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世界現代住宅全集07 バワ自邸/ルヌガンガ(バワの庭園)

2021年6月30日

建築書籍専門の出版社「A.D.A.EDITA Tokyo」の創業者で、建築写真家・建築評論家の二川幸夫さんが編集・撮影を行なったジェフリーバワの自邸「33rd Lane(ナンバー11)」と庭園「ルヌガンガ」の写真集『世界現代住宅全集07 バワ自邸/ルヌガンガ(バワの庭園)』を紹介します。

世界現代住宅全集とは?

世界の著名な建築家による住宅建築を取り上げた写真集です。

バワの本では、解説文は見開き4ページで上半分が日本語、下半分が英語になっています。
4ページは3段落に分かれ、バワの略歴をまとめた「楽園」、「33rdレーン」、「ルヌガンガ」となっています。
本全体は80ページありますので、写真に多くのページが割かれています。

以下、世界現代住宅全集の一覧です。

01 ヴィラ・マイレア Alvar Aalto
02 バラガン自邸 Luis Barragan Barragan House
03 OMA ヴィラ・ダラヴァ/ボルドーの家
04 落水荘 Frank Lloyd Wright Fallingwater
05 サヴォア邸 Le Corbusier Villa Savoye
06 スティーブン・ホール ストレット邸/“Y”ハウス
07 バワ自邸/ルヌガンガ(バワの庭園) Geoffrey Bawa

08 カルロ・スカルパ ヴェリッティ邸/オットーレンギ邸
09 フランク・ロイド・ライト タリアセン/タリアセン・ウエスト
10 ル・コルビュジエ サラバイ邸
11 チャールズ・レニー・マッキントッシュ ヒル・ハウス
12 安藤忠雄 スリランカの住宅 モンテレイの住宅
13 ピエール・シャロー ガラスの家(ダルザス邸)
14 マイケル・グレイヴス ハンセルマン邸 スナイダーマン邸 
15 モーフォシス クロフォード邸 ブレーズ邸
16 ル・コルビュジエ ショーダン邸
17 リチャード・マイヤー スミス邸 ダグラス邸
18 フランク・O・ゲーリー ウィントン・ゲストハウス シュナーベル邸
19 フィリップ・ジョンソン グラス・ハウス
20 フランク・O・ゲーリー ゲーリー邸
21 スミリャン・ラディッチ 「直角の詩」のための住宅 レッド・ストーン・ハウス
22 リナ・ボ・バルディ カーザ・デ・ヴィドロ(ガラスの家) 
23 パウロ・メンデス・ダ・ローシャ メンデス・ダ・ローシャ・ハウス
24 ミース・ファン・デル・ローエ トゥーゲントハット邸
25 アドルフ・ロース ミュラー邸 モラー邸
26 レイ・キャピー キャピー邸
27 パウロ・メンデス・ダ・ローシャ キング邸 
28 オスカー・ニーマイヤー カノアスの家 カヴァネラス邸
29 MLTW シーランチ
30 ミース・ファン・デル・ローエ ファンズワース邸
31 安藤忠雄 住吉の長屋 小篠邸 城戸崎邸

二川幸夫さんとは?

以下に略歴を記載します。

1932年11月4日、大阪市に生まれる。
1956年、早稲田大学文学部に在学中に建築史の田辺泰さんの勧めで民家の撮影を開始。
1957〜1959年、『日本の民家』全10巻を発表し、毎日出版文化賞を受賞。
1970年、建築専門出版社A.D.A.EDITA Tokyoを設立。
1975年、アメリカ建築家協会賞を受賞
1985年、国際建築家連合賞を受賞
1997年、紫綬褒章を受賞、日本建築学会文化賞を受賞
2005年、旭日章を受賞
2013年3月5日、死去。

