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国内最大のスリランカ国樹「ナー」の森とピンク水晶山「ローズクオーツマウンテン」

2022年5月22日

2016年11月12日に放送された TBSテレビ「日立 世界ふしぎ発見!」の冒頭で、恋愛成就のパワースポットとして紹介された「ローズクオーツマウンテン」は、ダンブッラ郊外にある国立公園「ナーマル・ウヤナ」にあります。

ナーマル・ウヤナは、スリランカの国樹である「セイロン鉄木」の国内最大の森があり、その森を抜けた先にピンク水晶でできた山「ローズクオーツマウンテン」があり、こちらも国内最大のピンク水晶でできた山と言われています。

セイロンテツボクの森は、古代から人の手によって植林された人工の森で、仏教遺跡が今も森の中で眠っています。

本記事では、ナーマル・ウヤナについて紹介します。

国立公園「ナーマル・ウヤナ」とは?

ダンブッラから北西に15-16キロ、車で25-30分の距離にある国立公園が「ナーマル・ウヤナ」です。

シンハラ語名は「ジャーティカ・ナーマル・ウヤナ」と言います。
ジャーティカは「国立」
ナーはスリランカの国樹「セイロン鉄木」
マルは「花々」
ウヤナは「庭・庭園・公園」という意味です。

つまり、「国立ナー花園」といったところでしょう。

ナー(セイロン鉄木)の森が再発見されたのは、1990年代のことです。

1991年3月に、仏教僧ワナバシ・ラーフラ・セラが森の中の「モラの木」にツリーハウスを造って移り住み、森の保護活動を始めます。森林の違法伐採、密猟、ローズクオーツや遺跡の違法採掘などから守るためだそうです。

上の地図を見ると、森の周囲に5つの貯水池(ウェワ)があります(ウルパサガマ・ウェワ、ラナワ・ウェワ、ナラガス・ウェワ、ハルミレワ・ウェワ、モロッテガマ・ウェワ)。

これは森林の周囲にある5つの村に、それぞれの村に作られた貯水池です。
スリランカでは村ごとに貯水池が作られ、「村の名前+ウェワ」と命名されていることが多くあります。

スリランカでは村人が所有する農地とは別に、焼畑(チェナ)を行う共有林がありますが、その役割も一部担っていたのかもしれません。

2001年、政府はナマル・ウヤナを考古学的保護区に指定。
2003年8月には、寄付金と入園料で運営される「ナーマル・ウヤナ・トラスト」が設立されます。
2005年4月26日付の官報で、森林保護区に指定され、野生生物保護局が管轄する国立公園となりました。

ナー(セイロン鉄木)は白い花を咲かせます。
ジェフリーバワのルヌガンガにもナーの木があり、花を見かけることがあります。
ナーの花が咲くのは5〜6月頃だそうです。

参考)
විකිපීඩියා:ජාතික නාමල් උයන
Visit Sri Lanka:ナマールの森

チケット売り場

公園に入るためのチケットは、公園の入口から道の反対側にあるウルパタガマ寺院の敷地内のナーマル・ウヤナ・トラストの事務所で購入します。

森に移り住んだワナバシ・ラーフラ・セラ師が管理されているのがウルパタガマ寺院です。

ウルパタガマ寺院は、森の北側にあるウルパタガマにあります。

ウルパタは「泉、源流」、ガマは「村」という意味で、泉が湧き出ていることで、森が育ったとも言われています。

駐車場から寺院にかけて、村人が建てた小屋は売店として運営されています。売店は簡素なもので、飲み物とお菓子が売られている程度です。

チケット料金は500ルピーです。

スリランカの国樹「セイロン鉄木」とは?

公園の入口を入ると、セイロン鉄木の森の中を道が続いています。

鉄木は、鉄のように重くて硬いことからその名が付いています。
セイロン鉄木は、過去仏のうちの「マンガラ・ブッダ」「スマナ・ブッタ」「レワタ・ブッタ」「ソービタ・ブッタ」が、その下で悟りを得たとされ、スリランカの国樹に指定されています。

参考)
Wikipedia:Mesua ferrea

森の眠る仏教僧院

ナーマル・ウヤナの森は、スリランカ最初の仏教王デーワナンピヤ・ティッサ王の時代から、紀元10世紀のダップラ5世(在位940-952年)の時代まで、仏教僧院が置かれた森だったと考えられています。公園内では、古い仏塔が見られます。

王国の罪人や亡命者が森に逃げ込んだ場合、王たちはその者たちを捕まえ罰することはできなかったと言われています。
仏僧たちは逃げ込んだ者たちを保護する代わりに、ナー(セイロン鉄木)を植林することを科したとされています。

