代表のサイモンさんからは歓迎するのでいつでも来てほしいと言われていた。
ずっといきたいと思いながら、ようやくエッラに行く予定を立てたものの、まだ訪れていない場所の取材で予定が埋まってしまい、アンバ農園に行くかを迷っていた僕をAkaneさんの一言が背中を押してくれた。
ただ、空いている日程は国会議員選挙の日での2020年8月5日のみ。
当然、茶園や工場はお休みで取材日としては適切ではない。
しかも、翌日は早朝に出発しないといけないスケジュールで十分に時間もない。
とはいえ、エッラに来ていながらサイモンさんに何も連絡しないもあれだなと思い、電話してみるも国外にいるというメッセージが流れる。
やはり、改めて時間を作って次の機会に訪れようかと思いながらサイモンさんにメールを打つ。
しばらくして返信があり、「現地のディレクターとマネージャーに連絡しておくから今日でも明日でも、来れるなら来て!」との言葉に、再度の訪問を決めた。
すぐ来ようと思いながら、3年半という時間を過ぎてしまったのだから行くなら今だ!と。
目次
スリランカタイム
アンバ農園では毎日11時からツアーを行っていて、平日であればハンドロールで作る工場や茶摘みをする様子も見られる。
お休みの日は農園の説明、農園の見学、ティーテイスティングとなる。
サイモンさんからは「11時に来てもらえればツアーがあるし、今はコロナの影響でお客さんがいないから他の時間でも対応できます。」とメールをもらい、「それであれば11時に行きます!」とアンバ農園のディレクター陣、マネージャー陣もCCに入っているメールに返信して予定が確定。
選挙の日なのに本当に大丈夫なのかな〜と思いながら、取材で前泊するChill Ville View Point Hotelへのチェックイン時に明日は10時前に出発する旨を伝えるも、今はフルボードでの予約のみ受付だという。
今はもう午後3時半過ぎで、ランチは先ほどエッラの町で食べてきてしまった。
翌朝、ランチボックスを作るからそれをお持ち帰りくださいとのこと。
ホテルではよくある対応である。
Chill Ville View Point Hotelまで連れてきてくれたトゥクトゥクドライバーが良かったので、彼にランチボックスをあげることにして、翌朝ランチボックスを受け取り、エッラの東の郊外にあるホテルから、エッラを通過して、エッラの南の郊外にあるアンバ農園に向かう。
Chill Ville View Point Hotelをもう少し取材したい気持ちと、早くアンバ農園に取材に行きたい気持ちが葛藤し、10時前に出発の予定が10時になってしまった。
そんなことは知らないドライバーさんは、途中でガソリン補給で1回停車。
そのあと、ヒンドゥー教の祠でお参りのためにもう一度停車。
そして、友達たちとばったりあって、ちょっとしたおしゃべりのためにもう一度停車。
「到着が10分ほど遅れそうです。」とアンバ農園のマネージャーのカルナさんに途中で電話を入れて、アンバ農園に着いたのは11時10分過ぎ。
なんとかギリギリ予定通りかなと思ったら、出迎えてくれたカルナさんから一言。
「今、ツアーガイドをするネータンジャナは選挙に行っているからツアーは午後1時か2時頃から行います。」
やっぱりそうだよね!笑
つい焦って来てしまった自分を反省する。
やっぱりスリランカでは自分の予定、気分を優先するのが正しい。
わざわざエッラまで来たので、色々取材しようと欲張っていた自分を見直す。
山奥のアンバ農園に来たことで、他に取材の予定は入れないので、必然的にゆっくり過ごすことになる。
ウェルカムドリンクはレモングラス
2017年2月に訪れた際に入口にあったラインハウス(茶園の労働者の家)だったものが綺麗にリノベーションされ、紅茶やコーヒー、スパイスを販売するオシャレなショップとダイニングに変わり、「AMBA Estate」と看板が掲げられていた。
その隣の建物も改装されいて客室になっていた。
以前訪れた際にオフィス 兼 ショップとなっていた部屋は完全にオフィスにスペースになっているようである。
今回宿泊するのは離れのCoves Houseというところだという。
