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スリランカ内戦中にLTTE本拠地に行き和平交渉をした大塚清一郎氏の著書『キルトをはいた外交官』笑いは世界をめぐる

2020年10月16日

初代エディンバラ総領事、ニューヨーク総領事、駐スリランカ大使、駐スウェーデン大使などを歴任し、英語、スペイン語、タイ語、シンハラ語、スウェーデン語でジョークを話し、メキシカンバンドで公演したり、バグハイプの演奏でニューヨークのパレードに出たり、スウェーデン伝統のスキーレースに出るなど、芸能外交官、歌う大使とも呼ばれた大塚清一郎氏の著書『キルトをはいた外交官』笑いは世界をめぐる を紹介します。

各国の文化や歴史、語源や由来についても紹介されていて、読むだけで教養が身につく、面白い本です。
以下、本の章立てに沿って、内容を紹介します。

プロローグ 老宰相のユーモア

マッカーサ元帥をマックと呼ぶ仲だったという吉田茂元総理の「外国に勤務したら、その国の言葉でジョークを言えるようになるのが外交官の第一歩だね。」の言葉が紹介されていますが、まさにこの一言がこの本を一本通す一つのテーマです。

外務省に入省して大磯の吉田茂邸に昼食に招かれたエピソードと、吉田茂と親交の深かったイギリスの宰相ウィンストン・チャーチルのジョークの話が紹介されています。

75歳になったチャーチルが死の恐怖について尋ねられた時の対応がユーモアたっぷりで面白いです。

ニューヨークの芸能外交官

ニューヨーク領事館勤務でありながらメキシカンバンドを結成し、2年間で60回も公演し、対日貿易赤字で日本バッシングがあった1980年代半ば、「日本人はワーカホリックばかりと聞いていたけれど、あなた達みたいにアルコホリックのような人もいるのネ。安心したわ。」とアメリカ人女性に言わしめたそうです。

ニューヨーク・ポスト、フォーカス(新潮社から発行されていた写真週刊誌)などメディアの取材も取り上げられています。

ジョージア州日米協会の年次晩餐会に招かれた際のエピソードは圧巻です。

警察をも巻き込んだ日本ではありえないスケール感のあるジョージア州日米協会の歓迎ぶりから始まり、デルタ航空の空港支配人・機長・フライトアテンダントの粋な対応が心に残ります。

こんなことをしてもらったらジョージアは一生忘れられない土地になることでしょう。

メキシコのカンクンから近い、スペイン語で「女の島」を意味するイスラ・ムヘーレス島(青い海と白い砂浜、そして美女の多いことが知られる!?)に行った際のエピソードは旅人心をくすぐります。

スコットランドのユーモア

スコッチウイスキー6大生産地のひとつで、スコットランドのモルトウイスキー蒸溜所の半分近くが集中する一大生産地「スペイサイド地方」を訪れた際のエピソードから始まります。

英国外務省の外郭団体が保有する研修施設ウィルトン・パークでの天安門事件後の中国情勢というセミナー時での大塚さんのロシア人、日本人、中国人に関するジョークが面白いです。

泰緬鉄道の建設に従事させられた戦争捕虜のスコットランド人とのやりとりは心温まるエピソードです。

東南アジアはジョークの宝庫

東南アジア各国の指導者やベトナム戦争に関するジョークが紹介されていて、当時の国、政治のことを想像できるようでジョークは面白いなと思います。

紹介されているジョークは以下の通り。
・フィリピンのマルコス大統領とイメルダ夫人に関するジョーク
・シンガポールのリークアンユー首相に関するジョーク
・マレーシアのマハディール首相に関するジョーク
・ベトナム戦争後のソ連離れに関するジョーク

私のお気に入りは、マニラで開催された国際会議での川口順子氏との掛け合いで行った「本屋の小話」。
『男は女の永遠の支配者』という本を探す中年男と女性店員とのやりとりが痛快でした。

父と子のバグパイプ

毎年3月17日、アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックの命日を祝うセントパトリックデー。

