世界の観光客を惹きつけるエッラのアーチ橋「ナインアーチブリッジ(Nine Arches Bridge)」
欧米人の旅人やスリランカ人の若者を始め、世界からの観光客がエッラに集まるようになった大きな要因はスリランカ鉄道のアーチ橋「ナインアーチブリッジ(Nine Arches Bridge)」がソーシャルメディアで話題になったことです。
歴史を感じさせる9つのアーチが美しいレンガ造りの橋は、大きく弧を描きながら紅茶畑から広がる緑の山と山をつないでいます。
橋の絶景に加えて、目の前を列車が走り抜ける様子が楽しめるのが醍醐味です。
本記事では、エッラにあるナインアーチブリッジについて解説していきます。
目次
ナインアーチブリッジとは?
エッラ(Ella)駅とデモダーラ(Demodara)駅の間にある、長さ91.44m、高さ24.38mのレンガ造りの鉄道アーチ橋です。
その名の通り、ナイン・アーチ・ブリッジは9つのアーチが美しく、橋は弧を描き、橋の下には茶畑が広がっています。
世界遺産に登録されているアーチ橋
アーチ橋は世界遺産に登録されている鉄道でも、代表的な景観地として知られています。
・世界遺産のオーストリアのゼメリング鉄道のカルテリンネ橋(世界遺産に初めて登録された鉄道)
・世界遺産のスイスとイタリアの国境を繋ぐレーティッシュ鉄道のラントヴァッサー橋
・世界遺産のインドのカールカー=シムラー鉄道のザ・アーチ・ギャラリー橋
スリランカ鉄道は世界遺産には登録されていませんが、これらの鉄道と同様に山岳地帯を走っています。
上記の3つの橋にはなく、スリランカのナインアーチブリッジにあるのは、鉄道が通る様子を目の前で見ることができることと、橋の上と線路の上を歩けることでしょう。
世界遺産に登録されている紅茶産地の鉄道
オーストリアのゼメリング鉄道に続いて、世界で2番目に世界遺産に登録された鉄道はインドのダージリン・ヒマラヤ鉄道です。
その後、紅茶産地として知られるニルギリを走るニルギリ鉄道、避暑地として知られるシムラーに向かうカールカー=シムラー鉄道も追加され、世界遺産「インドの山岳鉄道群」となっています。
スリランカ鉄道は世界遺産に登録されていませんが、ダージリン・ヒマラヤ鉄道、ニルギリ鉄道と同様に南アジアの紅茶産地を走る鉄道です。
橋が作られた背景
スリランカ鉄道のメインライン(コロンボ〜バドゥッラ)は宗主国のイギリスがコーヒーのプランテーションで収穫したコーヒー豆を運ぶために、コーヒーから紅茶にプランテーションが変更された後は、紅茶を運ぶために引かれたと言われています。
そのため、コーヒーや紅茶のプランテーションがある山岳地帯を縫うように走り、紅茶畑の絶景の中をこの鉄道は走り抜けますが、険しい山岳地帯を走るため、巨大なアーチ橋やループ線が作られています。
この橋は1921年に作られました。
スリランカ人のP. K. Appuhamiが建築し、チーフデザイナーはスリランカにおける「水力発電の父」と言われるD. J. Wimalasurendraが担当してと言われています。
ちなみに、スリランカでは水力発電が大きな比重を占めていて、2010年まではスリランカの発電の半数以上を水力発電がまかなっていたようです。
よく知られた噂では、第一次世界大戦(1914年〜1918年)の影響で、鉄は戦地で優先して使われ、レンガとセメントで橋が作られたと言われています。
スリランカ橋の上から、橋の脇から、橋・線路の上から、とそれぞれのアングルが楽しめ、目の前を列車が通る様子を見ることができるのは、スイスやオーストリアの鉄道では体験できないアトラクションでしょう。
橋までの5つのルート
橋に行くまでのルートは以下の5つがあります。
・橋の脇につながるトレイルがエッラ側とデモダーラ側に1つずつ
・橋の脇につながる道路がエッラ側とデモダーラ側に1つずつ
・エッラ駅から線路伝いに歩く
エッラ側トレイル
トレイルの入口の看板一番短く、オススメなのがこのルートです。
エッラ側のトレイルの入口(Nine Arches Bridge Path)はエッラのバス停から徒歩15分ほどで、入口から橋までは徒歩10分ほどで、橋の南側に着きます。