Coves Houseにいくと、ディレクターのチャールズさんとオルズさんと子どもたち、スポンサーのシンディーさんとその子どもたちが迎え入れてくれた。
アンバ農園はコンサルティングファームのプロジェクトで一緒に働いていたイギリス人、アメリカ人、ウズベキスタン人、カナダ人の4人が2006年に始めた農園だ。
2017年2月に訪れた時は代表者であるイギリス人のサイモンさんに話を聞いた。
ディレクターのアメリカ人のチャールズさんと、ウズベキスタン人のオルズさんは夫婦。
シンディーさんはアンバ農園のスポンサーらしい。
それぞれが子どもたちの相手をしながら仕事をしている空間に僕は座り、そこにキッチンスタッフがウェルカムドリンクとケーキを持って来てくれた。
僕が座ったのはCoves Houseのダイニングで、隣接した建物を覗くとキッチンが見えた。
ウェルカムドリンクのレモングラスも、ケーキもとても美味しい。
アンバ農園をググると、英語で書かれた記事が出てきた。
その記事によれば、高品質な作物を幅広く作っているのが、その中でも紅茶とレモングラスがベスト!と書いてある。
レモングラスがより美味しく感じた。
ラグジュアリー感のある客室
Coves Houseはダイニングを挟んで2つの建物があり、一階にキッチンがある方の建物にチャールズさんファミリー、シンディーさんファミリーが滞在していて、僕にはもう一つの建物の一階の部屋が割り当てられた。
前回の訪問時は客室が満室で泊まることができず、部屋の様子もみることができなかったのである。
当時は近くにあるMorning Mist Guesthouseに何とか1室空きがあり、泊まることができた。
そこに泊まっている人たちもアンバ農園を訪れており、アンバ農園の人気を肌で感じていたので、3年半越しに泊まることができる喜びを部屋に向かいながら改めて噛み締めた。
客室にはスパイスが入った小さな瓶が取り付けられた可愛い鍵がかかっていて、これまた可愛いベルが設置されている。
客室の中は広く開放的で、山奥の農園にあるとは思えないオシャレさだ。
そうだ、アンバ農園はラグジュアリーなファームステイ先として知られている存在であった!と思い出す。
窓から見える緑がとても綺麗。
ベランダからは山々も見え、リゾート感がある。
バスルームも広い上に、しっかりとホットウォーターが出るのが、当たり前とも言えますが安心する。
ベット脇の背の低い棚にインテリアや建築などのオシャレなコーヒーテーブルブックがいくつも置いてある。
感度の高い人向けにはこういう本がいいのだな!と思ったりした。
クローゼットにはファイルが2つ置いてあり、一つのファイルには周囲のトレイルコースを紹介する地図と案内が書かれたカードが何枚も入っている。
これは冒険心がくすぐられる。
そういえば、以前訪れた際にMorning Mist Guesthouseに泊まっていた人たちからトレイルコースの話を聞いたことを思い出しました。
ゆったりした滞在になりそうと思っていたのが一点、全てのトレイルを回りたいが、おそらく行けるのは時間的に2つだけ。
どのルートにするのかが悩ましい。
2〜3泊以上をお勧めしていると3年半前にサイモンさんから聞いた話に、トレイルマップを見て納得する。
もう一つのファイルには各メディアで取り上げられたアンバ農園の記事がファイリングされていて、かなりの分厚さ。
かなりの数の取材を受けていることが分かる。
スパイスアップの2017年5月号の記事もファイリングされているのが嬉しい。
衝撃的に美味しいロティのランチ
ランチはショップが併設されているダイニングに用意するとのことで、そちらに向かう。
ランチは6つメニューがあったが一番上のカボチャのスープ、ココナッツロティ、ココナッツサンボルを選んだ。
そして、これが正解だった。
これまで食べたロティの中で一番美味しい、断トツである。
こんなに歯応えが良くて美味しいロティは他では未体験だ。
何もつけずにロティだけで楽しめる。
アンバ農園で育てた果物とスパイスで作ったジャムが2種類添えられていて、それをつけて食べるのもまた美味しい。
この時点でジャムをお土産に買うことが決定した!