その日に行われる世界最大で最古のニューヨークのセントパトリックデーパレードにバグパイブ奏者として親子で参加した時のエピソード。

パレードが始められたのはアイルランドではなく、アイルランド系移民も多いアメリカだそうです。

ちなみに、本の表紙にはマンハッタンの5番街にそびえ立つセント・パトリック大聖堂をバックに親子でバグパイプを演奏する姿が描かれています。

日本では表参道や横浜元町などで緑色の服を着てパレードが行われています。

聖パトリックがカトリックの教えである「三位一体」を説明するために3つ葉のクローバー(シャムロックという)を使ったことから緑色やシャムロック模様が多用されます。

バグパイブの難しさと演奏の大変さ、そして、行進しながら演奏するパレードはきつさとやり遂げた爽快感、パレードの熱気が伝わってくる内容でした。

内戦の国スリランカで

最初にスリランカの歌と小話(プンチ・ヴィヒル)がいくつか紹介されていますが、私のお気に入りは「科学の発展で人間が月にも暮らすようになった月にある日本村、アメリカ村、スリランカ村の話」です。スリランカ人が月に住んだら、たしかに言いそうです 笑

そして、印象的なのがスリランカ内戦の停戦中にLTTEとの和平交渉のためにLTTE本拠地のキリノッチに行き、LTTEナンバー2の政治部長タミル チェルヴァン氏と会談したエピソード。

内戦中の生々しい描写があった後に、大野晋氏の『日本語の起源』を取り出して大塚氏が放ったジョークがすごいです。
タミル語で別れの挨拶をされたというのがさすがだなと思いました。

この賞を読みと、
2002年8月4日の大塚清一郎氏の訪問を皮切りに、
2002年10月にスリランカ平和構築・復興開発担当日本政府代表として明石康氏が任命
2003年1月、外相の川口順子氏がスリランカを訪問
2003年3月、日本政府がスリランカ政府・LTTEの和平交渉を箱根で主催
2003年6月、日本政府が「スリランカ復興開発に関する東京会議」を開催し、51か国、22の国際機関が参加、45億ドルの復興支援を表明、と日本がスリランカ内戦の和平に向けて動いたことを知ることができます。

後半は離任する大使のために大統領自ら送別の晩餐会を主催するのは外交慣例上もきわめて異例という晩餐会でのエピソードも面白いです。

スウェーデンの憂鬱とユーモア

世界最古のスキーレースでスウェーデン独立の逸話に基づくスキーレース「ヴァーサロペット」に関するエピソード。

ヴァーサロペットはスウェーデンで年に一度3月の第一日曜に開催される全長約90kmのクロスカントリースキーレースで、その歴史がスウェーデンがデンマークから独立した1520年の逸話まで遡ることから世界最古のスキーレースとされています。

スウェーデンの一大行事であり、その様子はテレビでも生中継されるそうです。
そのコースはスウェーデン建国の王グスタフ・ヴァーサが独立戦争を始まる際に辿ったルートが元になっています。

独立戦争の逸話は以下の通りです。
グスタフ・ヴァーサはスウェーデン独立派の貴族としてデンマーク軍と戦って捕らえられ、1520年にストックホルムでデンマーク王クリスチャン2世によるストックホルムの血浴が起こると、脱出してダーラナにいき、反乱を起こすことを呼びかけるが農民たちは同意しなかった。グスタフはノルウェーに向かうが、その後、ダーラナの農民隊はストックホルムの血浴のことを知り、グスタフに協力することにして若い二人がグスタフを追いかける。グスタフを見つけた場所がノルウェー国境近くのセーレン。グスタフはセーレンからダーラナに戻り、独立戦争を始めることになるが、その道が90kmであり、今も毎年セーレン・ダーラナ間でスキーレースが行われているのである。

もう一つのエピソードはスウェーデン国王の前でスウェーデンの歌を歌ったエピソード。

ミネソタの青い空

AFS(アメリカン・フィールド・サービス)の留学生として高校生でアメリカに行った時のエピソード。

アメリカのGNPは世界の半分を占め、日本のGNPはアメリカの1/16という時代という記述が印象的でした。

祖父を日本軍に殺されたシンガポール人女子学生(刀で首を切られたという)との会話は日本人としては重い話ですが、知っておくべき話でもあると思いました。

ケネディ大統領が学生たちに語った言葉はさすがケネディ大統領!という言葉でした。
「アメリカの強さも弱さも共に理解する友人となって頂きたいのです。」

エピローグ

ウォールストリートジャーナルの記事、ABCテレビでの記者のコメントなどが紹介され、NBCテレビにインタビューされた時の話が紹介されています。

まとめ

各国についての文化や歴史について知ることができ、とても良い本でした。
現地の言葉・歌・ジョークを身につけるというその姿勢と、なんでもやってみるチャレンジ精神が素晴らしいなと思いました。

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