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セイロンコーヒーとは?スリランカにおけるコーヒーの歴史とおすすめカフェ

2019年10月24日

スリランカの紅茶は、誰もが知るスリランカの一大産業です。
リプトンやキリン 午後の紅茶にもスリランカの茶葉が使用されています。
紅茶目当てにスリランカに旅行する方も少なくありません。

しかし、紅茶がスリランカの一大産業となる前、実はコーヒーがスリランカの一大産業でした。
現在、スリランカの産業だったセイロンコーヒーを復活させようと、セイロンコーヒーの再開発や取り扱うカフェが増えています。
そこで今回は、知られざるセイロンコーヒーの歴史と特徴、セイロンコーヒーを出しているおすすめのカフェをご紹介します。

スリランカにおけるコーヒーの歴史

実は、紅茶がスリランカの一大産業となったのは1868年のさび病と呼ばれる病気によって、当時多く栽培されていたセイロンコーヒーが甚大な被害を受けた後のことです。

それまでは、イギリス領セイロン(1658年~1789年)では、コーヒーが多く栽培されていました。

イスラム世界からのコーヒーの伝播

エチオピアが原産と言われるコーヒーは、イエメンのスーフィーの間で飲まれるようになり、イスラム世界に広がっていきます。

イエメンにとって重要な交易品となったコーヒーは、イエメンが門外不出としたため、イスラム世界では飲料として普及はしましたが、コーヒーの栽培・収穫をし、輸出をしていたのはイエメンでした。

1670年頃、南インドからメッカに巡礼した帰りにコーヒーの種子を持ち帰ったイスラム教徒スーフィー「ババ・ブータン」が現在のカルナータカ州チッカマガルルの山中「ババ・バッデンジリ・ヒル」にコーヒーの種子を植えたという伝承があります。

その後、南インドのイスラム教徒によって、スリランカにコーヒーがもたらされたという説があります。

一方で、UCC上島珈琲「コーヒーの歴史」、全日本コーヒー協会「コーヒー歴史年表」には、アラブ人によってイエメンからセイロンへコーヒーノキが伝えられると記載されています。

どの経由からは明確ではないようですが、ポルトガルがスリランカにやってきた頃には、スリランカにはコーヒーノキがあったと記述されていたと言われています。
ただ、当時は飲料としてはあまり使われず、コーヒーの葉をカレーに入れたり、お寺にお供えされる程度だったようです。

コーヒー栽培に挑んだオランダ

世界にコーヒーを広めた国といえばオランダです。
コーヒーはイスラム世界からヨーロッパに広まり、さらに需要が増大します。

当時の世界の覇権国だったオランダは、
1690年にイエメンのアデンから、
1696年に南インドのマラバル海岸から、
オランダ領東インド(現在のインドネシア)のジャワ島にコーヒーの苗木を送ります。

そして、オランダは世界初の植民地でのコーヒー栽培に成功し、オランダ領東インドが世界最大のコーヒー生産国となり、オランダ本国がコーヒー最大の消費国となります。

1740年、オランダ領セイロン総督がセイロン島でのコーヒー栽培を始めます。
生産地に選んだのは、ゴール周辺の海岸地帯であったため、あまりうまくいかなかったとされています。

後に初めてコーヒーの栽培に成功したのも、紅茶の栽培に成功したのも、キャンディ県でした。
オランダ領セイロンはセイロン島の沿岸部を治めていましたが、現在のキャンディを中心とした山岳地帯はキャンディ王国が収めていたため、コーヒーの栽培最適地を確保できなかったのでしょう。

世界3位のコーヒー生産国に

イギリスは台頭すると、植民地のインドとセイロンでコーヒーの栽培を始めます。

セイロンではオランダ統治時代と同様にゴール周辺で栽培を始めて失敗に終わります。

1815年、イギリスはキャンディ王国を滅し、セイロン島全土を支配下に置きます。
そして1824年、ウェールズ出身のジョージ・バードがキャンディ県ガンポラで最初のコーヒー農園を始めます。

セイロンはモノカルチャーで、
オランダ領セイロン・キャンディ王国時代はシナモン農園
イギリス領セイロン・キャンディ王国時代はゴム農園・ココヤシ農園
イギリスが全島を支配したイギリス領セイロン時代はコーヒー農園・ゴム農園・ココヤシ農園
となります。