緑豊かな小道を進むトレイルは歩くのも楽しく、しばらく歩いた後に、谷間にアーチ橋が見えてきます。
トレイルの入口は町外れですが、ポツポツと断続的にカフェやゲストハウスが建っていますので、歩いていくのがオススメです。
エッラ側道路
歩きではなく、トゥクトゥクなど車両で橋まで行きたい人はこのルートになります。
エッラ駅を迂回して、橋の北側にぐるっと回るため、移動距離としては最も長くなります。
橋の脇にはトゥクトゥクが数台止まっていますので、行きはトレイルを歩き、帰りはトゥクトゥクで帰ることもできます。
デモダーラ側道路
こちらのルートはデモダーラ側に回り込むため、少し遠くなります。
エッラのバス停から徒歩で30分ちょっと、トゥクトゥクでは10分弱の距離になります。
エッラ側よりも丘が高いため、少し急な坂を登ります。
最後に橋に向かって丘を降りますが、丘は車両は通れません。
また少し急な下りの土の階段ですので、気をつけて進んでください。
階段を降りると、デモダーラ側の橋の南側に到着します。
高い丘の上からアーチ橋が見られますので、エッラ側のトレイルから来て、帰りはこのルートで帰ってもいいでしょう。
デモダーラ側トレイル
デモダーラ側の橋の南側にもトレイルがあります。
木々の中からアーチ橋が見られます。
途中まで行くと、デモダーラ側道路と同じルートになります。
エッラ駅から線路伝いに行く
エッラ駅から歩くと線路を歩いていくこともできます。
列車が通ることもあるので、気をつけて行ってください。
所要時間は40〜50分ほどと聞いています。
最後にトンネルを抜けると橋に到着します。
列車を見るポイント(橋の脇、丘の上)
エッラ側の橋の脇
エッラ側は南側にはベンチがいくつか用意されています。
北側はスペースが広めで、通過する列車を見る場合は弧の内側になるため、北側の方が良いでしょう。
北側にはトゥクトゥクが何台か止まっており、キングココナッツが売られていました。
エッラ側にはトンネルがあります。
エッラ側の丘の上
トレイルの最後は橋に向かって丘を降りますが、その丘を降りる手前にベンチがあり、アーチ橋を見下ろせるようになっています。
そこには通過する列車も時刻表も書いてあります。
チップボックスが置かれていますので、席を使う人はチップを支払いましょう。
デモダーラ側の橋の脇
デモダーラ側は南側は狭く、トレイルから見ることになるので、北側に人が集まります。
急斜面に茶畑があり、茶畑の中を降りて、橋の下の方までいくことができます。
下から橋を見上げるアングラが楽しめるのがグットです。
ただし、かなりの急斜面で、雨が降った日はぬかるんでもいますので、足元にお気をつけください。
デモダーラ側の丘の上
こちらの丘の上には小さなお店があります。
お店で休憩しながら、列車が来るのを待ってもいいでしょう。
列車が橋を通過する時間をチェック
列車が橋を通過する時間がエッラ駅側のトレイルの入口と出口に掲示されています。
入口と出口で記載されている時間が若干異なり、時間通りに列車がこない日もありますので、大まか目安として参考にしてください。
【入口の記載】6:20、 9:20、 11:55、12:30、13:30、15:30、17:30、18:45
【出口の記載】6:15 、6:30、 9:20、11:50、12:40、13:15、14:40、15:30、17:30、18:50、19:15
9:20と11:50の列車はデモダーラ側から来ました。
この時間はエッラ側の丘の上から撮影するのをお勧めします。
エッラ側から列車が来る時間の場合は、デモダーラ側の橋の脇あるいは丘の上から撮るといいでしょう。
まとめ
色々とご紹介しましたが、オススメはエッラ側のトレイルから橋に入り、橋を渡ってデモダーラから橋を見ることです。
11:50、12:40、13:15とお昼に列車が多く通るため、この時間帯に行くのをオススメします。
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「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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