ランチを食べていたら、メインバンガローに泊まっているという韓国人女性がやってきた。
紅茶の勉強をされていて、アンバ農園に数日間滞在しているとのこと。
選挙の投票が実際に行われている様子が見たい!とスタッフにリクエストして、迎えに来てもらうを待っているらしい。
飲み物はコーヒーが出た。
パン・ローストッデ・コーヒーもアンバ農園の売りの一つだ。
そうこうしているうちに、ガイドをしてくれるプロダクションマネージャーのネータンジャナが占拠から帰ってきた。
農園&紅茶試飲ツアー
スリランカの紅茶産業
ツアーはまずスリランカの紅茶産業の説明から始まる。
スリランカは紅茶栽培に適した気候のため、かつては世界一位の生産高を誇った。
現在はインド、中国、ケニアと国土の大きい国々の次ぐ、4番目の生産高だ。
と説明したものの、ネータンジャナによれば生産高が4番目に落ちたのは面積ではなく労働者の数だという。
スリランカの紅茶産業が隆盛したのは、最適な気候にイギリス人たちが当時の最先端の製造マシーンと、南インドから大量の労働者を持ち込んだことによる。
気候、生産プロセス、労働力の3つが揃えば、マスプロダクションが可能。
しかし、スリランカでは農園を離れて都会で働こうとする人々が増えているという。
強制的な労働から始まった紅茶産業で働くことはたしかに魅力的でもなければ、サスティナブルでもない。
そこでアンバ農園が行っているのが、誇りを持って働ける稼げる高品質少量生産の農園&工場だ。
紅茶は一般的に一芽三葉、高級なホワイトティー(ゴールデンティップ、シルバーティップ)は一芽二葉だが、アンバ農園では最高級のお茶は一芽一葉で、その他のお茶は一芽二葉で作っているという。
そのため、収穫できる量には限りがある。
また、茶の木だけを受けているわけではなく、様々な樹木の中で育てているため、一斉に茶の葉を収穫するような効率的な作付けにもなっていない。
しかし、これが高品質な紅茶の生産を支える土台になり、農園に高い収益をもたらしている。
農園で働く人たちへの固定給は他の農園の数倍以上であり、加えて、ゲストハウスやショップでの売上(収益ではなく売上)の10%をボーナスとして入る仕組みだ。
アンバ農園で働くことで、生まれ育った土地を離れることなく、稼げて貯金できるのだ。
森のような農園を見学
綺麗に整えられた農園に出る。
他の場所で茶園を見たことがある人であれば、その景色の違いに驚くだろう。
他の茶園では茶の木が整然と整えられた茶の木の絨毯が目に飛び込んでくる。
しかし、ここにあるのはジャングルだ。
様々な木々が生えていて、その森の中に茶の木がある。
まず紅茶の木の種類の説明を受ける。
インドで多く生産されている種類と、中国から伝わった古い種類の2つがある。
葉っぱの大きさや色が異なる。
コーヒーの実がなっているのも見られる。
さらにしばらく進むと、切り立った崖が見下ろせる場所にシナモンなどがなっている。
ここは3年半前にも案内してもらったことを思い出す。
世界遺産「スリランカの中央高地」にも登録されているナックルズ山脈から流れてくる冷たい空気と、東海岸のアルガムベイ、南海岸のハンバントータから流れてくる暖かい空気が混ざり合うのが、ここ、Ambadandegamaの谷だと言う。
この混ざり合った空気が農作物にあって、とても良い環境だという。
マシーンがない小さな工場の見学
今日はお休みだが、内部を見せてもらった。
こちらも他の紅茶工場を見たことがある人であれば驚くだろう。
巨大な機械がなく、ここでは手でお茶を作っている。
フォトジェニックなティーテイステイング
ここまで色鮮やかにお茶を並べてくるところは他にはないのではないか?
