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スリランカにおけるクリスマス〜キリスト教の伝来とクリスマスの由来〜

2020年12月22日

スリランカは仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教が共存している国です。

2012年の国勢調査によれば、仏教70.2%、ヒンドゥー教12.6%、イスラム教9.7%、キリスト教7.4%となっています。
日本は2018年の文化庁調べでは、神道系48.1%、仏教系46.5%、キリスト教系1.1%、その他4.3%となっています。

スリランカでは仏教徒が多数派ですが、ヒンドゥー教徒が多い町、イスラム教徒が多い町、キリスト教徒が多い町があります。

町ごとに宗教の比率は異なりますが、多くの町で、仏教寺院、ヒンドゥー寺院、モスク、教会と4宗教の施設は見ることができ、各地に根付いているといえます。

本記事ではスリランカにおけるクリスマス、キリスト教についてご紹介します。

クリスマスはお休み

2019年12月のシャングリラ・コロンボ(冒頭の写真も同様)

日本ではクリスマスはお休みではありませんが、スリランカでは仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教の祝祭日の一部がお休みになっています。

ただ、お休みといっても、スリランカではお休みに3つのタイプがあります。

スリランカのカレンダーには「Bank Holiday(銀行がお休み)」、「Public Holiday(公的機関がお休み)」、「Mercantile Holiday(会社がお休み)」の3つが記載されています。

クリスマスは3つとも該当しますので、銀行・公的機関・会社がお休みになります。

キリストの十二使徒の一人「トマス」がきた?

チェンナイの聖トマス大聖堂

キリストの十二使徒の一人「トマス」はインドで布教したとも言われています。

西暦52年にトマスが到着したとされるのは、インドの南西にあるマラバール海岸にあるケララです。

マラバール海岸は紀元前からメソポタミア、アラビア、ギリシャ、ローマなどにも知られ、大航海時代にヨーロッパ人が求めた胡椒(ペパー)の原産地でもあります。

ケララはアーユルヴェーダリゾートが多いことでも知られた町です。

トマスはケララから上陸して、南インドの玄関口とも言われる、南東のチェンナイまで行き、西暦72年に亡くなったとされています。

チェンナイ空港の近くにはトマスが殉教した「聖トマスの丘」があり、チェンナイの町には聖トマスの墓が祀られた「聖トマス大聖堂(サントメ教会)」があります。

スリランカではこのトマスのインドへの渡航を経由して、スリランカにキリスト教がもたらされたとも言われています。謂れでは、トマスがスリランカにきてキリスト教を布教したとも言われており、それを記念した聖トマス教会もあります。

823年にはケララ南部のコッラムにシリアから宣教師二人が上陸し、教会を建てていますが、スリランカではその影響を物語るのものはあまりありませんので、ポルトガルが来るまでのキリスト教は伝承の域であり、伝わっていたとしても、限定的なものだったと思われます。

ポルトガル伝来のカトリックが多数派

コロンボの聖トマス教会

2012年の国勢調査によれば、スリランカのキリスト教徒のうち、83.5%がカトリックとされています。

本格的なキリスト教の布教は、カトリック教国のポルトガル王国からやってきたローレンコ・デ・アルメイダの部隊が到着したことに始まります。

キリスト教への改宗とともに、ポルトガル名に変えた人たちも多く、スリランカにはフェルナンドやデ・シルヴァなどの名前を持つ人が多くいます。

ポルトガルはスリランカの海岸地域を主に支配したため、現在もキリスト教徒は海岸沿いの町に多くいます。

キリスト教が持ち込まれるまでは、
・北インドから渡ってきたとされるシンハラ人が仏教
・南インドから渡ってきたタミル人がヒンドゥー教
・アラブから渡ってきたムーア人がイスラム教
となっていましたが、シンハラ人とタミル人の一部が、キリスト教徒に改宗しています。

そのため、キリスト教徒にはシンハラ人もタミル人もいて、シンハラの多くが仏教徒、タミル人の多くがヒンドゥー教徒と言われるのは、両民族の一部がキリスト教徒だからです。

キリストの降誕場面が飾られる教会

ニゴンボの教会に置かれた降誕場面

クリスマスはChrist(キリスト)mas(ミサ、祭)で、キリストの降誕を祝う日です。

古代ギリシア語ではキリストを「Χριστος(クリストス)」と記述し、そこからXmasの表記はきています。

キリストとは救世主という意味です。

キリストの降誕を祝うクリスマスには、スリランカの教会ではキリストの降誕を表す模型が飾られます。

キリストは家畜小屋あるいは洞窟で生まれたとされていますが、スリランカでは主に家畜小屋を模した置物が飾られます。

そして、12月25日になった0時に赤ちゃんのキリスト像が、家畜小屋の聖母マリアの前に置かれます。

12月25日になると生まれたキリスト像が置かれます。

25日なってキリストが置かれた状態

クリスマスの過ごし方

St. Andrew’s Scots Kirk Church

スリランカのクリスチャンから聞いた話だと、24日の夜は家族で食事をして、24日の23:45頃に教会に集まり、25日0時から教会で礼拝が始まり、キリスト像が降誕場面に置かれるそうです。