パッラーディオ建築

ジェフリーバワについて、二川さんは以下のように記載しています。

パラディオのヴィラにあこがれを持っていた

David Robsonの『The Complete Works』には、バワがイタリアに永住しようとしていたことが記述されていますが、二川さんのパッラーディオ建築への言及で、バワ建築への理解がさらに進みます。

世界遺産「ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオのヴィッラ」は、バワが長く滞在した北イタリアにあります。

パッラーディオ建築は、ポルチコあるいはロッジアを効果的に使っているそうですが、バワの建築については、ロッジアが「内と外」を繋ぐ機能を果たしていると指摘されます。

隈研吾さんが、バワ建築について、日本建築の縁側との共通点を指摘されています。
黒川紀章さんは、「日本建築・木造建築は壁よりも柱」と発言されています。

柱によって、「内と外」をつなぐ技法がイタリアではロッジア、日本では縁側、スリランカではバワ建築に見られるのかもしれません。

私は、丘の上に建てられた「ヴィラ・カプラ」の写真を見たときに、丘の上に建つルヌガンガのメインバンガローを想起しました。

スカイライト(天窓)

二川さんの文章で印象的なのはスカイライトへの言及です。

迷路のような33rdレーンにアクセントを生み出していると指摘されています。
また、白く塗り込まれた空間とそれ以外の空間の対比がなされ、33rdレーンの構造を再認識できる解説になっています。

ルヌガンガのアートギャラリーについても、スカイライトについて言及されていました。
私はスカイライトについては見落としていましたが、アートギャラリーのスカイライトが映っている写真が5点取り上げられています。

33rdレーンの玄関扉

私が本書で印象に残った写真の一つが、33rdレーンの磨りガラス製の玄関扉です。
33rdレーンに私は3度訪れていますが、太陽と月の模様が描かれたこの扉は見落としていました。
見落としていたのは、見学時はスタッフさんが扉を開けて、待機されているからかもしれません。

33rdレーンのエレベーター

もう一つの印象的な写真が、33rdレーンの正面写真です。

コンクリートのタワーは、バワが車椅子の生活を余儀なくされた後年に付け加えられたエレベーターのためのヴォリュームで、これも通りのファサード全体の均整の一要素となっている。

と解説文に記述されています。

それを読んだ後に、33rdレーンのセクションの表紙となる見開きの写真(通りのファサード全体をとらえた写真)を見ると、たしかにエレベーターのヴォリュームに目がいきます。

シナモンヒルハウスの写真

魅力的な写真が多くありますが、私が特に気に入ったのは、シナモンヒルハウスの扉を写した写真です。
モノクロ撮影されているのが、またとても印象に残ります。

バワの視点から撮影したガーデンルームの写真

ルヌガンガのスタッフによれば、ガーデンルームのテーブルからレッドテラスの方向を向いてジェフリーバワは仕事をしたと言います。

その席からは湖面が見えるとも説明を受けました。

まさに、その席から湖面が見える写真が掲載されています。

ジェフリーバワの朝食テーブルは敷地の南側と北側の湖面がそれぞれ見えるともルヌガンガのスタッフから説明を受けましたが、バワが気に入っていたであろう、湖面が見える景色、アングルが確認できました。

参照)

ウィキペディア:A.D.A.EDITA Tokyo
ウィキペディア:二川幸夫
ウィキペディア:アルヴァ・アールト
ウィキペディア:ルイス・バラガン
ウィキペディア:OMA
ウィキペディア:フランク・ロイド・ライト
ウィキペディア:ル・コルビュジエ
ウィキペディア:スティーヴン・ホール
ウィキペディア:アンドレーア・パッラーディオ
ウィキペディア:ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオのヴィッラ
ウィキペディア:パラーディオ建築
ウィキペディア:ポルチコ
ウィキペディア:ロッジア
ウィキペディア:ヴィラ・アルメリコ・カプラ
ウィキペディア:ヴィチェンツァ

>関連ページ

https://spiceup.lk/online_lunuganga/

ジェフリーバワが50年間手を加えた別荘「ルヌガンガ」とは?