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アーユルヴェーダとスリランカの伝承医学ヘラウェダカマについて理解が深まる『スリランカに学ぶアーユルヴェーダのある暮らし』

2020年11月11日

伝統・伝承医療のアーユルヴェーダ・ヘラウェダカマ、それらに関連したハーブ、スパイス、アーユルヴェーダ食、宝石療法、占星術などについて知ることができる本『スリランカに学ぶアーユルヴェーダのある暮らし』をご紹介します。

アマゾンのレビューで「キレイでかわいい!!でも内容が深い!」と表現されていますが、と高評価を受けている通り、各分野の専門家に取材したことをグッと凝縮し、それをキレイな写真とかわいいイラストや図解で解説した内容になっています。

ページ数も130ページとコンパクトですが、網羅的にまとめられた情報が多く、非常に実用的です。

取材先、取材対象は以下のように多岐にわたっています。
伝統医療省の大臣、コロンボ大学、ケラニヤ大学、ヘラウェダカマの名医たち、ヘラウェダカマスクール、ヘラウェダカマの患者、占星術士、宝石療法、「音」によるヒーリング -マントラ、スリランカにある日系アーユルヴェーダ「アーユピヤサ」、スリランカ最古のアーユルヴェーダクリニックがあるミヒンタレー、市場・スーパーなど。

私がこの本を読んで記憶に残ったのは以下の5点です。

1)スリランカのカレーは「スパイス&ハーブの温野菜」という説明

2)ドーシャの説明で、インドのアーユルヴェーダでいう「カパ」に当たるのが、スリランカの「セマ」と説明されいてること。これは知りませんでした。また、ヴァータと記載されることが多いですが、この本では「ワータ」と記載しているのも、スリランカの発音に近いと思います。

3)プールヴァ・カルマ(浄化の治療)。ハードな治療であるパンチャ・カルマは聞きますが、通常の施術をプールヴァ・カルマと説明されています。アーユルヴェーダの用語はサンスクリット語、スリランカの言葉はシンハラ語でそのまま記載すると、記号としてのカタカナになってしまいますが、語源や意味が説明されているので、理解が深まります。

4)伝承医療のヘラウェダカマ。ヘラウェダカマについてかなり詳しく説明され、名医の紹介もされているのが興味深いです。ヘラウェダカマ、宝石療法、占星術、アーユルヴェーダがスリランカの生活に浸透していることを感じました。ヘラウェダカマは土着医療と言われることも多いですが、伝承医療と表現しているのはとても良いと思いました。

5)図鑑が多い。植物図鑑、定番オイル10、スパイス図鑑、フルーツ、ヘラウェダカマ名医図鑑、アーユルヴェーダの薬の種類、アーユルヴェーダのトリートメント、ドーシャごとの食事のメニューなどが写真付きで効能などをまとめて紹介されていて、全体像を掴む助けになります。

また、スリランカの人たちは一般の人でも食材やスパイスについて詳しいということを本書に何度か出ていますが、スリランカに暮らしている私が感じたことがない感覚です。
私はスリランカ人と暮らしたり、一緒に仕事をしているわけではないので、それを感じていないのかもしれません。
アーユルヴェーダ関連の人にあったから、著書さんはそう感じたのかもしれませんが、いずれにしろ、多くのスリランカ人に取材して本書を書いたことが感じられます。

以下、気になる内容をピックアップしましたが、本書は写真、図解、イラストつきで分かりやすく紹介されていますので、アーユルヴェーダに興味がある方は本を実際に読むことをお勧めいたします。

目次

伝統医療省のガマゲ大臣の言葉

「西洋医療はすぐに治りますが、副作用がある。根本から体質を変えて長生きしたいなら、やはりアーユルヴェーダ。我々は大学や国営のアーユルヴェーダ製薬工場を設立したり、メディカルハーブガーデンをつくるなどして、この伝統医療を守っています。」

大臣は「朝はコラキャンダ(おかゆ)と軽めの食事、昼はしっかりと、夜は最も軽く。」という生活をされているそうです。

※コラキャンダは青菜、ココナッツミルク、お米で作られるおかゆ。ゴトコラ、ハータワーリエ、コックモッタなどが使われる。スリランカでは朝によく飲まれる。

アーユルヴェーダとは?

