スリランカ農村生活を体験するアクティビティ&エコツアー
スリランカ南部デニヤーヤにて、地元農家の有機栽培への転換を支援しているNPO法人パルシックは、農村生活を体験するアクティビティ・エコツアーを実施しています。
弊社のインターン生・元インターン生たちと5人で農村にホームステイして、シナモンスティック作り体験、茶畑見学、村のお寺の行事見学、アーユルヴェーダ医師の診療所見学、料理教室と体験してきました。
破格の料金設定で、オーガニック紅茶やオーガニックシナモン、オーガニック胡椒など支援している農家さんが作った農作物を購入できますが、いずれも激安です。
デニヤーヤは、世界自然遺産「シンハラージャ森林保護区」の南の玄関口であり、コロンボやバンダーラナーヤカ国際空港から行くには世界文化遺産「ゴールの旧市街と要塞」の近くを通るため、1泊2日で農村体験と世界遺産2つを見学してきました。
シンハラージャにデニヤヤ側から行く場合は、パルシックさんで農村体験するのをお勧めします!ということで、僕らが体験してきた様子を紹介していきます!!
認定NPO法人パルシックとは?
認定NPO法人パルシックは、東ティモール、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、パレスチナ、日本、シリア・レバノン・トルコとアジアの国々で、⺠際協力事業、⺠際教育事業、フェアトレード事業、緊急支援事業、復興支援事業、経済自立支援などを行っています。
スリランカの支援は2004年にジャフナ事務所開設から始まり、デニヤーヤでは2010年にキトゥル作り支援から始め、2011年より小規模農家の有機栽培への転換支援を行っています。
日本人スタッフが2011年4月から2016年3月までデニヤーヤ事務所に駐在し、2016年4月からはデニヤーヤにはスリランカ人スタッフのみで、東京から遠隔でのサポートで運営されています。
今回の農村ホームステイ、エコツアーは東京のスタッフさんに相談して、現地で体験するプログラムについてご案内していただき、現地にてスリランカ人スタッフさんたちに迎え入れていただきました。
デニヤーヤはどういうところ?
デニヤーヤは、スリランカ南部州マータラ県にある小さな山村です。英語表記がDeniyayaのため、それをそのままカタカナ表記したデニヤヤという記述も見られますが、シンハラ文字を読むと「ヤー」と長音文字になっていますので、デニヤーヤと言う方がスリランカの人たちは分かりやすいでしょう。
デニヤーヤは、世界自然遺産「シンハラージャ森林保護区」に隣接した南の玄関口であり、豊かな自然と山地の冷涼な気候が特徴と言われ、主力産業は茶栽培です。
ちなみに、シンハラージャ森林保護区には2つの玄関口があり、一つが北側にあるラトゥナプラ(古代から知られる宝石の町で茶も栽培しています)、もう一つが南側にあるデニヤーヤです。
コロンボからデニヤーヤは車で4時間ほどです。
コロンボを朝7時に出発すると、休憩をはさみつつ12時頃にデニヤーヤに到着し、農家さんの家でランチをいただき、午後からアクティビティをすることができます。
デニヤーヤからシンハラージャ森林保護区の入口までは車で30分弱(10キロ弱)です。私たちは翌朝にシンハラージャ森林保護区を訪れて、お昼に帰っきて、農家さんの家で再度ランチをいただき、シャワーを浴びて着替えてゴールに向けて出発。
その日の夜に帰国する学生がいたため、ゴールで夕食をして帰りましたが、時間にゆとりがあればゴールに泊まって世界遺産のゴールの町を散策できますし、サーフスポットが点在する海が綺麗な南海岸のビーチを訪れて帰ってくるのもいいでしょう。
ちなみに、デニヤーヤ郊外にはヒッカドゥワ郊外のシーニガマのように、呪いの力があることで知られる寺院「ゲタバル・ラジャ・マハー・ウィハーラヤ」があるようです。私たちは予定を詰め込んでしまったため行きませんでしたが、次回は立ち寄ってみたいと思います。
参考)
Wikipedia:Deniyaya
Amazing Lanka:ガタバル ラジャマハ ヴィハーラヤ (ගැටබරු රජමහා විහාරය)
農村で体験できるアクティビティとは?