イギリス領セイロンでのコーヒー栽培はどんどんと伸び、
1868年にポルトガル領ブラジル、オランダ領東インドに次ぐ、世界3位のコーヒー生産国となります。

セイロンは、世界中に領土を持つ大英帝国内において、世界1位のコーヒー生産国になったわけです。

セイロンコーヒーからセイロンティーへ

しかし、世界3位となった1年前の1867年、セイロンにおいてコーヒーさび病が発生します。

コーヒーさび病とは、コーヒーの葉の光合成を阻害するコーヒー栽培にとって致命的な病気です。
コーヒーさび病が初めて発見されたのは1861年、ビクトリア湖のケニア地域でした。

ただ、世界で最初にコーヒー農園で甚大なコーヒーさび病被害が起きたのがセイロンでした。
これを機に、徐々にセイロンコーヒーの栽培は縮小していきます。

1890年、イギリスで雑貨店を多店舗展開するトーマス・リプトンがセイロン島にやってきます。
リプトンはイギリスで普及し始めた紅茶に目をつけて、紅茶の売上を伸ばしていました。

リプトンはセイロン島の荒廃したコーヒー農園を買い取り、茶畑と茶工場を作ります。
リプトンが買った土地はウバ州のダンバンテです。
ウバはその後、インドのダージリン、中国のキーマンと並んで、世界三大銘茶と呼ばれるようになります。

当時、イギリスはインドで茶の栽培をはじめており、本土での需要も大きくなっていました。

加えて、紅茶はコーヒーよりも生産コストが低かったのです。
コーヒーは、生産国で生豆として輸出され、消費国で焙煎という加工が必要になります。

しかし、紅茶は生産国で製品化できるのでコーヒーよりも生産コストが安く済みます。
このような背景から、イギリスはスリランカでコーヒーから利益率が高い紅茶へと産業を移行させたのではないかとも言われています。

そして、セイロンはイギリス領最大のコーヒー生産国から、イギリス領最大の紅茶生産国となります。
フランスやオランダは引き続きコーヒーの生産に力を入れたため、セイロンは世界最大の紅茶輸出国となったのです。

その一方で、セイロンでのコーヒー栽培は廃れ、個人農家の小さな農地や山間にわずかに残る程度になってしまいました。

そして、近年になってセイロンコーヒーが再発見され、オーストラリア人、アメリカ人、日本人、スリランカ人など様々な人がセイロンコーヒーの復活に取り組んでいます。

セイロンコーヒーが飲めるカフェ5選

そんなセイロンコーヒーの復活を目指そうと、様々な人々が取り組んでいます。
当時、プランテーション方式で栽培されていたセイロンコーヒーは、南インドから連れてこられたタミル人が奴隷同然の労働環境で働かされていました。
コーヒーや紅茶には、奴隷労働の象徴でした。
そのため、現在はセイロンコーヒーのフェアトレードを目指し、その復活を目指す日本人や外国人がたくさんいます。
ここでは、スリランカで彼らが提供するセイロンコーヒーが飲めるカフェをご紹介します。

London House Of Coffee

コロンボ7区にある、スリランカ人経営のカフェです。
オーナーがセイロンコーヒーを普及すべく経営しており、本格的なセイロンコーヒーが飲めます。

外観と内観はヨーロッパ風で統一されており、シックな雰囲気が特徴。
ビジネスマンの会合にもよく使われているようです。
電源が各所にあり、wifiも比較的はやいので、作業やゆっくり過ごすのに良いでしょう。

トイレがホテルのように綺麗なのもオススメのポイントです。

【名前】London House Of Coffee
【住所】2B Srimath R.G.Senanayake Mawatha, Colombo 00700
【営業時間】6:45~0:00
【ホームページ】http://www.londonhouseofcoffee.com/

(移転)Whight & Co. Cafe

オーストラリア人によるコーヒー専門店「Whight & Co.」が復活!

(閉店)Plus Nine Four


コロンボ5地区の住宅街にひっそりと佇むカフェ。
屋内は少し狭いが、屋外にも席があり、木々があり、とてもオシャレです。
こちらはセイロンコーヒーをスーパーなどで卸しているSoul Coffeeのコーヒー豆を使ってコーヒーメニューを提供しています。
店内にもSoul Coffeeが置いてあり、購入することもできます。

【名前】Plus Nine Four
【住所】35 D. S. Fonseka Road, Colombo 05
【営業時間】9:00~17:00

Natural Coffee

こちらは、コロンボから電車で3時間、世界遺産都市キャンディの中心地にある日本人経営のカフェです。
植民地下のプランテーション方式における奴隷栽培の反省から、”生物多様性の森での” セイロンコーヒーの復活とフェアトレードを目的に経営されています。

女性の社会進出が遅れているスリランカですが、女性に活躍の場も提供されていて、従業員は全て女性です。
セイロンコーヒーに加えて、コーヒーの葉をお茶のように淹れて出すオリジナルメニュー「テ・カフェ」スムージーなどドリンクメニューが豊富。