アーユルヴェーダは古代ヒマラヤで生まれた世界最古の医療。

西洋医学では風邪に対して同じような薬が処方されるが、アーユルヴェーダは人によって処方が異なります。その人の体質によって熱のでた原因も違い、体を冷やすのか温めるのか、といった対処が変わってきます。親から譲り受けた体質、食物、ストレスなどさまざまな要因によって、私たちの心と体の状態は常に変化しています。それに対応する生き方処方箋がアーユルヴェーダの神髄です。

西洋医学ではアトピー性皮膚炎や生活習慣病は症状を抑えることと、出さないことに費やされます。一方、アーユルヴェーダでは「症状が出ない体質へ」と導く治療がメイン。症状を即座に抑える力は弱いものの、じっくりと、でも確実に「薬に頼らなくていい体」へと導きます。西洋医学で治りづらい骨の疾患、半身不随、蛇に噛まれたトラブルも得意とします。

アーユルヴェーダでは「不調や病気の原因は、その人自身にある」と考えます。

自然治癒力を引き出すことで、毒素を溜めない体に。病気になりにくくなるだけでなく、肌も綺麗になります。

スリランカのアーユルヴェーダは、古代ヒマラヤのアーユルヴェーダ、スリランカ土着のヘラウェダカマ、南インドのシッダ医学、ギリシャ・アラブのユナニ医学が融合したスリランカ独自のもの。

日本ではオイルマッサージにスポットが当たり、アーユルヴェーダ=美容健康法と捉えられがちですが、スリランカでは、仏教哲学に基づいた”生き方”そのもの。

ドーシャとは?

日本語ではヴァータと記載されることが多いです。これは英語表記が「Vata」だからだと思いますが、シンハラ語の発音では「ヴァ」よりも「ワ」発音に近く、この本では「ワータ」と紹介されています。

インドのアーユルヴェーダでいう「カパ」に当たるのが、スリランカの「セマ」という説明も、とても丁寧だと思います。

本書には各ドーシャの特徴、自分のドーシャを知る簡易チェックシートがついています。

学問としてのアーユルヴェーダ

コロンボ大学では、インド由来のアーユルヴェーダ、スリランカの伝承医学、ユナニ医学、シッダ医学の体系的な学習が可能。6年制で卒業後は国家資格が得られます。

伝承医学のヘラウェダカマの学校では、5年間の学習の後、ヘラウェダカマの治療院で働く資格を得ることができます。

大学には、親の職業にかかわらず本人の意思で入学する生徒が多いが、ヘラウェダカマスクールは何代にもわたって親や親族がヘラウェダカマ医である場合がほとんど。解剖学的なことを学校で学び、脈診や薬の処方など神髄となる技術は親族から直接指導を受けるという。

アーユルヴェーダの施術

医者による診察(コンサルテーション)

施術の前に行う。施術内容(オイルやハーブを使ったマッサージ)を決定するとともに、経口摂取する丸薬や液体薬と、皮膚から吸収するオイルの両面から働きかけます。

積極的に摂るべき食材、避けるべき食材の指導も行い、不調の起きにくい体を目指します。

アーユルヴェーダにおける施術の考え方

「人間は、本来自らに備わった自然治癒力で美しなれる」と考え、溜まってしまった毒素を取り除くのが施術のメイン。

病気はいわば「排水溝が詰まって生じる」ので、それを流す役割を担うのが施術。

そのために重要なのがその人の体質に合ったオイル。

体温くらいに温めた薬草たっぷりのオイルを体にすり込み吸収させ、余分なアーマ(未消化物)やマラ(老廃物)をオイルに溶かし込んで排出し、自然治癒力を目覚めさせます。

アーマとは?