そして、明けた25日の午前中はお菓子を作って近所の人に配るそうです。
25日の午後は親戚で集まってパーティーをしたり、親戚を訪ねたりするそうです。
そうして、年末まで過ごすそうです。

クリスマス初日は教会暦では、12月24日の日没に始まり、12月25日の日没に終わります。
ユダヤ暦、教会暦、イスラム暦ともに日没で日付が変わります。
つまり、クリスマスが始まる夜が、クリスマス・イブニング(クリスマスイブ)です。
イブは前日や前夜祭という意味ではなく、夜のことだそうです。

イングランド国旗には聖ジョージの十字架が描かれていますが、聖ジョージの日は聖ジョージズイブとも呼ばれています。
スコットランド国旗には聖アンドリュースの十字が描かれていますが、聖アンドリュースの日は聖アンドリューズイブとも呼ばれています。

クリスマスイブの語源は、昔の日没始まりのクリスマスが関係しているのでしょうが、25日になった時に教会に行くというのは、現在の暦になってからのことではないかと思います。24日の日没にクリスマスが始まるのであれば、キリスト像を家畜小屋に置くのは24日の日没になりそうです。

西方教会では、聖アンドリュースの日から最も近い日曜日から12月24日までを「待降節(アドベント」、
12月25日から1月6日の公現祭までを降誕節としてお祝いするそうです。

クリスマスの起源は冬至祭

The Steuart by Citrus

キリスト教徒にとって、一番大切な日はイエス・キリストが処刑された後に復活したという奇跡を祝うイースターです。

クリスマスはキリストの降誕を祝いますが、キリストの復活と違い、聖書にいつ生まれたかの記述がありません。

それではなぜ、12月25日に祝われるようになったのでしょうか?

それはミトラ教の冬至祭、北欧ゲルマン人の冬至祭が由来だと言われています。

キリスト教がまだ新興宗教だった頃、すでにローマで普及していた古代イラン発祥のミトラ教は、太陽神「ソル・インウィクトゥス」を冬至(現在は12月21日ですが当時の暦では12月25日)に祝っていたと言われています。冬至を境に太陽の力が強まっていく日だからでしょう。

1月6日の公現祭も、元々はミトラ教の祝日だったと言われています。

また、北欧諸国ではクリスマスのことを「ユール」と呼びますが、ユールはキリスト教が北欧に伝播する前からある冬至祭りのことです。

北欧ではかつては冬至を新年とし、主神オーディンにお供えをしていたそうです。
寒さの厳しい北欧では、太陽が空にある時間が長くなり始める冬至は大事な日だったのでしょう。

スウェーデン、フィンランドでは夏至祭もあり、スウェーデンは夏至祭の前日には夏至祭イブも祝うようです。

北欧のクリスマスであるユールは、12月13日の聖ルシアの日から始まります。
かつての北欧諸国の暦では、12月13日に冬至でした。
カリブ海の国セントルシアはコロンブスが聖ルシアの日にこの島を発見したことから名付けた国名です。

ちなみに古代中国を起源とする干支も冬至で1年間が切り替わります。

クリスマスツリーの由来

クリスマスツリーは、北欧のゲルマン民族が冬至祭り(ユール)の際に、冬でも枯れない樫の木を生命の象徴として飾っていたものが、キリスト教化した際にモミの木になったと言われています。

クリスマスリースの由来

北欧のゲルマン民族が冬至祭りで使っていた、常緑樹のリースが起源ではないかと言われています。

ビュッシュ・ド・ノエルの由来

クリスマスイブに暖炉で焚く薪のことをユール・ログ(クリスマスの丸太の意味、英語ではクリスマス・ブロック)と言いますが、これをフランス語ではビュッシュ・ド・ノエルと言います。

クリスマスの丸太(ユール・ログ)を模して、パリのケーキ職人が作ったのが「ビュッシュ・ド・ノエル」です。

ビュッシュはフランス語で丸太、ノエルはフランス語でクリスマスのことです。

サンタクロースの由来

ローマ帝国リュキア属州ミラ(現・トルコ共和国アンタルヤ県デムレ)の主教ニコラスがモデルとされています。

サンタクロースのモデルになったエピソードは、ニコラオスは貧しさのために3人の娘を売ろうとする家庭があることを知り、真夜中にその家の窓(あるいは煙突)から金貨を投げ込みます。その金貨が暖炉に吊るしていた靴下に入り、その金貨のために、3人の娘は売られることもなく、結婚の持参金も用意できたと言われています。

