バワ建築「ブティック87」〜広大な庭園とイタリア彫刻が美しい1日2組限定のブティックホテル〜

アマンリゾートに影響を与えた建築家とジェフリーバワについて説明されることがあります。
隈研吾さん、山口由美さんの共著『熱帯建築家』ジェフリー・バワの冒険(新潮社)には、以下のような記載があります。
「アマンリゾートの創業者エイドリアン・ゼッカに、お気に入りのバワ作品は何かと聞いたら、ナンバー87だと即答された。」
現在はオーナーが変わり、ブティック87(Boutique 87)という名前になっています。
オーナーはアートコレクターで自宅の設計をバワに依頼したロハン・ジャヤコティ氏。
運営はバワに自宅の設計を依頼したジャコブセン氏が経営するホテルマネジメント会社のマンナール・ハウス・コンセプトが担当しています。
87とはこの物件の住所「No.87, Galle Road」から付けられています。
18エーカーにおよぶ広大な庭
バワが週末を過ごしていた別荘「ルヌガンガ」のような広大な庭があり、バワはここをルヌガンガを構成する一つとして構想したとも言われています。
ルヌガンガから車で10分の場所にあります。
ブティック87の向かいの道を行き止まりまで行くと、パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ・ベントタ(Paradise Road The Villa Bentota)、クラブ・ヴィラ(Club Villa)がある。
バワ建築が集まるベントタ(Bentota)にある、バワが手掛けたのホテルの一つでもあります。
バワの別荘「ルヌガンガ」やバワのオフィス「ナンバー11」と同様に、有料の見学ツアーがあるのもこのホテルの特徴です。
宿泊せずにガーデンツアーにのみ参加することもできます。
一人2,000ルピー(約1,140円:2020年3月現在)。
たった2部屋の客室
この物件は2つの建物から構成されています。
バワと一緒に仕事もしていたイタリア人の彫刻家のリディア・ペトロニア(Lydia Petronia)とスリランカ人の夫が、1720年(オランド統治時代)に建てらたショップハウスを1970年代に買い取ったことから始まります。
バワがリディアに建物を二つ購入するように勧め、バワが改装を手掛けています。
客室となっているのはリディアのアトリエとして使われていた奥の建物。
1階の右手と左手にそれぞれ1室ずつ部屋があります。
チェックインはこの建物の入口にあるスペースで済ませます。
食事をここで頂くこともできます。
客室に挟まれた建物の真ん中は、共有スペースで、建物の裏手と正面をつなぐ通路でもあります。
さらに、二階に続く階段が配置されています。
建物の裏側に続く通路
建物の裏手には彫刻が佇み、まるで遺跡のようです。
2階に続く階段はとても細いうえに、手すりの背が高く、滑り台のようです。
2階は大きな屋根の先から差し込む光が、庭のグリーンを際立たせている落ち着いた空間になっています。
記事の最初の写真もここの2階のものです。
プール
プールは客室の隣にある階段を登った先にあります。
階段にはバワ建築でよく見かける葉っぱをかたどったレリーフがあります。
プールは木々に囲まれていて、プールというよりも池に見えます。
他のバワホテルのように、見た瞬間に
「素敵!!」
と思ってしまうプールとは異なり、土や木が入っていそうで、あまりそそられませんでした 笑
ただ、実際にプールに入ってみると、自然が近くに感じられて、とても気持ちが良いプールでした。
静かに入ることができて、このプールはオススメです。

ゴールロード沿いのヴィラ
もう一つのヴィラはゴールロード沿いに建っています。
当初はゴールロード沿いに入口があったそうです。
バワはそれを180度回転させてヴィラの入口が庭に面するように変えています。
現在は事務室やキッチン、そしてオーナーの部屋として使われています。
ガーデンツアー
宿泊客は自由に庭を見て回ることができる。
まず、目に入るのは大きな池です。
食事はヴィラでも食べられますが、私は夕食も朝食も池に面した席でいただきました。
こちらは朝食の様子。
夕食は池に浮かぶ島に生えた木がライトアップされ、いくつものキャンドルに火が灯され、ムーディーな雰囲気の中、食事をいただくことができます。
宿泊棟の周囲には彫刻がいくつか飾られています。
彫刻の脇の道を歩いていくと、奥まで続く庭に続いていきます。
最初の見えてくるのが横に枝が伸びた木と壺です。
その先は右手に行くと、食事をした席から見える小さなな島に渡れるようになっています。
木々に囲まれた道を進んでいきます。
すると、いきなり教会が見えてきます。
これはバワが設計した教会だそうです。
ここはバワが弟子たちを木の周りに座らせて、教えていただ場所とのことです。
その近くには、バワが紅茶やコーヒーを飲んでいたという席があります。
敷地の奥から池を眺めた光景。敷地がかなり広いことが分かるかと思います。
ぐるっと庭を戻ってくると、宿泊棟のヴィラが見えてきます。
ヴィラの正面の庭にも印象的な置物が設置されています。
バワ建築は日本建築や日本庭園に似ていると言われますが、Boutique 87の庭を歩いていると、
「あ、ここにも道があった!」
と生い茂る緑の中に小径を見つける楽しみがあり、まさに日本庭園のようです。
ゴールロード側にもいくつか小径、スペースがあります。
敷地の境界線として、敷地の各所に柱が建てられています。
ホテルとガーデンツアーを動画でご紹介
こちらの動画ではホテルの各施設やガーデンツアーについて動画でご紹介しております。
まとめ
ジェフリーバワ建築のBoutique 87をご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
1日2組限定のプライベート感のあるホテルです。
自然豊かな庭の中でゆったりとした時間を過ごしてみて下さい。
こちらのホテルにご興味がある方は問い合わせフォームからご連絡下さい。
関連記事
参考
熱帯建築家: ジェフリー・バワの冒険 (とんぼの本)
ジェフリーバワ 全仕事
アマン伝説 創業者エイドリアン・ゼッカとリゾート革命

趣味の旅と町歩きを仕事にしたいと主にアジアを周り、2016年7月、24カ国目に訪れたスリランカで会社を設立することに。2017年2月、スリランカで日本語情報誌「スパイスアップ・スリランカ」を創刊し、2018年9月スリランカ観光・生活情報サイト「スパイスアップ」(当サイト)を開設。公式のインスタグラム、ツイッターのアカウント、ユーチューブチャンネルも運営していますが、つい趣味の個人のインスタ・フェイスブックアカウントを更新しがち。夕日を観るのが日課。
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