未消化物・不完全燃焼物の意味。体質に合わないものがねばねばとしたアーマとなって体に蓄積。これが毒素となって、不調や病気を引き起こすと考えれている。食べ過ぎ、添加物の多い食事、酵素の足りない食事(新鮮な食材に含まれる酵素は高温調理で壊れてしまう)などもアーマを溜める原因となる。

マラとは?

汗などの汚れ、余計な脂肪など、孔から排出されるべき老廃物の総称。本来は入浴や歯磨きなどで浄化され、体内に残らないのが理想。

マルマとは?

全身に張り巡らされている、ツボのようなもの。ヨガの動きもこのマルマを刺激するように考えられている。頭頂部、額、こめかみなど、自分でもほぐすとイタ気持ちいい部分。

ソフトな治療「プールヴァ・カルマ(浄化の治療)」の種類

アヴィヤンガ

「愛のこもったなめらかな手」の意味。

セラピストが2人1組となり、左右から同じ動きでオイルをすり込んでいくのが基本形。

ヘッドマッサージ

アーユルヴェーダでよく行われるのが頭部のマッサージ。マルマ(ツボ)に働きかける。頭や目を酷使している場合に有効。

ハーバルボール

薄いガーゼにハーブ(ウコン、ショウガ、ニンニク、ココナッツなど)を詰めてボール状にし、蒸しあげたものを、うつ伏せに寝た状態で、押し当ててもらいます。

ハーブの有効成分が抽出されるので、効かたいパーツに効率的に働きかけることができます。

主に肌のトリートメント目的に行われます。

ミルクライスボール

ハーブとミルクでじっくり煮詰めたお米を布で包み、マッサージしながらそのエキスを全身に吸収させるトリートメント。

ミルクには体を冷やす効果があるので、体質的に熱がこもりやすい人に用いられます。

主に肌のトリートメント目的で行います。

シロ・ダーラ

額の中央「第3の目」と呼ばれるチャクラの位置にオイルを垂らし続けることで、瞑想に似た状態へと導かれます。

「これまで経験したことのない神秘体験」と形容する人もいます。

髪や頭皮、肌のトラブル時、不安、緊張、ストレス、鬱など精神的な悩みを抱えている時に行われます。

チャクラとは?

全身に7つ(諸説あり)存在するといわれるスポット。ここが開いていると心身ともに活性化され、エネルギーが巡って能力を最大限に発揮できるといわれています。

サルヴァンガ・ダーラ

「全身で受けるシロ・ダーラ」でオイルバスとも形容される。大量のオイルを使います。

2人のセラピストとオイルの温度を調整するスタッフ、専用のベッドが必要になるため、日本でこれを受けられるところはほぼ皆無。

ちなみに、インドではピリチリ、マハラジャのトリートメントと言われる程の高価な薬草オイルを大量に使用するトリートメントだそうです。

シーラ・ダーラ

頭部を除く全身に、ハーブを入れたミルクを注いで行われるマッサージ。

セラピストは3人1組(ミルクを注ぐ人と、マッサージ担当の2人)が基本。

ダーラとは?

サンスクリット語で「流れる、循環する」の意味。

塗るのではなく、オイルやミルクを少しずつ垂らしたり流したりする刺激も、施術を行う時の重要なポイント。

ピチュ

温かいハーブオイルをガーゼなどに染み込ませて覆う「オイルシップ」。

マッサージですり込むのとは違った、ジワジワと浸透する心地よさはまた格別。

脚のピチュ、頭部のピチュなどがあります。

ヒサゲールマ

ハーブペーストを頭にたっぷりと塗り、バナナの葉などを用いたパック。

インドのアーユルヴェーダでは「シロ・レパナ」というそうです。

ハーバルバス

その日の朝摘んだ新鮮なハーブ3〜5種類を用い、およそ1時間ほど煮出したエキスを使って、全身からそのエキスを吸収します。

ハーブをぺたぺたと体に貼りながら10〜15分程度浸かります。

スチームバス

ハーブの蒸気を浴びることで毛穴が開き、エキスをたっぷりと吸収するので乾燥肌や冷えの対策にも用いられる。

サウナよりも温度は低めで、外側ではなく「体の芯」をじっくり温めることができる。

蒸気で温めると体内の通路がオープンになるので、内側にこもった過剰なドーシャが流れやすくなる。

ハードな治療「パンチャ・カルマ(5つの治療)」

パンチャ・カルマとは?

