【コロンボ最大の仏教寺院】ガンガラーマ寺院、シーマ・マラカヤ寺院
コロンボ市内のベイラ湖のほとりに立つ2つの仏教寺院、ガンガラーマ寺院とシーマ・マラカヤ寺院。地元の人にとって大事な信仰の場であると同時に、観光客からも人気のスポットです。
コロンボの中心地にあるため、アクセスも良好。都会の喧騒からはずれて、ちょっと一息つきたいときにおすすめの場所です。お寺好きの方はもちろん、ショッピングやお仕事ついでの方も、両寺院で仏教国スリランカの空気を味わってみてください。
目次
基本情報
アクセス
入場料
Rs. 400(2024年7月現在)
1枚のチケットで両方の寺院に入ることができます。
営業時間
AM6時~PM10時
所要時間
ガンガラーマ寺院:さらっと見ても40分くらいでしょうか。じっくり見て回ったら1〜2時間かかるかと思います。
シーマ・マラカヤ寺院:15分ほどで一通り見ることができますが、居心地の良い場所なのでもう少し時間をとってのんびり過ごすのもおすすめです。
服装
ノースリーブやミニスカート、ショートパンツなどの露出の多い服や、派手な色の服は控えるべきとされていますが、外国人観光客であれば多めに見てもらえることもあります。露出の多い服を着た欧米人は、ショールを貸し出されていました。
ちなみにスリランカ人の参拝スタイルは白い服なので、せっかくならそれに合わせるのも良いと思います。
また両寺院とも、入ってすぐに靴を脱ぎます。管理されている様子はないので、万が一にも盗まれたくない靴は履いていかない方が良いかもしれません。
ガンガラーマ寺院
概要
ガンガラーマ寺院は、コロンボで最も古い仏教寺院の一つ。毎年2月にナワン・ペラヘラと呼ばれる盛大なパレードが催されることでも有名です。
ミュージアムも併設されており、タイ、ミャンマー、中国、韓国、日本など各地から寄贈された大量の仏像のほか、古今東西の工芸品や骨董品が所せましと並べられており、見応えがあります。
しかしその情報量の多さにもかかわらず、お寺にはパンフレットや説明書きのようなものがほとんどないため、下調べせずに行くと見どころがわからず雑多な印象に終わってしまうかも。本記事では、現地の方への取材をもとに、注目すべき部分をいくつかピックアップしたので、訪れる際の参考にしてみてください。
歴史
ガンガラーマ寺院が建てられたのは、19世紀の終わり。スリランカで仏教の復活運動(※1)が推し進められた時期です。高名な僧であるヒッカドゥウェ・スリ・スマンガラ僧侶(Hikkaduwe Sri Sumangala)(※2)が、コロンボの町で増え続ける信者を受け入れるため、地元コミュニティの支援を得て、もともと小さな社があったこの土地に寺の建設を始めました。
初めは小さかったこの寺ですが、スマンガラ師の一番弟子であるデヴァンデラ・スリ・ジナラタナ・ナヤケ住職( Devundera Sri Jinaratana Nayake)、続くヴェン・デヴァンダラ・キールシ・スリ・スマンガラ・ジナラタナ・ヴァチサーラ住職(Ven. Devundara Keerthi Sri Sumangala Jinaratana Vacissara)によって、礼拝の場、学問の場、文化の中心地として多くの人が集う現在の姿へと発展していきました。
※1 仏教の復活運動…植民地支配下でキリスト教が広まったことで衰退していた仏教を復活させようとする運動
※2 ヒッカドゥウェ・スリ・スマンガラ…1827年にゴール県のヒッカドゥワで生まれ、1840年に仏教僧となる。仏教復活運動における指導者の一人で、19世紀末のスリランカにおける教育発展に大きく貢献した。顕著な業績の一つに、1873年に仏教学校であるウィデヨーダヤ・ピリウェナを設立したことが挙げられる。
見どころ
①色鮮やかな大仏
寺の門をくぐって左手のお堂に入ると、そこは仏像と壁画で埋め尽くされた極彩色の空間。圧倒されます。
この寺院で最も大きな仏像。周囲に配された人々の像によってますます神々しさが引き立ちます。
どちらの方向を向いても仏像があります。
②白翡翠の仏像象牙の奥にたたずむのは、白翡翠からつくられた珍しい仏像。静謐な空気をまとっています。
③菩提樹2階に上がると大きな木があり、多くの人がそれに向かって祈りを捧げています。
④ブッダの髪の毛中央にあるお堂に入ると、ひと際輝く塔が目に止まります。その裏に置かれた、これまた金ピカの容器(画像で白く囲んだ部分)には、なんとブッダの髪の毛が奉納されていると言います。バングラデシュで発見されたものだとか。
