ダイエット、糖尿病、血糖値スパイクに効果的とされる『コタラヒムブツの秘密』
血糖値の上昇を抑えるとされるサラシア。
吉野家のサラシア牛丼、小林製薬のサラシア茶「サラシア100」などでご存知の方もいらっしゃることと思います。
ただ、サラシアは世界で120種類以上もあり、それぞれ薬効が異なると言われています。
その中でも、最も薬効が高いと言われるのが、スリランカの標高1,000m以上に自生するサラシア・レティキュラータ(シンハラ語でコタラヒムブツ)です。
本記事ではサラシア、そして、その中でも薬効が高いコタラヒムブツについて理解を深める本『かつて王族が糖尿病予防に使っていた秘樹 サラシアレティキュラータ
「コタラヒムブツの秘密」』をご紹介します。
目次
たった32ページの小冊子
アマゾンで注文して、最初に手に取った印象は「商品説明のようなブックレット」でした。
大学の先生のインタビューから始まり、古代から重宝されているサラシアの中でも、スリランカ産のコタラヒムブツはスリランカ政府が輸出制限をして守るほどに大切なもので、これが最も薬効が高い!と説明されており、スリランカを紹介する身としては有り難い情報ですが、そこまで良いと言われると、つい疑ってしまいます 笑
疑ってみると、健康食品を販売する典型的な商法のように思えてしまいますが、ポイント、概要がつかめますので、最初に読む本としては良さそうです。
一方で、すぐに読めてしまいますので、重度の糖尿病で、全くと本を読まない私の父には良い本だと思い、父に渡すことにしました。
この本を買うことにしたのは、これまで私に何度もスリランカに関する文献や研究者を紹介してくださった方からコタラヒムブツの本があると教えていただいたからです。
その方は糖尿病を発症してしまい、体に影響が出てしまったそうです。
そこで糖尿病に効くという「コタラヒムブツ」をスリランカでアーユルヴェーダリゾートを経営する知人から送ってもらったそうです。
私も知るそのアーユルヴェーダリゾート経営者に念押しされたという言葉が印象的でした。
「うちのコタラヒムブツは確実に効き、血糖値は下がります。だからといって、糖尿病が治ったとは思わないでください。糖尿病は一度なってしまったら一生の付き合いです。」
シンハラ語のコタラヒムブツは「神の恵み」という意味だといいます。
王族が使ったコタラヒムブツのカップ
アマゾンで「コタラヒムブツ」と検索すると、2冊の本が出てきました。
両方に共通するのは、表紙にコタラヒムブツのカップの写真が使われていることです。
本を読むとわかりますが、これはシンハラ王朝の王族が使っていた、コタラヒムブツの木をくり抜いたカップです。
くり抜いたコップに半日から1日の間、水を入れておくとコタラヒムブツの木から成分が溶け出し、水は茶色になるといいます。
糖尿病はアーユルヴェーダ の教典では「チャカラ・サンヒター」と記述され、「怠惰な生活による病、マハラジャ(王様)の病気」とされています。
小麦、稲、胡椒、唐辛子、ジャガイモ、トマト、砂糖、大豆、玉ねぎ、ビール、ワイン、蒸留酒、茶、コーヒー、チョコレート、ミルク、コーラと世界各地に広まった食品や飲み物の歴史から見えてくるのは、飽食の時代になったのは、長い人類の歴史の中で、ほんの60年ほど前で、それまで飢えと戦っていたわけです。
太ってしまう現代人の食生活・運動不足は、古代の王様のような怠惰な生活なのかもしれません。
日本でそこまで知られていないからか、出てきた2冊ともアマゾンのレビューがついていませんでしたので、まずは手頃な値段の本書を買ってみることにしました。
コタラヒムブツの5大効果
コタラヒムブツには様々な効能がありますが、代表的な5つの効果が紹介されています。
1)糖尿病予防
2)糖尿病合併症予防
3)肥満改善
4)便通改善
5)二日酔い軽減
糖尿病予防
コタラヒムブツを食前か食事と一緒に摂ると、血糖値スパイクをなだらかにするという研究結果が報告されています。
糖質の吸収を阻害し、血糖値の上昇を抑える効果があります。
肥満改善
食後の血糖が上がらないということは、インスリンを上げないことにもつながります。
インスリンが上がると脂肪を作るという作用も出るため、肥満対策にもつながります。
そして、コタラヒムブツには、リパーゼ阻害作用があり、脂肪吸収阻害効果があることも確認されているそうです。
リパーゼの働きは、ネットで調べると、脂肪を消化するとも、代謝するとも書かれており、私にはいまいち分かりませんでしたが、本書ではリパーゼ阻害作用は脂肪の吸収を抑制するとしています。