5つの治療という意味。

5つとは、ナスヤ(鼻にオイルを差す)、ヴァマナ(吐いて胃を綺麗にする)、ヴィレーチャナ(下剤で小腸を綺麗にする)、ワスティ(浣腸で大腸を綺麗にする)、ラクタモークシャナ(ヒルに血を吸わせる)。

病人に対して行われるもので、10〜14日間ほどかけ、体内の隅々に溜まったアーマや過剰なドーシャを浄化います。

最初の数日は、浄化法(プールヴァ・カルマ)の施術を受け、アーマを溶かし出します。

症状がひどくなければ、あとは体の自己治癒力による排出に任せます。

アーマやドーシャが溜まりすぎている病人の場合は、排出のプロセスまで医師が徹底して管理。

心身にかなりの負担がかかるため、時間をかけて丁寧に行われます。

最後の数日は体を休める穏やかな処置を受けて過ごします。

ナスヤ(鼻の浄化)

ハーブオイルを鼻腔に少量流し込み、喉まで通して汚れたものを吐き出す。

鼻炎や蓄膿、花粉症、呼吸が詰まることで起こる頭痛や喉の痛みに効く。

ワスティ

膀胱の意味で「溜めておく」ことから、オイルを溜める施術を意味する。浣腸法を指す場合もある。

小麦粉を練って土手を作り、そこにオイルを注いでいく温湿布のような施術。

初めにぬるめのオイルを注ぎ、あとから少しずつ高温のオイルを足していくため、火傷をしないギリギリの熱さで体の奥までジワジワと伝わっていく。

フェイシャルトリートメント

スリランカでは、日本のドラックストアのようなコスメが並ぶお店はあまり見かけないそうです。

肌を綺麗にしたいと思ったら食生活を見直し、次に食べても塗ってもいい新鮮なスパイスやハーブを使用したトリートメントを行います。

パパイヤやアボガドががスキンケアに持ちられます。

これらに含まれる酵素やフルーツ酸が不要な角質を除去し、つるんと滑らかに整えます。

肌タイプによりコリアンダーやフェネグリークなどを配合します。

これらにセサミオイルを混ぜ、ペースト状にします。

これがピーリング剤でもあり、保湿パックの役割も兼ねます。

刷毛で顔の中央から外側へ、下から上へとなでるように塗ることでマッサージの作用もあり、肌表面の血流がアップしリフティングにもつながります。

全身のバランスを重視するアーユルヴェーダでは、顔だけではなく、パック剤を首や肩、デコルテまで丁寧に塗っていきます。

特にデコルテや背中の上部は顔と同じくらい皮脂腺が多いので、ニキビを防ぐ意味でも顔と同じレベルのトリートメントをするのが効果的です。

スリランカは薬草の宝庫

一つの島の中に乾燥地帯と湿潤地帯があるため、熱帯に育つものから乾燥地帯に育つものまで多種多様な薬草があります。

薬用植物に指定されいているものが約2,000種、そのうち約400種が国の管理下に置かれています。

アーユルヴェーダの薬の種類

丸薬:粉砕した植物を固めて作る
煎じ薬:木の根や葉を水で煮出して作る
薬草液:植物をアルコールなどに漬け込み作る
薬草オイル・軟膏:植物とオイルを煮詰めて作る

スリランカの薬草図鑑

本書にはスリランカの植物図鑑が掲載されています。
掲載されているのは以下の薬草です。

コタラヒムブツ(Kothala Himbutu):英語名サラシア。血糖値を下げる、脂肪の蓄積を抑制する
マスバッダ(Masbedda):糖分吸収の抑制、血糖値を下げる