よくあるティーテイスティングは白いカップが並べられ、そこに茶葉とお茶が並ぶ。
僕の1番のお気に入りはスパイスチャイだ。
こんなにスパイスが強烈な紅茶は飲んだことがない。
そして、そのスパイスは嫌味でないので、この強さがクセになる。
皆さんもぜひ、お気に入りのお茶を探してもらいたい。
冒険心をくすぐるトレイルコース
川にできた天然のプール
アンバ農園の数あるトレイルの中でも、訪れた人からよく聞くのは川にできた天然のプールの話だ。
午後4時近いので、寒くなる前に川に入らねば!と、まずはプールを目指す。
トレイルコースは途中の岩に矢印が描かれてはいるが、地図を確認しながら進まないと、途中で道が分からなくなる。
まずは川に向かってひたすら下り坂だ。
天然のプールに到着すると、現地の男の子たちが水浴びをしていた。
一人は石鹸を使って、頭から足先まで洗って、プールにジャンプイン。
男子しかいないので、木陰で水着に着替えてプールへ!
上流側は小さな滝になっていて、滝側に行くと急に深くなることを男の子たちが教えてくれた。
滝の上に行くとウォータースライダーのようになっていて面白い。
ゆっくりと川で泳げるなんて贅沢だな〜と思っていると、雨が降ってきた。
雨が止むのを待って、次の目的へ。
スリリングで映えな吊り橋
トレイルのマップは北回りに紅茶工場、吊り橋、天然プールを見るルートと、天然プールだけを見る南回りのルートしか記載がないが、まずプールに入りたかった上に、工場と吊り橋も見たいので逆ルートを歩く。
ルート上に大きな鉄格子のゲートがあり、行き止まりになっている。
そこをターンして階段を降りると、ロープで作られた吊り橋がある。
橋の入口はツタが伝い、オシャレではあるが、橋そのものは揺れる上に、板が割れて、なくっている部分もあり、なかなかスリリングだ。
そこを渡ると、畑と建物があるがそれ以上先に進めない。
川の反対側に閉鎖された古い紅茶工場が見えるが、川を渡るのは困難。
どうしてもあの工場に行きたい。
しばらく歩くも道が見つからず、もう一度橋を渡って戻る。
古い紅茶工場
もう一度鉄格子のゲートに戻って来た。
斜面に獣道を見つけて登ってみると、別の道に出たが、その道もかなりの獣道。
不安になって再度、斜面を降りる。
位置関係的に鉄格子のゲートの先に紅茶工場はあるはずなので、鉄格子を潜り抜けることにする。
ゲートを突破した先で、おじいさんが犬の散歩をしている。
怒られるかもしれないが、これは話しかけるしかいない。
アンバ農園に泊まっていると伝えるとサイモンやチャールズ は知っているか?と聞かれた。
サイモンは3年半前から知っているし、チャールズは今回初めてあった。
カルナにも久しぶり会ったよ!
スリランカ人のおじいさんなので、スリランカ人の年配のマネージャーであるカルナの名前を出してみたところ、
「カルナも知っているのか!お前さん、良かったら紅茶工場の中を見るかい?」と。
古い紅茶工場は外観だけでも廃墟感があり、とてもそそられる。
まさか内部を見せてもらえるとは思ってもいなかったし、怒られるかも?と思っていた人から親切にされて、なんだか不思議。
いやいや、これこそが旅の醍醐味だなとも思う。
このおじいさんのお父さんが工場をやっていたが廃業。
現在、おじいさんが管理しているという。
翌朝カルナさんと話して知ったことだが、このおじいさんはカルナさんの兄弟であった。
おじいさんに帰り道を教えてもらって戻る。
トレイルの地図にはない近道だったようで、早く着いたが本来のトレイルコースをぐるっと回れなくて、少し心残りではあったが、良い出会いだった。
チャールズとの夕食
選挙の日で今日はスタッフが帰ってしまって夕食の準備がないので、私たち家族と一緒にどう?とオルズさん、シンディーさんがそれぞれ誘ってくれて、ダイニングに向かう。
オルズさんとシンディーさんの子どもたちが夕食にハンバーガーを作っている。
チャールズさんが僕の相手をしてくれた。
チャールズさんはコロンビア大学、ジョージタウン大学の大学院で学び、戦略コンサルティングファームのATカーニーに入社。
その後、コンサルティングファームのNathan Associatesに転職し、スリランカの産業(セラミック、コイア、ICT、ジュエリー、スパイス、紅茶、観光の8産業)の競争力を高めるプロジェクトのチーフを務め、スリランカへの関わりを持つことになったという。