⑤虫眼鏡で見る小さな仏像中央のお堂の右手側には、極小サイズの仏様が。高さ1cmくらいでしょうか。ケースに付いている虫眼鏡を通して見ることができます。
⑥階段状に並ぶ仏像お堂の奥には座像が階段状に並び、その後ろにはブッダガヤの大菩提寺を模した構造物が建設中。
⑦ピリットヌーラ訪れるタイミングによっては、お坊さんに「ピリットヌーラ」と呼ばれる厄除けの紐を巻いてもらえるかもしれません。筆者も実際にこのカラフルな紐を結んでもらいました。
⑧ゾウの置き物寺院内には、リアルなゾウの置き物がいくつかあります。本体はセメントでつくられた偽物ですが、牙の部分は本物だそう。もともとこの寺で飼われ、お祭りなどの際に使われていたゾウの牙だと考えられます。
⑨建物の装飾壁や扉、柱など細部にまで意匠が凝らされており、建物自体が芸術作品のようです。
⑩その他のコレクション
お寺や併設されているミュージアムには、世界中から集められた圧倒的な数の工芸品や骨董品が並んでいます。
見たことがないような古い時計やラジオ、はかりなどが置かれていて楽しいですが、自分がお寺にいるということを忘れそうになります。
中国やインドのありがたいものたちが大集合。色とりどりでかわいらしいです。
こちらはヒンドゥー教の主神の一人、ナタラージャ(シヴァ神の別称。「舞踏家の王」の意)。後ろには小さな仏像が大量に並んでいます。
体験談
〜ガイドを名乗るおじさん~
筆者が取材のためにこの寺院を訪れたときのこと。チケットを買い見学を始めようとした途端、一人のスリランカ人のおじさんが親しげに声をかけてきました。「日本から来たの?グッドカントリーだよね!よかったら案内するよ!」
これは怪しいと思いながらも、いろんな説明を聞けるなら良いかと多少お金を取られる覚悟で案内を頼んでみました。名前を聞かれ「よろしくな!」と握手までして、ツアー開始。展示物の詳細だけでなく、撮影スポットやおすすめのポーズまで教えてくれるおじさん。
しかし半分くらい見終わったところで、ポケットからおもむろにパンフレットのようなものを取り出します。ほらきた!と身構える私に彼が勧めてきたのは、コロンボ市内を回るトゥクトゥクツアー。しかし数回断ると意外とすんなり引き下がり、私に見切りをつけて次なるお客のところへ。
結果的に、ただ寺を案内してくれて、写真を撮ってくれただけのおじさんでした。チップくらい渡したらよかったかな、と逆に少し後悔。
その後周りを見渡すと、1人で来ている女性にはもれなくスリランカ人男性がガイドとして付いていました。中にはしつこい勧誘をする人もいるかもしれないので、1人で行かれる方はお気をつけて。
シーマ・マラカヤ寺院
概要
シーマ・マラカヤ寺院は、スリランカの天才建築家ジェフリー・バワによって設計されたモダンな仏教寺院。ベイラ湖に浮かぶ姿はとても美しく、近くを通りがかるだけでも目を引きます。
歴史
もともとは19世紀後半にガンガラーマ寺院の外部構造物として建てられましたが、老朽化によって1970年までにベイラ湖の底に沈んでしまいました。現在の建物は1976年にジェフリー・バワによって設計されたものです。アヌラーダプラの古い僧院から着想を得たと言われていますが、従来の仏教建築にとらわれない革新的なつくりとなっています。独自の軽量設計により、建物が沈むことはありません。
見どころ
①主壇橋を渡った先に主壇があります。
中に入ると、三体の仏像がお出迎え。
壁は格子状になっており、涼しい風が吹き抜けます。蒸し暑いスリランカにおいて少しでも祈りの場が心地良くなるように、というバワの配慮だそうです。風通しが良いだけでなく、日光が木漏れ日のように注ぎ、癒しの空間となっています。
②金色の仏像本堂をぐるっと一周囲むように、金色に輝く仏像が並んでいます。これらはタイから寄贈されたもの。背景の湖やビル群とのコラボレーションも一見の価値ありです。
③大仏と菩提樹本堂の左手の中庭には、菩提樹を背にして大仏が安置されており、平和な空気がただよっています。
④ヒンドゥー教の神々中庭の四隅には、ヒンドゥー教の神であるヴィシュヌ(画像左上)、シヴァ(右上)、ガネーシャ(左下)、カタラガマ(右下)が並んでいます。
おわりに
以上、コロンボ最大の仏教寺院を2つご紹介しました。見どころいっぱいの両寺院。本記事では取り上げきれなかった仏像や展示物もたくさんありますので、ぜひ実際に足を運んでみてください!
早稲田大学文学部4年
アジアの歴史や文化に興味があります。趣味は読書、旅行、美術館巡り。
カラフルなスリランカの景色が大好き!
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