コホンバ(Kohomba):英語名ニーム。血液浄化、解毒作用、防虫効果
ベリ(Beli):伝承療法で多用。眼薬、皮膚トラブル
エラワラ(Ela Wara):アーユルヴェーダの古典に出てくる。皮膚病、潰瘍、歯の痛み
ハータワーリエ(Hathawariya):女性の味方。生理痛、不妊症、更年期障害、消化不良、血液循環の促進。コラキャンダ(朝のおかゆ)に使われる。
コックモッタ(Kok Mota):消化促進、整腸作用。コラキャンダ(朝のおかゆ)に使われる。
イリウェリヤ(Iriweriya):解毒作用、利尿作用、発汗作用、下痢や嘔吐がひどい時に
カッパラワーリエ(Kapparawaliya):お腹の不調、喘息、喉頭炎の治療。
ティッピリ(Tippili):消化吸収、代謝促進
テルエンダル(Thel Erandu):種子油が有名。解毒作用、婦人科系の病気、腰痛、皮膚疾患
ニカ(Nika):抗炎症作用、傷の消毒、目・髪・皮膚の疾患
パーワッタ(Pavatta):便秘、むくみ、外傷手当て、皮膚病
ヒーラッサ(Heerassa):骨折や捻挫の特効薬、傷口の炎症防止
ヒーンアラッタッタ(Heen Araththa):リウマチの鎮痛剤、蛇に噛まれた際の解毒剤
ビンコホンバ(Bin Kohomba):抗菌、血液浄化、解熱効果、免疫力アップ
ワダカハ(Wada Kaha):食欲増進剤、健胃剤、整腸剤

※本書では効果や特徴について、さらに詳しく紹介されています。

アーユルヴェーダのオイル図鑑

以下の10の定番オイルが効用とともに紹介されています。

セサミオイル:アーユルヴェーダで最も使う。肌の保湿、関節・筋肉の痛み止め
サンダルウッドオイル:シミ、シワに効果。化粧品全般に使われる
マスタードオイル:脂肪を減らす
シナモンオイル:痛み止め
シトロネラオイル:頭痛、神経痛、オイリー肌、多汗症、月経不順
オリーブオイル:爪や髪の補強
ニームオイル:吹き出物、怪我、火傷の跡、骨折
ミーオイル:肌の新陣代謝、血液循環を促す。ビタミンEが豊富。
テルエンダルオイル:便秘、腰痛の緩和
キングココナッツオイル:抜け毛予防、肌の保湿、角栓をとる

※本書では効果や特徴について、さらに詳しく紹介されています。

スパイス図鑑

胡椒:4大スパイスの1つ。浄化、抗酸化、消化促進、血行促進、手足の冷え
唐辛子(チリ):辛味成分のカプサイシンが体脂肪を燃やし、血行を促進。便秘対策にも良い。
生姜:発汗作用、冷え改善、喉の炎症、風邪、鼻水、頭痛
ウコン(ターメリック):血液浄化、糖尿病に有効。肝機能強化、抗酸化作用。
マスタード:血行促進、咳止め
シナモン:4大スパイスの1つ。発汗作用、消化向上、胃のむかつき・吐き気の解消
クローブ:4大スパイスの1つ。強い殺菌力、鎮痛、冷え性に効果。
ナツメグ:4大スパイスの1つ。腸の働きを高める、心と体を暖めるリラックス効果、寝つきに悪い人に良い
カルダモン:「スパイスの女王」。脂肪燃焼、消化力向上、お腹のガスの抑制。噛むと口臭予防になる。
フェンネル:インド料理屋で食後によく出される。消化促進。
カレーリーフ:シンハラ語でカラピンチャ。殺菌作用、お腹の調子を整える。
コリアンダー:浄化作用、頭痛・咳止めに効果。胃腸を整える。
クミン:体を温める、消化、解毒
ゴラカ:むくみ、月経不順、便利の緩和。ダイエット効果。