プロジェクトが終わった後、ジェフリーバワの別荘地ルヌガンガのGMを半年間経験して、コンサルティングプロジェクトの仲間の3人と自分たちで紅茶・観光のビジネスをやる場所を探し回り、辿り着いたのが今のアンバ農園の場所だったそうだ。
現在はNPO「IESC(International Executive Service Corps)」(石油王ジョン・ロックフェラーの孫デイヴィット・ロックフェラーが創設)に所属し、IESCのスリランカでのプロジェクトYouLead(若者の就業と起業を支援するプロジェクト)のプロジェクトディレクターを務めているため、スリランカ各地を回りながら、定期的にアンバ農園を訪れているという。
調べてみると、YouLeadはUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)が資金を提供している。
以前にサイモンさんからアンバ農園の紅茶はバーリーズニューヨークなどで取り扱ってもらっているとは聞いていたが、僕は恥ずかしながら欧米の高級デパートの名前を知らないため、聞き流してしまっていたので、改めて取り扱い先を確認させてもらう。
銀座のビルズしか分からず、それぞれのお店のスペルを聞いて、その場でググってようやく理解する始末。
アンバ農園の紅茶を取り扱っている有名店はこんな感じだ。
■アンバ農園の紅茶を扱っている場所の一例
英国王室御用達で紅茶の取り扱いでも知られるロンドンの老舗百貨店「フォートナム&メイソン」
英国及び欧州王室ひいきのアフタヌーンティーで知られるロンドンの名門5つ星ホテル「クラリッジス」
世界的なフレーバーティーブームの先駆けとなったニューヨークの「ハーニー&サンズ」
世界のベストレストラン50で世界一位を4回獲得しているコペンハーゲンの「ノーマ」
ニューヨークタイムズが世界一の朝食と称えた「ビルズ」の銀座店
エッラで最も成功した人言われるダルシャナさんのホテル「Chill Ville View Point Hotel」
アンバ農園のディレクターたちはエスタブリッシュメントなハイキャリアの人たちで、アッパークラスな人たちに紅茶やアグロツーリズムを提供していることを改めて認識をした。
アンバ農園の歴史
客室に戻ってソファーでアンバ農園の歴史について書かれた文章を読む。
アンバ農園はインドのタミル・ナードゥ州からやってきたタンバ・アルナサラーム・ピッライが1900年に開いた農園。
タンバ・アルナサラーム・ピッライは1890年にインドのタミル・ナードゥ州から労働者としてセイロンに渡ってきた。
後に紅茶王と呼ばれるようになるトーマス・リプトンがセイロンに到着した年でもある。
ピッライは初等教育しか受けていない貧しいタミル人であったが、イギリス人が管理するPettigala茶園で働き続けても未来はないことを悟り、自分の茶園を持つことを目指してコツコツと貯金を続ける。
10年後の1900年に現在のAmbadandegama谷に26エーカーの土地を購入。
ピッライはPettigalaで働きながら週末に家族や同僚を連れて、土地を綺麗にし、石のテラスや壁、排水路などを手で作り、茶の木の種を植えていく。
道のない谷では手作業が最適だった。
1900年から1911年は近くのイギリス人経営の紅茶工場に茶葉を販売していたが、自社工場で紅茶を製造する方が良いと判断し、1912年に紅茶工場をオープンする。
工場ができたことで周囲の茶園からも茶葉が提供されるようになり、1930年代には2つ目の工場をオープンし、銀行からローンでお金を借りて谷から村に道路をひく。
ピッライが亡くなる1953年には、ピッライ家は1,000エーカーの茶園、いくつかの工場、バンガロー、コロンボに家と車を持つ、有数の資産家となり、カタラガマのお寺、バンダラウェラやバドゥッラの市民施設に寄付をするようになっていた。
ところが、ピッライの子の代、孫の代と兄弟たちによって財産が分けられ、農園は縮小されて、1975年には閉鎖されてしまう。
さらに、スリランカ政府は政策として、茶、ゴム、ココナッツの農園を大規模化することにし、個人所有の農園は50エーカー以下にすると決めたため、ピッライ家の農園は50エーカーずつに区分けされてしまった。
