ハロウィンの起源とスリランカにおけるハロウィン
10月31日のハロウィンはその起源を知ると、冬の訪れるを知らせるイベントと言えそうです。
本記事ではハロウィンについて紹介します。
ケルト人の祭を取り込んだカトリック教会の「諸聖人の日」
ハロウインの起源はケルト人の「サウィン(sam-fuin:夏-終わりの意味)」が由来とされています。
ケルト人は1年を夏と冬の2つの季節に分け、夏(光・生者)の終わりと冬(暗み・死者)の始まりを10月の終わりの夜に祝っていました。
ケルト人が多いアイルランドでは、イースターのように10月の最終月曜日(2021年は10月25日)「オクトーバーバンクホリデー(ハロウィンホリデー)」が公休日に制定されています。
カトリックが多いイタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなどは11月1日が諸聖人の日(万聖節)で公休日に制定されています。
アイルランド、スコットランドにはカボチャはなかったため、ジャック・オー・ランタンは西洋カブこと「ルタバガ」で作っていたそうです。
ジャック・オー・ランタンは死者を表す人の頭蓋骨をイメージしたもので、白いカブをくり抜いて作り、元々は頭蓋骨を使っていたのではないかとも言われています。
ジャガイモ飢饉でアメリカに渡ったアイルランド人によって、カブではなくアメリカ大陸原産のカボチャでジャック・オー・ランタンを作るようになったようです。
ハロウィーンの名は、アイルランド、スコットランドにキリスト教を布教する際に、それまで5月13日に祝っていた諸星人の日(スコットランドでAll Hallows’ Day、イングランドでAll Saint’s Day)をサウィンと同じ日に祝うように11月1日に変更したことに由来するようです。
キリスト教の教会暦やイスラム教のヒジュラ暦では日没で日付が変わるため、現在のように11月1日を「諸聖人の日」とすると、10月31日の夜が始まりのイブニングになり、All Hallow’s Eveningになり、それがHalloweenに変化していったそうです。
諸聖人の日に取り込まれたメキシコの「死者の日」
もう一つ同じ日に祝っている世界に知られたお祭りはメキシコの死者の日です。
レコンキスタでイベリア半島からイスラム勢力を追い出したスペインは、大西洋を渡ってアステカ王国に侵攻します。
アステカ暦では8月は「死者たちのための盛大な饗宴」という意味を持った月で、祖先のガイコツを身近に飾る習慣がありました。
この習慣がスペイン人の持ち込んだキリスト教の諸聖人の日に取り込まれ、現在のメキシコでは死者の日は8月ではなく11月2日に祝われ、ハロウインと同じ10月31日の夜から始まります。
キリスト教は新天地に布教する際に現地のお祭りを取り込むのがうまいようです。
キリスト教が新天地ローマで信仰されていた太陽神の生誕祭を取り込んだのがクリスマスです。
北方に布教する際に北欧ゲルマン人の冬至祭ユールを取り込み、聖ルチア祭がクリスマスシーズンの始まりとして祝われています。
古代ローマのルペルカーリア祭をカトリックが取り込んだのがヴァレンタインデーだと言われています。
北ドイツのザクセン人の春分祭りを取り込んだのがイースターだと言われています。
https://spiceup.lk/srilankaeaster/
スリランカの諸聖人教会
11月1日「諸聖人の日(All Saint’s Day)」といえば、スリランカには世界遺産ゴールフォート内とコロンボのボレッラに諸聖人教会(All Saint’s Church)があります。
スリランカにはカトリック教会コロンボ大教区と、イングランド国教会のコロンボ大教区があります。
ゴールの諸聖人教会はイングランド国教会に、
ボレッラの諸聖人教会はカトリック教会に属しています。
ゴールの諸聖人教会
ゴールの諸聖人教会は、イングランド国教会コロンボ教区の初代主教ジェームス・チャップマン(James Chapman)によって建設が着手され、二代目主教のピアーズ・クロートン(Piers Claughton)が1868年(明治元年)に礎石を設置しています。
ジェームス・チャップマンは名門のセントトーマスカレッジ(マウントラビニア)を設立したことでも知られています。
セントトーマスの卒業生には以下のような人たちがいます。
・初代首相セーナーナーヤカ
・第4代首相バンダーラナーヤカ
・第5代首相ウィジャヤーナンダ・ダハナーヤカ(Wijeyananda Dahanayake)
・スリランカ初の政党「Lanka Sama Samaja Party」を設立したレスリ・グナワルダナ(Leslie Goonewardene)
・Lanka Sama Samaja Party党首、野党党首、コロンボ市長を歴任したNMペレラ(Nanayakkarapathirage Martin Perera)
・パラダイスロード創業者のシャーンス・フェルナンド
ピアーズ・クロートンはセントヘレナ教区の初代主教も務めています。
ボレッラの諸聖人教会
ボレッラの諸聖人教会は、1884年にウィンダム・トンプソン、ウェリカダ刑務所長の妻、アイルランド人カトリック信者の女性がセイロン総督からキャンプベル公園に教会を建設する許可を得て建てられたものです。
参照)
ウィキペディア:ハロウィン
アイルランド留学センター:アイルランドの祝日
JETRO:イタリア祝祭日
JETRO:フランス祝祭日
JETRO:スペイン祝祭日
地球の歩き方:ポルトガルの祝日・休日
ウィキペディア:死者の日 (メキシコ)
JETRO:メキシコ祝祭日
千葉教会:教会の暦から
TANTANの雑学と哲学の小部屋:教会暦の一日が前日の日没からはじまる理由とは?旧約聖書の創世記の天地創造における神によって定められた一日の期間
Wikipedia:All Saints’ Church, Galle
Wikipedia:James Chapman (bishop)
Wikipedia:Piers Claughton
Wikipedia:S. Thomas’ College, Mount Lavinia
Wikipedia:Lanka Sama Samaja Party
Wikipedia:N. M. Perera
ウィキペディア:ウィジャヤナンダ・ダハナーヤカ
Wikipedia:All Saints’ Church, Borella
Wikipedia:Anglican Bishop of Colombo
Wikipedia:Roman Catholic Archdiocese of Colombo
ウィキペディア:聖公会
ウィキペディア:イングランド国教会
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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