心と体を浄化する、瞑想&ヨガ

ヨガ

日本ではエクササイズの一環として捉えられているヨガですが、本来は「よい瞑想をするための準備運動」のようなもの。

ドーシャごとにおすすめのヨガのポーズが紹介されています。

呼吸法

呼吸が深いと副交感神経が働きやすくなり、免疫機能のアップやホルモン分泌の正常化にもつながります。

呼吸法について写真付きで紹介されています。

伝承医学「ヘラウェダカマ」

ヘラウェダカマは、スリランカ土着の世襲制の医療技術。
デシーヤチキッサ、パーランパリカ・ヘラウェダカマと呼ばれることもあります。

子供の頃から親が治療を行う姿を見て、15〜16歳から本格的に技術を学び、20歳前後で自身も患者を取り始めます。
医師は村人の人となりや暮らしぶり、家族とその病歴まで把握しており、気候や風土との関わりの中で患者を捉え、治療を行ってきたのです。

基本的に紹介制で予約診療。
通常、診察はシンハラ語のみの対応。
料金は心付け。

原因不明の病気、長きに渡って治らない病気など、西洋医療で結果を得られなかった人が最終的にヘラウェダカマを選択することが多いのです。

アーユルヴェーダとヘラウェダカマの違い

体系化されて、大学で学ぶことができるアーユルヴェーダとは異なり、「薬の作り方や技術は定められた者以外に伝えられることはありません。」

また、「アーユルヴェーダの薬はレシピが確立されており、どの医師も同じ薬を用いますが、ヘラウェダカマは地域に密着している医療なので、その地の特性を生かしながら作られた、一族伝承の薬が用いられるのです。」

脈診については、「一般的なアーユルヴェーダ医が大別できるのは患者のドーシャまでと言われる中、人の体が発する微細な音をあまねく拾い治療へと結びついて行く類まれな受信力こそ、ヘラウェダカマ医の1番の特徴といえるでしょう。」

ヘラウェダカマの名医図鑑

腎臓結石、半身不随、白血病、火傷、骨、鍼、赤ちゃんと女性、目、神経、蛇に噛まれた傷など、各分野を専門とするスリランカ各地の医者が紹介されています。

星占い(占星術)

スリランカの占星術は西洋の占星術とは方式が異なり、より緻密な計算方法で、具体的な結果と対応策を提示してくことで知られています。

計算による未来予測の技法が確立されており、未来への対応方法として、マントラ、ヤントラ、アーユルヴェーダ、宝石、仏教の修行など様々なものがあります。

占星術はエンターテイメントではなく、仏教と同じように、より良い生き方を見つけていくための具体的な手段なのです。

本には約30分、1,000ルピーと書いてあり、かなり安いです。

そして、大事な記述がありました。

”スリランカ時間に直した”自分の生年月日と出生時間、出生地を報告。

元々は僧侶だったが、学問として出合った占星学に傾倒し、占い師に転向したというキャンディ在住のヤーパ先生と、僧侶のベラーナ・ガナウィマラ先生が紹介されています。

宝石療法

ヘラウェダカマ、アーユルヴェーダでは天体の動きを重視します。

星の影響を一時的に避けたり、あるいはそれらを積極的に活用するために、古くから宝石が使われてきました。

例えば、月の病気(リンパ、肺、鬱、婦人科系)への影響を減らすために、ムーンストーンを皮膚に密着させるなど。

太陽と惑星・衛星に対応した9つの宝石で作られた「ナールワン(サンスクリット語でナワラタナ)」も活用される。

アーユルヴェーダ食

「煮る」「茹でる」を基本とした野菜たっぷりのヘルシーな食が基本。
スリランカには約2,000種類のハーブがあり、スリランカ固有のものも多い。

地元で取れた旬のものを食べる、消化力を落とすようないい加減な食事をしない、お腹が空いてから食べる、いつでも腹八分目。
目、舌、鼻、手、お腹といった体の器官の全てを使って五感で食べる。