11のアクティビティ一覧
パルシックさんから送っていただいた農村で体験できるアクティビティは以下の通りです。(2023年11月当時の一人当たり金額)
・茶畑での茶摘み体験:1,000ルピー
・キトゥル蜜の採取見学:1,000ルピー
・シナモンスティック作り体験:1,000ルピー
・コンポストセンターでのコンポスト作り体験:1,000ルピー
・アーユルヴェーダ医師の診療所見学:1,000ルピー
・川にできた天然プールでの水遊び:1,000ルピー
・村のお寺での行事見学:1,000ルピー
・スリランカ家庭で料理教室:1,000ルピー
・スリランカ家庭でホームステイ:シングルルーム3,000ルピー、ツインルーム4,500ルピー
・スリランカ家庭で朝食:900ルピー
・スリランカ家庭でランチ:1000ルピー
・スリランカ家庭でランチ:900ルピー
・有機農家さんの自宅でティータイム:250ルピー
安すぎです!パルシックさんは日本でもスリランカ産のオーガニック紅茶を販売しており、とても安いのですが、この価格設定は衝撃です。後ほど紹介しますが、デニヤーヤ事務所で販売しているオーガニック紅茶やオーガニックスパイスも破格です。
今回はコロナ禍のためリモートで弊社でインターンをしていた学生が、「就職前に取材させてもらったパルシックさんの活動地に行ってみたい!」と就活を終えてスリランカに遊びに来たので、その子の希望に基づいてパルシックさんに体験をアレンジしてもらいました。
まずはパルシックのデニヤーヤ事務所に行き、スタッフさんと合流して、ホームステイさせてもらう家庭に一緒に向かいます。
スリランカ家庭に到着!
道に面して玄関があり、階段を上がっていくと、そこが家の入口でした。
このフロアーにリビング(上の写真)、ダイニングとゲストルーム、バスルームがあります。
階段を一つ上がった中2階に料理教室をするキッチン、さらに階段を上がった2階にもゲストルームとバスルームがありました。
元々僕らは6人で4部屋に泊まる予定でしたが、当日になって一人が日本のリモートアルバイトのために参加できなくなり、5人で3部屋を借りました。
スリランカ家庭でランチ
コロンボを朝7時に出発しようとしましたが、朝が苦手な子がいたので朝8時に出発。デニヤーヤに到着したのは13時を過ぎでした。
お家の場所は町の中心から少し山道を下さって、脇道を入ったところにある自然豊かな場所。
到着すると、「もうご飯できているわよ!」とホームステイ先のお母さんがランチを出してくれました。
外国人にも優しいマイルドなカレーが揃っていて、食べやすく美味しいスリランカカレーでした。
ホームステイさせてもらったお家の前の道を歩いていたら、サルがいました。
トラックの荷台に乗って移動
ホームステイ先のお家から、アクティビティを受け入れてくれる有機農家さんの家にトラックで移動します。
景色がよく、風が心地よい山道を荷台に乗って移動すること自体がアトラクションであり、これが結構楽しいです。
町の中心地を通り抜け、山道を登って、今度は山道を下り、しばらく走ると川の橋がかかっているところでトラックが止まりました。所要時間は約30分。
川の向こう側には茶畑が見えました。
有機農家さんの家に到着です!
茶摘み体験
農家さんの家の裏にある茶園で、パルシックのスタッフさんから英語で茶摘みについて説明を受けます。
一芯二葉で摘むので、ここから取りましょう!と説明を受けながら、茶摘みをしていきます。
農家さんに質問がある場合は、パルシックのスタッフさんが、農家さんとのシンハラ語の会話を英語で通訳してくれます。
周辺のスパイスやフルーツを見学
自然農法のため、茶だけではなく、コーヒーやカカオ、スパイス、フルーツ、野菜も混在して栽培されています。
赤く実っているコーヒーチェリー。
胡椒です。かじらせてもらうと、胡椒の香りと刺激が口の中に広がりました。
カカオの実。
サワーソップ。
パイナップル。
生姜。
レモングラス。
シナモンスティック作り体験
家の周辺の農園を回って、最後に農家のお父さんがシナモンの木を切り倒し、余計な小枝を鎌でカットしました。
まずは硬い樹皮をはがしていきます。
続いて、樹皮に棒を擦り付けます。樹液が染み出てくるまでやりますが、それが結構疲れます。
そして、最後に樹皮を剥がしていきます。
丸く出来上がりました!
