ムッリヴィカル追悼記念日と戦没者追悼記念日とは?
5月18日はムッリヴィカル追悼記念日(Mullivaikkal Remembrance Day)、
5月19日は戦没者追悼記念日(Remembrance Day)」です。
本記事では、スリランカ内戦の終結に関わる「ムッリヴィカル追悼記念日」と「戦没者追悼記念日」について紹介します。
目次
戦没者追悼記念日(リメンブランスデー)とは?
戦没者記念日(リメンブランスデー)とは、スリランカ内戦の終結を記念する日です。
イギリスにも同名の記念日(リメンブランスデー)があり、第一次世界大戦の終結を記念した日(11月11日)で、戦没者追悼行事が行われています。
スリランカ内戦は、2009年5月19日にマヒンダ・ラージャパクシャ大統領が議会において終結宣言を行い、終戦しました。
2009年、マヒンダ・ラージャパクシャ大統領とサラッ・フォンセーカー陸軍司令官が並んで、内戦終結祝賀パレードがゴールフェイスグリーンで行われました。
2010年〜2014年はマヒンダ・ラージャパクシャ大統領が5月18日に「勝利の日(Victory Day)」として行事を行なっています。
2010年〜2013年はゴールフェイスグリーンで開催されています。
2014年はマータラで開催されています。
2015年にマイトリパーラ・シリセーナ大統領によって「戦没者記念日(Remembrance Day)」と名前を改称され、日付が5月19日に変更されています。
2015年はマータラで開催され、2016年以降はモニュメントがある国会議事堂前の広場で行われています。
2020年、ゴーターバヤ・ラージャパクシャ大統領も国会議事堂前の広場で行なっています。
ムッリヴィッカル追悼記念日(Mullivaikkal Remembrance Day)
戦没者追悼記念日の前日の5月18日は、タミル人の戦没者記念日となっています。
スリランカ内戦における最後の戦闘が行われた町「ムッリヴィッカル(Mullivaikkal)」の名から取られたムッリヴィッカル戦没者記念日と呼ばれています。LTTE(タミルイーラム解放の虎)議長のプラバカランの死亡が確認されたのが2009年5月18日でした。
最後の戦闘は「ムッリヴィッカル虐殺(Mullivaikkal massacre)」とも呼ばれています。
インドのタミル・ナードゥ州のタンジャーブルには、戦没者追悼碑「ムッリヴィッカル・メモリアル」が設置された広場があります。タンジャーブルは、タミル人王朝「チョーラ朝」の首都が置かれた町で、世界遺産「大チョーラ朝寺院群」に登録されている「ブリハディーシュヴァラ寺院」がある町で、インド大統領・首相が乗る政府専用機の名前「タンジョール」はこの町の名前から取られています。
タンジャーブルにブリハディーシュヴァラ寺院を建設したのは、アヌラーダプラを占領して、ポロンナルワに遷都したチョーラ朝のラージャラージャ1世です。
スリランカ政府設置の戦争記念物
ムッリヴィッカルとその周辺には戦争記念碑があります。
ムッリヴィッカルの戦争記念物
戦勝モニュメント(Monument of Victory)
他に以下のものがムッリヴィッカルにあります。
-ムッリヴィッカル・メモリアル・パーク(Mullivaikkal Memorial park)
-LTTEの潜水艦ヤード(Submarine Yard)
-シータイガーのトレーニングプール(LTTE Sea Tiger Training Swimming Pool)
ムラティブの戦争記念物
LTTEが本拠地キリノッチから逃れた先が東海岸の町「ムラティブ」でした。
2009年1月25日に政府軍によって制圧されています。
ムラティブには以下のものがあります。
-ムラティブ戦争メモリアル(Mullaitivu Camp War Memorial)
-ラフィール記念碑(Memorial Of Col. Lafeer)
1996年のムラティブでの戦闘で死去したスリランカ陸軍のラフィールの記念碑。
キリノッチの戦争記念物
LTTEの本拠地が置かれていた町です。
キリノッチ戦争記念碑(Killinochchi War Memorial Monument)
エレファントパスの戦争記念物
ジャフト半島と本土をつなぐエレファントパスは激戦地の一つでした。
エレファントパス戦争記念碑(Elephant Pass War Memorial)
破壊されたLTTEのブルドーザー(Terrorist bulldozer)
ブルドーザーを破壊したスリランカ政府軍兵のガミニの像(Hasalaka Gamini Ranaviru Smarakaya )
タミル人戦没者慰霊碑の破壊・撤去
2021年1月9日、マイトリパーラ・シリセーナ政権下の2019年にジャフナ大学に設置されたタミル人戦没者慰霊碑が撤去されたことに対して、学生がハンガーストライキを実施しています。
2021年5月13日、ムラティブに建てられたタミル人戦没者慰霊碑がスリランカ陸軍によって破壊・撤去されたことを、ムッリヴィッカル戦争追悼委員会が強く非難しています。
>関連記事
参照)
Anyday Guide:Remembrance Day in Sri Lanka
Wikipedia:Remembrance Day (Sri Lanka)
Wikipedia:National War Memorial, Colombo
ウィキペディア:リメンブランス・デー
Anyday Guide:Mullivaikkal Remembrance Day in Sri Lanka
Wikipedia:Mullivaikkal Remembrance Day
Wikipedia:Mullivaikal Muttram
Wikipedia:Mullivaikkal massacre
ウィキペディア:タンジャーヴール
THE HINDU:Tamils’ war memorial in Sri Lanka’s Mullaitivu found vandalised
Against the Memory Police: War and Remembrance in Sri Lanka
The diplomat: The Governance Post: Rajapaksa’s Attack on the right to Remember
Wikipedia:Maaveerar Naal
Wikipedia:Gamini Kularatne
Wikipedia:A. F. Lafir
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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