スリランカカレー

スリランカ食の主体となるカレーはスパイス&ハーブのスープ・温野菜。
煮込まずさらっと仕上げるのが特徴的。

複数の野菜を組み合わせるのではなく、1つの野菜をメインにカレーを作るのも特徴的。
一つひとつの食材が、体を温めるもの(サライ、ウシュナイ)なのか、冷やすもの(シータライ)なのかに気を配る。

アーユルヴェーダでは全ての食材を6つの味に分類します。

毒(アーマ)を溜めない食事

「何を食べるべきか」を考えがちだが、アーユルヴェーダでは、「きちんと消化できているか」、「何を食べないほうがよいか」も大切。

未消化のもの(アーマ)が溜まると病気を引き起こすため、自分のドーシャに合ったものを腹八分くらい食べる。

きちんと消化できなければ、どんな食事でも毒になると考えます。

毒を取り除くオイル

アーマ(消化できていないもの)が過剰に溜まってしまったら「パンチャカルマ」で取り除きます。
そのためのキーアイテムが良質なオイル。

皮膚にたっぷりと塗って吸収させ、老廃物や毒素を油に溶かし出します。
オイルを垂らすことで五感を研ぎ澄ませ、瞑想のような状態に導く効果もあります。

フルーツ天国のスリランカ

マンゴスチン、ローズアップル、ジャックフルーツ、バナナ、ドリアン、スターフルーツ、パイナップル、ランブータンなどが紹介されています。

パイナップルは「日本では通常捨てられてしまう芯が一番甘くて美味しいというスリランカのパイナップル」と紹介されています。

日系アーユルヴェーダ施設「アーユピヤサ」での体験

ライター、編集の二人のアーユピヤサでの体験が紹介されています。

大量のオイルを使う「サルヴァンガ・ダーラ」も体験されています。

アーユルヴェーダのセルフマッサージ

頭部、首・腕、腹部、脚と足、の自分でできるマッサージが紹介されています。

アーユルヴェーダでは、マルマが集中する頭のマッサージを特に重視します。

「現代人のメンタルの不調は、9割が首から」と主張するドクターもいるほど大切なのが顎部。

スリランカ式「おばあちゃんの知恵袋」アット・ベヘット

12の知恵袋が紹介されています。

1.風邪には生姜
2.肌に優しいスクラブ洗顔をターメリックで
3.咳や気管支炎は生姜と塩うがい
4.辛い生理痛はコリアンダーとニンニク
5.便秘にはタマリンド
6.ダイエット中でも蜂蜜はOK!
7.胃もたれにはカルダモンコーヒー
8.慢性鼻炎には蒸気
9.つらい頭痛。歯痛にはクローブ
10.頭痛が止まらない時はオイルやビネガー
11.食欲がないときには生姜とコリアンダー、ニンニクと黒胡椒のスペシャルドリンク
12.お腹を壊したらライム、ナツメグ、胡椒

※本書では効果や特徴について、さらに詳しく紹介されています。

アーユルヴェーダ美容グッズ

シャンプー、ボティケア、歯磨き粉、石鹸、ムダ毛処理クリームなどが紹介されています。

まとめ

ざっと読むだけでもアーユルヴェーダ、ヘラウェダカマへの理解が深まりますし、興味のある内容の部分だけをじっくり読むのも良いでしょう。

紹介されているものを元に、さらに自分で調べてみるのも良いと思います。

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参照

アーユルヴェーダライフ「パンチャカルマ」
アーユルヴェーダライフ「代表的なスパイス一覧(香辛料)」
ウィキペディア「インドセンダン」
ウィキペディア「カルダモン」
ウィキペディア「ビャクダン」
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