「住宅建築」2018年2月号〜Laki Senanayake Art and Forest Part1 森に住む理想〜
建築専門誌「住宅建築」のシリーズ「森と人と建築と」に、ジェフリーバワさんとのコラボレーションで知られるラキセナナヤケさんのインタビュー、ラキさんの自宅とアトリエ、隣接したゲストハウスの「ディヤブブラ〜バーベリンアート&ジャングルハイダウェイ」が紹介されています。
3回に分けた記事のPart1が掲載されているのは、住宅建築No.467 2018年2月号です。
森林共生住宅を提唱し、森林セラピーのNPO法人にも関わる建築家の落合さんの文章と、写真家の畑拓さんによる写真が素晴らしいです。
この「Laki Senanayake Art and Forest Part1 森に住む理想」を読むと、ディヤブブラに行ってみたくなるとともに、実際に訪れた際も、よりその体験を深く味わえますので、建築やアート、写真好きな方には一読をお勧めします。
誌面は以下の2部構成になっています。
・落合さんの文章「森のリズムと共生して住まう」
・落合さんによるラキさんへのインタビュー(ディヤブブラにて)
誌面の内容は「住宅建築」誌をご覧ください。
私にとってはこの記事は、日本の建築や建築写真について知る良いきっかけになりましたので、本記事では、住宅建築、落合さん、畑さんについて紹介いたします。
建築専門誌「住宅建築」とは?
1975年創刊の「文化としての住まいを考える」建築専門誌。
発行は資格試験予備校「日建学院」の運営で知られる、株式会社建築資料研究社。
建築資料研究社は社名の通り、建築に関する書籍・雑誌の出版を長年続けている会社です。
教材の販売から予備校、専門学校と教育事業にも事業を拡大し、全国に67拠点、直営109校公認校135校の合計244校を開設しています。
売上の柱は予備校なのだと思いますが、出版事業は創業初期から継続され、今回紹介する住宅情報は2021年で創刊から46年目に当たるようです。
以下、会社沿革を一部抜粋しました。
1969年:建築資料研究社を創立
1970年:工務店向け「原図資料集」を製作販売
1971年:「店舗・造園関係原図資料集」制作・発売
1972年:造庭園雑誌「庭」創刊、「積算ポケット手帳」創刊、「建築構造計算システム」開発
1973年:カセットテープによる「建築士養成講座」制作・発売
1974年: 工匠辞典(さしがね編)制作・発売
1975年:建築雑誌「住宅建築」創刊
1976年:日建学院開設
1977年:建築基準法関係「法令集」創刊
1982年:建築専門学校「東京日建工科専門学校」開校
1989年:日建学院100校目開校
1990年:インテリア雑誌「コンフォルト」創刊
1996年:まちづくり総合専門誌「造景」創刊
森林・環境建築研究所「落合俊也」さん
記事を書かれたのは、一級建築士で、株式会社森林・環境建築研究所の代表である落合俊也さんです。
「森林共生住宅」を提唱されています。
今回の記事は、住宅建築に落合さんが連載されている「森と人と建築と」の第7回目。
ラキセナナヤケさんが住むディヤブブラ(Diyabubula)に着いた際の落合さんの描写が印象的です。
以下に引用します。
森は静かなもの、というのが我々日本人の森林のイメージだが、熱帯雨林という本物の森はそれとは全く違っている。(中略)夜がさらに更けると、この大音響は少しずつ静かになってくるが、最初はこんな音の洪水の中で眠れるのかどうか不安に思った。しかし、実際はそんな心配は無用だった。(中略)森林セラピーでは森の中で横になることがよくある。その時の体験から森の中ではよく眠れるということに薄々気がついてはいた。
落合さんのプロフィールは大変興味深いです。
以下は、森林・環境建築研究所のウェブサイトに記載されている落合さんのプロフィールを参考に記載しています。
落合さんは、ジェフリーバワさん(1919年生まれ)と同世代の建築家・吉阪隆正さん(1917年生まれ)に憧れて、早稲田大学 理工学部 建築学科に入学。
1981年、大学を1年休学しワーキングホリデイ第一期生として渡豪。
アメリカ、ヨーロッパ、インド、ネパールを旅して大学に復学。