1990年代後半、コロンボからきたシンハラ人のアーユルヴェーダドクターのペムがAmbadandegama谷を気に入り、アーユルヴェーダリトリートを行おうと、100エーカーの土地を購入し、クリニックをオープン。
ペムは紅茶、コーヒー、ペッパーなどを植えた。
2006年、サイモン、チャールズ、オルズなど4人がやってきて、ドクターのペムから土地を買い取り、アンバ農園がスタート。
2009年、ピッライの曽孫であるカルナが農園のマネージャーとして参画。
2010年、スコットランド人のビバリーと夫のネイルがボランティアで働き始める。
2013年、アンバ農園は黒字を達成し、2015年にビバリーさんとネイルさんはスコットランドに帰国。
現在、カルナの兄弟は同じ谷でもっと大きい農園を管理している。
サイモンさんたちが来る前からパイオニア精神の溢れた土地であることが知れたのが面白かった。
夜明けのトレイルコース
朝日を見るのにいいと書いてあるトレイルコースがあったので夜明け前に起きて向かった。
ところが雨がかなり降って来てしまった。
加えて、昨日と同様にコースの途中はゲートで閉まっている。
雨宿りして、別のコースも行ってみるも、やはりゲートが閉まっている。
あとでカルナさんに聞いた話だが、ゲートは勝手に開けて先に進んでいいらしい。
ただ、雨が強く、無理して見ることはないなと諦める。
バンダラウェラ経由でコロンボへ
コロンボでアポイントがあるため、早朝に出発しないといけないと伝えていた。
コロンボへの一番早いルートは車で南下して、南部高速道路で帰る方法だ。
しかし、今回はバスで各地を回ってエッラにやってきた。
時間が許せば、鉄道で景色を眺めながらゆっくり帰りたかったがそれはできない。
コロンボに帰るのであれば、エッラではなく、バンダラウェラからバスに乗るのが早い。
朝7時にご飯を用意しておくよ!とのことだったので、7時過ぎにダイニングに行くとスタッフさんが「何食べる?」と聞いてくる。
本当に7時に食べ始めたかったら、そりゃ、その前に行っておくべきだよな!と思う。
ちゃんとトゥクトゥクがくるのか心配でスタッフに聞くも分からないので、オフィスまで行って確認する。
「必要な時に呼んだらくるから朝ご飯食べてて!」とカルナさん。
ま、スリランカのことなので、コロンボの人もエッラから向かっていると言えば遅れても何も言わないだろう。
久しぶりに日本に帰るので、紅茶やジャムをお土産に買うことにする。
前回と違って宿泊しているので、紅茶とジャムの味を知り、買って帰りたくなったのだ。
アンバ農園がよく使っているトゥクトゥクドライバーがいるようで、リクエストした時間通りにドライバーさんが来てくれた。
しかし、朝食が出て来たのも同じ時間であった 笑
ホテルに頼むとトゥクトゥクの値段が高くてびっくりすることがあるが、アンバ農園がアレンジしてくれたトゥクトゥクは良心的な価格であった。
早朝に出ないといけない!と言っていたものの、結局、お土産を買って、朝ご飯を食べて8時に農園を出発した。
そういえば3年半前も朝にトゥクトゥクでバンダラウェラに向かい、列車でヌワラエリヤ に向かった。
次回こそはゆっくりと滞在したい。
まとめ
オンライン旅行でアンバ農園を見に行く
アンバ農園にオンラインで行くオンラインツアーを随時開催しています。
最少催行人数は一人ですので、ご希望の日程で開催することも可能です。
【所要時間】120分
【参加料金】3,000円
以下のページをご連絡ください。
https://spiceup.lk/amba_online/
エッラへの旅行、アンバ農園での滞在や交通手段をアレンジする
アンバ農園は空港から遠く、山の中にあるため公共交通機関で行くのは困難です。
エッラを含めた旅行のアレンジ、ご相談を承っておりますので、アンバ農園への訪問、滞在をご検討されている方は、以下のフォームよりお問い合わせください。
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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