オランダ要塞倉庫を改装したコロンボ港海事博物館と空中仏塔

オランダが建設したコロンボ要塞の大部分はイギリスによって取り壊されましたが、ごく一部が残っています。
その一つが、現在「コロンボ港海事博物館(Colombo Port Maritime Museum)」となっているオランダ時代の倉庫です。
門の一部や壁の一部が残された他の遺構とは異なり、建物がそのまま保存されている貴重な存在です。
博物館を管理するスリランカ港湾局が建設した空中に浮かぶ仏塔「サンボディ・チャティヤ(Sambodhi Chaithya)」もあります。
本記事では、コロンボ港海事博物館とサンボディ・チャティヤについて紹介します。
コロンボ港海事博物館とは?
コロンボ港海事博物館は、1676年にオランダ東インド会社に建設された倉庫を博物館に改装し、2003年8月1日にオープンした博物館です。
世界遺産ゴール要塞のオランダ時代の入口は、要塞の一部を構成する倉庫で、現在は海洋考古学博物館となっているのと似ています。
ゴールの要塞化された倉庫も当時のゴール港に隣接して建てられていますが、コロンボ要塞の倉庫もコロンボ港に隣接して建てられています。
倉庫はコロンボ港の桟橋に面して建設され、北側と南側に並んで2つ建っていましたが、北側の倉庫は取り壊され、現存するのは南側の倉庫です。
倉庫は一部、刑務所としても使われたようです。
ポルトガルの紋章が刻まれた岩
倉庫と桟橋の間には、ポルトガルの紋章が残る岩が保管されていますが、コロンボ港内にあるため、見学するには事前の許可が必要です。
コンクリートアーチの上に建つサンボディ・チャティヤへの階段からポルトガルの紋章が見えないかトライしてみましたが、紋章が刻まれている面は海側を向いているため、見ることはできませんでした。
バッテンバーグ砲台
倉庫の北側には、バッテンバーグ砲台の遺構が残されています。
南側倉庫・北側倉庫・バッテンバーグ砲台が一列に並んでいたのが分かります。
バッテンバーグ砲台と城壁とをつなぐ位置にあった倉庫も外からの攻撃に耐えられるように堅牢に作られ、コロンボ要塞の一部を構成していました。
博物館の様子
博物館は入場料は不要で、無料で見学ができます。
屋外展示
入口の外側には、砲台や錨などが展示されています。
ベットフォードで作れたもののようです。
屋内展示
左手側に、ヴィジャヤ王子、サンガミッター、法顕、イーブンバットゥータなどスリランカを訪れたとされる歴史上の人物が紹介されています。
中央にはアヌラーダプラ王国の主要港マントタ、ルフナ王国の主要港ゴダワヤ、東の主要港ゴカンナや、古代ローマやギリシャとスリランカのつながりなどが紹介されています。
上の地図は左の側に掲げられていましたが、港の位置と中央高地の構成が目で見て分かりやすいです。
右側の壁には、ポルトガル到着前から現在までのコロンボ港の変化が紹介されています。
上の絵を見る限りだと、コロンボフォートとペターは元々島になっていて、ペターとコタヘナは狭い海峡で分けるられています。
その先にケラニ川が見えます。
オランダ要塞の絵です。
イギリスが防波堤を作る前のイギリス時代のコロンボ港の様子。
イギリスが防波堤を作ったときのコロンボの様子。
コロンボ港がどんどん拡張されてきたことが分かります。
倉庫についても描かれています。
サンボディ・チャティヤとは?
サンボディ・チャティヤは、1956年にコロンボ港湾によって建てれたお寺です。
サンボディはブッタが到達した完全な悟りを意味し、チャティヤはサンスクリット語で寺院や仏塔などを意味します。
コロンボ港に入る船からも仏塔が見えるように、コンクリートアーチのうちに仏塔が建てられたそうです。
設計を担当したのは、コロンボ・プラネタリムも設計したA. N. S. クラシンゲ(Kulasinghe)です。
仏塔の横に建つ階段を登っていくと、コロンボ港を見渡すことができます。
灯台やマリーナも見えます。
埋め立てで使われた砂がまだむき出してになっています。
中国の巨大なクレームが目をひきます。
仏塔内には中央に仏像が安置され、周囲360度の壁に絵画が描かれています。
参考)
archaeology.lk:The Fortress of Colombo: What else remains?
Amazing Lanka:Historic Colombo Fort (කොලඹ බලකොටුව)
Wikipedia:Sambodhi Chaithya
Buddhistdoor:Sambodhi
Wikipedia:Chaitya
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、ゲストハウス「スパイスアップ・ハウス」開設。
2020年8月、週刊「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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