とあり、旅人な側面が記載されていて、旅好きな私は親近感が持ってしまいます 笑
大学卒業後に、木造建築の第一人者であった杉坂智男さんに師事して、2014年に杉坂建築事務所から独立されています。
プロフィールには、吉阪隆正さん、杉坂智男さん以外にも影響を受けた建築家さんと学ばれたことが挙げられていて、建築に疎い私にはとても参考になります。
神山幸弘さん:伝統木構造
渡辺富録さん:大工技能
黒川哲郎さん:木造デザイン
小玉祐一郎さん:パッシブ理論
岩村和夫さん:ドイツの最先端の環境共生住宅計画
南雄三さん:熱的性能革命を持って進化発展させた伝統工法
住宅建築掲載の記事からもう一つ引用したいと思います。
スリランカに滞在されたことがある方は、うなづくことと思います。
もともとスリランカの建物は、私たちが普通に考える建物とは少し違う。この国はほぼ一年を通して外環境のほうが内部空間よりも快適なのだ。
落合俊也著『すべては森から』とインタビュー動画
落合さんは、著書『すべては森から』(2020年8月5日発行)にて、ラキセナナヤキケさんや、ウェリガマにあるアーユルヴェーダリゾート「バーベリンビーチ(Barberyn Beach Ayurveda Resort)」についても紹介しています。
『すべては森から』の編集は、「住宅建築」の編集を行なっている建築思潮研究所が担当し、出版社は住宅建築と同様に、建築資料研究社です。
バーベリンは、ラキセナナヤキケさんの自宅・アトリエに隣接した「ディヤブブラ〜バーベリンアート&ジャングルハイダウェイ(Diyabubula, the Barberyn Art & Jungle Hideaway)」を運営している、スリランカでアーユルヴェーダリゾートを展開する代表的な会社です。
ラキさんは、ウェリガマにある「バーベリンビーチ(Barberyn Beach)」の設計に関わったようです。
バーベリンが落合さんの本を取り上げて、ラキさんと落合さんにインタビューした動画が公開されています。
落合さんが記事の中で、森林の中の心地よい音について記載されていますが、その森林の音が聴こえますので、記事と合わせて動画をご覧になると良いでしょう。
落合さんは八王子の長沼公園に隣接したレストラン「鎌田烏山」からお話されていて、その建物と周囲の自然も素晴らしいです。
落合さんの建築事務所「月舞台」は、この鎌田烏山の近くになり、また、落合さんが憧れたという吉阪隆正さんの代表作「大学セミナーハウス」も近くにあります。
月舞台見学案内、長沼丘陵フォレスト・ヒーリングなども開催されていて、参加してみたいです。
写真家「畑拓」さん
誌面には、ディヤブブラの綺麗な写真が数多く掲載されています。
大きなサイズの紙の雑誌の良さは、素敵な写真が多数掲載できることだなと改めて思います。
畑拓さんのご兄弟の畑耕さんも写真家で、お父さんの畑亮さんも写真家と、写真家一家のようです。
畑亮さんは、建築写真家の村井修さんに元で経験を積まれたそうです。
今回の誌面ではディヤブブラの様々な表情が写し撮られた写真が掲載されています。
私のお気に入りの写真は以下のものです。
・ディヤブブラのツリーハウスの夕景
・内部から庭映した写真
・水のビラの外観
・水のビラのベットルーム
・食堂2階のゲストルーム
・天蓋のかかる竹のビラ
参照)
Barberyn Ayurveda Resorts:Everything Begins in the Forest
株式会社建築資料研究社
ウィキペディア:日建学院
森林・環境建築研究所
一般社団法人木暮人倶楽部
ウィキペディア:吉阪隆正
株式会社杉坂建築事務所
日日日影新聞:建築写真家の畑亮さんのお宅にうかがいました。
ウィキペディア:村井修
村井修
ウィキペディア:高須賀晋
ウィキペディア:二川幸夫
Casa Brutus:構想から60年。故・二川幸夫最後の写真集が完成。
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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