ニコラオスは聖人として崇められ、「聖ニコラス(Saint Nicholas) 」と呼ばれるようになります。

オランダ語では「Sint-Nicolaas(シンタ・ニコーラース」、あるいは「Sinterklaas(シンタクラース)」と言います。

オランダが北米東海岸を植民してシンタクラースを伝えた後、イギリスの植民地になりますが、その際、シンタクラースがサンタクロースとして言われるようになったとされています。

オランダ、ドイツでは12月5日の夜(聖ニコラスの日の前夜)にプレゼントをあげる習慣があります。

また、オランダでは、11月11日の後の最初の土曜日にシンタクラースがスペインから船で到着し、12月5日までシンタクラースは学校、病院、ショッピングセンターを慰問し、お菓子などを配るそうです。

イエス・キリストの意味

クリスマスはイエス・キリストの降誕祭ですが、「イエス」と「キリスト」の意味を見ていきましょう。

イエスは一般的な男性名

イエス・キリストはイスラエルのナザレに生まれ育ったとされています。

イスラエルの言葉はヘブライ語です。

イエスはヘブライ語の一般的な男性の名前「イエシュア」が元になっています。

キリスト教はイスラエルからギリシャに伝わりますが、ヘブライ語のヨシュアが古代ギリシャ語ではイエスース(Iesous)になります。

キリスト教はローマにも伝わり、中世ラテン語ではイエズス(Iesus)と言いました。

ローマを本部とするイエズス会は、この中世ラテン語の呼び名からきており、日本でカトリックを意味する言葉として使われました。

そして、それが英語になったのがジーザス(Jesus)です。

キリストは救世主という意味

ヘブライ語で「油を塗られた者」を意味するマシアハを由来とする「メシア」がキリストの語源です。

旧約聖書には王や祭司は就任時に油を塗られた書かれているそうです。

メシアがギリシャ語ではクリストスとなり、英語でクライスト(Christ)となります。

イエス・キリストは日本語の表記であり、英語ではJesus Christと言います。

Jesus(男性名) Christ(救世主)という意味ですから、日本語で言えば、救世主太郎といえるかもしれません。

イエスが生まれ育ったナザレの地から、Jesus of Nazarethとも英語で言いますが、日本の武家も治めた土地を姓名として名乗っていましたので、ナザレ太郎といったところでしょうか。

まとめ

クリスマスの元になったミトラ教の太陽神は、古代インド・イランのミスラ神が元とされ、インド神話、リグ・ヴェーダに記述され、ゾロアスター教の神でもあるそうです。世界は昔から繋がり、影響しあっていたことが分かります。

また、東方教会・西方教会、カトリック・プロテスタント でもお祝いの習慣が異なる上に、国ごとにも違うがあることが分かります。

スリランカではクリスチャンの友人にクリスマスにお家に招かれ、仏教徒の友人にシンハラ・タミルニューイヤーに家に招かれたことがありますが、スリランカでクリスマスを過ごされる方は、クリスチャンと時間をともにして、日本とは違うクリスマスを垣間見るのもいいでしょう。

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参照

Wikipedia「Christianity in Sri Lanka」
文化庁「令和元年版 宗教年鑑」
Wikipedia「Thomas the Apostle」
Wikipedia「St. Thomas Cathedral Basilica, Chennai」
Wikipedia「St. Thomas Mount」
Wikipedeia「Kollam」
ウィキペディア「降誕場面」
クリスマスのお話 クリスマスとは?クリスマスの楽しみ方
クリスマスのお話 クリスマスの由来や起源、意味は?
英国におけるクリスマス
ウィキペディア「イエス・キリスト」
Wikipedia「Jesus」
Wikipedia「Christmas」
ウィキペディア「クリスマス」
ウィキペディア「教会暦」
ウィキペディア「ユール」
ウィキペディア「ビュッシュ・ド・ノエル」
ウィキペディア「公現祭」
コトバンク「公現祭」
Wikipedia「Saint Andrew’s Day」
Wikipedia「Saint George’s Day」
ウィキペディア「聖ルチア祭」
ウィキペディア「イエズス会」
ウィキペディア「クリスマスツリー」
ウィキペディア「シンタクラース」
ドイツのクリスマス文化「聖ニコラウスの日」ってなんだろう?
シンタクラース(聖ニコラスの日)
ウィキペディア「ミトラ教」
ウィキペディア「ミスラ」
ウィキペディア「ゾロアスター教」

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