オランダのコロンボ要塞の遺構「デルフトゲート」

コロンボ・フォートはその名の通り、オランダのコロンボ要塞があった地区です。
イギリス統治時代にオランダの建物の多くが取り壊されるとともに、コロンボフォートの城壁や稜堡も取り壊され、残っている遺構はわずかです。
残っている遺構の中でも、見学が自由にできて、保存・維持がされているのがデルフト門(Delft Gate)です。
本記事では、コロンボのフォートのデルフト門について紹介します。
デルフト門とは?
デルフト門は、コマーシャルバンクの本社が置かれているコマーシャルハウスの敷地内に残っているオランダ要塞の門です。
オランダが建設したコロンボ要塞(Colombo Fort)は、五稜郭のような星形要塞でした。
星形要塞の外に向かって突き出した角である稜堡が9つ作られ、それぞれオランダの都市名がつけられていました。
要塞の北にアムステルダム稜堡、ライデン稜堡、
要塞の東にデルフト稜堡、ホールン稜堡、
要塞の南にロッテルダム稜堡、ミデルブルフ稜堡、クロッペンブルグ稜堡、
要塞の西にエンクホイゼン稜堡、ブリーレ稜堡がありました。
コロンボフォートには以下の3つの主要なゲートがありました。
コロンボ港につながる北の「水門(Water Gate)」
ゴール要塞につながる南の「ゴール門(Galle Gate)」
ペターとハンウェラ要塞につながる東の「デルフト門(Delft Gate)」
ポルトガルが建設したコロンボ要塞は、現在のコロンボフォートとペターを含くんでいましたが、オランダのコロンボ要塞は現在のコロンボフォートに強固な要塞を築き、フォートとペターに堀を作り、ペターは旧市街(オールドシティー)と呼ばれ、住宅地として使われていました。
コロンボの住宅地であるペターと、コロンボ要塞を結んでいたのがデルフト門です。
ペターを斜めに走っている道「Main Street」は、フォートとペターを繋いだ道の名残です。現在、Main Streetはカーン時計台に合流していますが、オランダ統治時代はそのままデルフト門に向かってまっすぐ伸びていました。
デルフト門からの道は、ペターの先は、ケラニ川沿いのハンウェラ要塞(Hanwella Fort)まで続いていました。
曲がりくねった長い門
デルフト門は、防衛のために曲がりくねった細長い門でした。
現在残っているのは、長い門の中でもオランダ要塞側の入口部分のみです。
ペターからフォートに入るには、まず、堀を跳ね橋で渡ります。
その後、右側に湾曲した細長い門を抜けるとフォートに入ることができました。
門の両側には、衛兵を収容するための建物が一棟続いていたと言います。
外部からのフォートへの砲撃を防ぐため、門の通路を湾曲して作ったと考えられています。
コロンボの紋章
ゲートにはVOC(オランダ東インド会社)が使っていた紋章が飾られています。
オランダ東インド会社は、要塞を建設したセイロン国内各都市ごとに紋章を作っていますが、コロンボの紋章を再現したレプリカです。
イギリス統治時代の遺構
デルフト門には、イギリス統治時代の年号が刻まれた石があります。
^
オランダ統治時代は、1658年から1796年までで、その後にイギリス統治時代となり、1872年にイギリス植民地政府によって管理事務所のビル建設のためにデルフト門は取り壊され、その一部が放置され、現在もその場所に残っています。
コマーシャルバングの本社ビル横
デルフト門があるのは、コマーシャルバンクの本社ビル(コマーシャルハウス)の敷地内です。
コマーシャルバンクは、デルフト門の修復と保全をすることを条件に、本社ビルの建設許可を得たため、現在もデルフト門を保全しています。
参考)
archaeology.lk:The Fortress of Colombo: What else remains?
Amazing Lanka:Historic Colombo Fort (කොලඹ බලකොටුව)
roarmedia:The Forgetten Fort Of Colombo
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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