ナーマル・ウヤナのナーの森は、自然林ではなく、人工林であることが確認されています。

仏僧によって作られたナーの人工林は他にもあり、ダンブッラから南西33-34キロ、車で1時間弱の距離になる「ナー・ウヤナ・アーランニャ・セーナーサナヤ」が有名です。

ナーは「セイロン鉄木」
ウヤナは「庭園」
アーランニャは「森の」
セーナーサナヤは「庵、隠居者の住居」という意味です。

 

寺院エリア

セイロン鉄木の森を抜けると、小さな寺院エリアに出ます。

上の写真は、新しく建てられた仏堂です。

下の写真は、ガネーシャの祠です。
訪問時(2017年8月)はまだガネーシャ像が置かれていませんでしたが、現在では真ん中にガネーシャ像が置かれているようです。

2018年6月に、日本人の支援で瞑想センターも建設されたそうです。

参考)
みんなの家:スリランカプロジェクト
Ameba:メディテーションセンター完成!!!!そしてローズクォーツマウンテンプロジェクト 、ここに終了!!

ピンク水晶山(ローズ・クオーツ・マウンテン)

上の写真には「Pink Quartz Mountain」と看板に書かれていますが、「Rose Quartz Mountain」と書かれていることもあります。

その名の通り、ピンク色の水晶でできた山が、寺院エリアを抜けた先にあります。

ピンク色の山を想像していくがっかりしてしまいます。
グレーの山に少しピンクというか赤みがかった感じです。

5億年ほど前に形成されたもので、7つの尾根が連なっていて、一番低い尾根が標高180m、一番高い尾根が標高300mと言われています。

近づいてみると、確かにピンク色っぽくはあります。

看板の写真などはかなり濃いピンク色で、加工しているのでは?と思いますが、かつてはもっとピンク色だったそうです。

報道によれば、地質調査・鉱山局のN.P Wijayananda局長が「直射日光や雨などに鉱物がさらされることからこの変色は自然なものだ」と述べたそうです。

TBSテレビ「日立 世界ふしぎ発見!」では、恋愛成就のパワースポットで裸足で登ることでそのパワーが得られると紹介されていました。

訪問時に見かけたスリランカ人女性たちは靴を履き、スリランカ人男性は裸足で歩いていました。
そこで話を聞いたところ、女性からは「恋愛と関係があるなんて聞いことはないです。裸足で登ると足を切ってしまうので危険です。靴を履いて登るべきです。」

男性からは「私は基本的にいつも裸足で歩いているからで、山からパワーを得るために裸足で歩いている訳ではありません。」とのことでした。

スリランカメディアの記事では、この山を訪れる目的は「山頂の仏像をお参りするため」と書かれています。

また、『地球の歩き方』には、「ここから産出されたローズクオーツは、かの有名なインドのタージ・マハルにも使用されている。」と書かれていますが、スリランカメディアの複数記事のでは、共通して「とも伝わっている」と断定はしていません。

上の写真の頂上にあるのは仏像です。

訪問時(2017年8月)は白い仏像でしたが、現在、ネットで調べるとピンク色の仏像が出てきます。
「タイからの巡礼者によって寄贈されたシャム様式の仏陀の座像」だそうです。

参考)
日立 世界ふしぎ発見!2016年11月12日 夜9時~放送:第1414回 魅惑のスリランカ 世界を虜にする輝く島の宝物

ドゥトゥギャムヌとエラーラの戦いの地

チョーラ朝からやってきてアヌラーダプラを占領したエラーラと、ルフナ国から攻め上がったドゥトゥギャムヌが戦った「ヴィジタプラの戦い」の戦場が、ナーマル・ウヤナの東にあるラナワ村だと伝えられています。

ラナワ村の寺院(おそらくRanawa Devrada Ranarada Purana)で、アヌラーダプラ時代の王ダップラ5世による碑文「アーディヤガラ」にはそのように書かれているそうです。

参考)
Roar media:The Pink Crystal Mountains Of Sri Lanka
Namal Uyana – iron wood forest reserve and rose quartz mountain
Daily News:Namal Uyana, national treasure
Daily News:Pink Quartz
Sunday Times:Jewels under the forest
Sunday Times:History in Pink
Sunday Observer:Jathika Namal Uyana – nature’s gift
Amazing Lanka:Jathika Namal Uyana – ජාතික නාමල් උයන
Wikipedia:Dappula V of Anuradhapura

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