有機農家さん宅でティータイム
農家さんのお孫さんがお菓子を持ってきてくれました。
庭に椅子を出してもらって、みんなでお菓子と紅茶をいただきました。
先ほど各自が作ったシナモンスティックもお土産として持ち帰りました。後日、家で料理や紅茶などに入れてシナモンを使いましたが、お店で買うシナモンよりも味と香りをしっかりと感じられるように思いました。
お祭り開催中の地元のお寺を訪問!
有機農家さんの家を後にして、次はお寺「キーリワラガマ」に訪問です。
お寺に行く道の途中でストリートクリケットをやっていました。
僕らも順番に打たせもらいました。
お寺に到着!この日はポーヤデーの1週間前でしたので、このお寺独自のお祭りのようです。
境内では紅茶とお菓子を配っていて、僕らも有り難くいただきました。
子供たちと交流させてもらいました。こういう触れ合いが楽しいですよね!
お寺を後にして、トラックに乗るため道を歩いて戻っていると、木の上から呼び掛ける声が。見上げると、木の上で果物を食べている子供が二人!しばらく手を振って、僕らを見送ってくれました。
アーユルヴェーダドクターのお宅訪問
村のお医者さんですので、アーユルヴェーダとも言いますが、スリランカ土着の伝承医療のヘラウェダカマと言った方がより正確でしょう。
施術室やオイルの棚を見せてもらった後に、ベランダで紅茶とお菓子をいただきながらドクターに対して質問していきます。
ここでもパルシックのスタッフさんが英語とシンハラ語の通訳をしてくれます。
訪れた時は日も暮れて暗くなっていましたが、ドクターのお話をしばらく聞いていると、急な患者さんが訪ねてきたので、ドクターは診察・治療をするとのことで、僕らはドクター宅を後にしました。
アーユルヴェーダとスリランカ伝承医療との違いについては、以下を参照ください。
スリランカ家庭で料理教室
最後はホームステイさせてもらうお家に戻ってきて、みんなで夕食を作る料理教室です!
夕食のカレーをインディアーップでいただくことにして、インディアーップをどんどん作っていきます。
お家のお母さんが料理を作っていく様子を見ながら、手伝いながら調理していきます。
スリランカ家庭で夕食!
写真を撮り忘れてしまいましたが、みんなで美味しくいただきました。
就寝!
山の中なので、虫の音が聞こえて心地良い、というよりも結構大きく聞こえて、テントしているような気分で眠りにつきました。
僕はスマホの目覚ましを鳥と虫の音に設定していますが、翌朝は目覚ましとほぼ同じ鳥と虫の音がより大音量で外から流れていて、危うく目覚ましに気づかないところでした。
朝ご飯
早朝に起きて、シンハラージャに行くことにしたので、ロティ・オムレツ・バナナを包んで渡してもらいました。
締めのランチ!
早めに出発して、ゴールフォートでランチをしようと思っていましたが、シンハラージャを歩き、帰り道にルンビニ茶園を見学し、お腹も減って疲れていたので、今日もランチをお家でいただくことにしました。
パルシックのデニヤーヤ事務所でお買い物
最後にパルシックのデニヤーヤ事務所で支払いをして完了です。
最初に事務所を訪れた時も、最後の支払いに訪れた時も、そこが事務所だとはスタッフさんからは説明されず、車で待っていて!と言われて金額を明示されただけでした。
もしや、これはパルシックさんのデニヤーヤ事務所なのでは?と車を降りてみたら、パルシックさんのロゴが小さく貼ってあり、中には有機農家の皆さんが作った紅茶やスパイスが売られていました。
僕らはパルシックさんを訪ねに来たのだから案内してよ!というか商売っ気なさすぎでしょ!!と。
オーガニック紅茶
オーガニック紅茶のBPOが250グラムで350ルピー!安すぎるでしょ!!
オーガニックシナモン
オーガニックシナモンが25グラムで170ルピー。激安の殿堂かよ!
オーガニックペッパー
オーガニックの胡椒が50グラムで175ルピー。
オーガニックカルダモン
オーガニックのカルダモンは5グラムで100ルピー!
スイートタマリンド
たったの20ルピー。
せっかくなので、全種類買って帰りました。
シーギリヤ・ダンブッラとキャンディの間にあるマータレーには、観光ガイドやドライバーが外国人観光客を連れてくるのを待っているスパイスガーデンが点在しており、「スパイスガーデンは高すぎるから行くな!」とよく言われますが、パッケージではなく、中身を買い求める派の僕は、こういう方が好きです。
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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