また、日本のカフェメニューをリーズナブルな価格で提供しています。
一般のスリランカの人たちにも日本の味に親しんでもらおうと、小ぶりで低価格で提供しているため、小腹が空いた時にも便利です。

観光中の一休みとしてだけでなく、食事にも最適です。
お土産として、セイロンコーヒーを購入することもできます。

【名前】Natural Coffee
【住所】No. 84, DS Senanayake Veediya, Kandy 20000
【営業時間】9:00 ~17:00
【ホームページ】http://naturalcoffee.lk/

BUONO

こちらもキャンディにあるカフェで、バスターミナルや鉄道駅があるエリアにあります。
少し道から外れており、隠れ家的カフェですが、欧米人に人気のカフェです。
トリップアドバイサーのキャンディのカフェランキングで1位に輝いています。

木目調の明るい店内には、しゃれた小物がたくさん展示されています。
アボカドを使ったヘルシーな料理やベジタリアン用の料理など、メニュー豊かな料理が特徴。

またアイスアメリカーノが250ルピーからと、価格がリーズナブルなの嬉しいポイントです。

wifiと電源もあるので、観光後に一休みするのに良いでしょう。

【名前】BUONO
【住所】72 DS Senanayake Veediya, Kandy
【営業時間】8:00~18:00
【ホームページ】https://buono-cafe.business.site/

セイロンコーヒーをお土産として買う

Soul Coffee

コロンボの大手スーパー(Food City、Arpicoなど)やセレクトショップ(ODEL、Urban Island、Good Market、Paradise Road)
などで購入が可能です。

パッケージがおしゃれでお土産にも最適です。
パッケージは紙筒に入った200gのものと、紙袋に入った50gの2種類。
味はミディアムロースト、ダークロースト、エスプレッソローストの3種類があります。

スリランカのブティックホテルなどSoul Coffeeを室内に置いているところがあるほか、コロンボにはPlus Nine Four、ウナワトゥナにはKat’s CoffeeとSoul Coffeeを使っていることを謳うカフェもあります。

Hansa Coffee


シアトル出身のアメリカ人男性とスリランカ人女性の夫婦が経営するHansa Coffeeはヌワラエリヤに工場があります。

コーヒーはGood Marketで販売されています。
スリランカのカカオ(セイロンカカオ)を使ったチョコレートも販売しています。

Whight & Co.


コロンボにあるセイロンコーヒーが飲めるカフェとして紹介したWhight & Co.ですが、店頭でコーヒーを買うこともできます。

セイロンコーヒーを日本で飲む

ナチュラルコーヒー

本記事のセイロンコーヒーの歴史は、清田 和之 著『セイロンコーヒーを消滅させた大英帝国の野望』
を参考にしていますが、その清田氏とそのご家族が熊本で経営するお店です。

清田氏は有機農業と生産者を守る公正な貿易を推進する一般社団法人日本フェアトレード委員会の代表でもあり、Natural Coffeeではスリランカ以外の各国のコーヒーも楽しめます。

スリランカには現地会社のKiyota Coffee Companyがマータレー(Matale)にあり、セイロンカカオを使ったセイロンチョコレートの商品開発にも取り組んでいます。

【名前】ナチュラルコーヒー
【住所】熊本県熊本市北区下硯川町1045
【営業時間】9:30~19:00
【ホームページ】http://www.natural.coffee/3

生活の木

ハーブとアロマテラピー専門店を日本全国に展開する「生活の木」はスリランカの古都キャンディ郊外の緑豊かな丘の上でネイチャーリゾート「Hotel Tree of Life」を経営しています。
自然と健康をテーマにしたリゾートで、敷地内では現地スタッフが、土壌から肥料まで完全にオーガニックのコーヒーを苗から育て収穫し、自社の施設で焙煎、製品化しています。

この敷地内のコーヒーでは生産量が限られることから、提携農家と協力し、厳選された完全なオーガニックコーヒーをホテル内で育ったコーヒーとブレンドして製品化し、日本国内全店舗及びオンラインストアにて購入できます。

生活の木 オフィシャル オンライン ストア
https://onlineshop.treeoflife.co.jp/ec/pro/disp/1/020883010

また、スリランカのキャンディにある「Hotel Tree of Life」内でも、そのコーヒーを飲むことができます。

【名前】株式会社 生活の木
【住所】 東京都渋谷区神宮前6-12-20 J6 Front 5F
【ホームページ】https://www.treeoflife.co.jp

参照

UCC上島珈琲「コーヒーの歴史」
ウィキペディア「コーヒーの歴史」
全日本コーヒー協会「コーヒー歴史年表」

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