血糖が上がらないということで、逆に低血糖になることを心配する人がいるかもしれませんが、コタラヒムブツはインスリンを分泌させる薬ではないので、基本的には低血糖にはならないそうです。
糖尿病合併症予防
糖尿病が怖いのは、糖尿病の合併症だそうです。
3大合併症は「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」です。
眼、腎臓、末梢神経の細胞は、血糖値が上がるとブドウ糖をどんどん細胞内に取り込んでしまう特徴があります。
余分なブドウ糖が増えると、アルドース還元酵素を活性化し、ブドウ糖をソルビトールに変えていきます。
ソルビトールは、正常時には果糖へと変換され代謝されていきますが、血糖値が高いと果糖へと変換しきれず、神経細胞の中に蓄積されていきます。
その結果、細胞細胞は砂糖水漬けとなり、最終的には細胞が懐死してしまいます。
コタラヒムブツの有用成分である「マンギフェリン」には、このアルドース還元酵素を阻害する作用があり、糖尿病合併症予防につながるとのことです。
「アルドース還元酵素」とネットで検索すると、アルドース還元酵素阻害薬が多く出てきます。
また、マンギフェリンはマンゴーにも含まれているようで、名前からして、たしかにマンゴーに含まれていそうです。
便通改善
コタラヒムブツの特徴成分であるポリフェノールの一種である「サラシノール」と「コタラノール」の働きで、吸収されなかった糖質は善玉菌の餌となり、腸内環境を整え、便通改善に効果が期待できるそうです。
ポリフェノール(polyphenol)は、ポリ(たくさんの)フェノールという意味で、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分で、自然界に5,000種類以上あると言われています。
よく知られているポリフェノールはアントシアニン、カテキン、カカオポリフェノール、ルチン、クルクミン、ショウガオールなどでしょう。
二日酔い軽減
二日酔いの原因はアルコールの摂取で生成されるアセトアルデヒドと言われています。
アセトアルデヒドを分解してくれる酵素がアセトアルデヒド脱水素酵素です。
このアセトアルデヒド脱水素酵素を活性化させる効果がコタラヒムブツにはあり、二日酔いに効果があるとされています。
その他の効能
ミネラルの吸収力アップ、免疫力アップ、肌荒れ改善などがあるとされています。
120種類あるサラシア
サラシア属は世界で120種類以上が見つかっているといいます。
その中でも代表的なものが以下の4つです。
1)サラシア・レティキュラータ(コタラヒムブツ)
2)サラシア・オブロンガ
3)サラシア・プリノイデス
4)サラシア・キネンシス(小林製薬のサラシ100の主成分)
4つそれぞれに効能がありますが、この本では下から上に行くほど効能が多く紹介されています。
それぞれの名前でネットで検索すると、それぞれを使ったお茶やサプリメントなどの健康食品が出てきます。
サラシア・レティキュラータとサラシア・キネンシスは幹を使い、
サラシア・オブロンガとサラシア・プリノイデスは根を使うようです。
インドやブラジルのサラシア・オブロンガが供給量が多いそうですが、品質ではスリランカ産のサラシア・レティキュラータ(コタラヒムブツ)が良いそうです。
シナモンも供給量では中国の、インドネシア、ベトナムなどで採れるカシアの方が多いですが、品質ではスリランカ産のセイロン・シナモンが良いとされているのと似ているなと思います。
コタラヒムブツはスリランカの標高1,000m以上にのみ自生するツル性の植物で、ハーブとして利用可能になるまで成長するのに約7年間かかるそうです。
スリランカ政府は乱獲防止や自然保護の目的で海外輸出規制を行っていましたが、2002年に輸出先として日本のみ(発行された2017年12月時点)が許可されたと記述されています。
まとめ
アーユルヴェーダで使われきた秘薬「コタラヒムブツ」について紹介いたしました。
コロンボにある日本人経営のオーガニックショップ「Kenko 1st」で、糖の吸収を抑えると聞いて、糖尿病の父に送ったり、100キロ超えでダイエットをしている同居人に毎日飲ませるベク、買って家で毎日サラシア茶を飲んでいました。
日本から来た大学生の女子たちも、ダイエットにいいと効くと「飲みます!」というので、食前によくサラシア茶を作っていました。スリランカでは手頃な値段で買えますので、是非飲んでみてください。
食前30分頃に飲むのがいいとどこかで聞いたか見ていたので、ご飯を作り始めるときにまずお湯を沸かしてサラシア茶を作り、その後、ご飯の支度に取り掛かっていましたが、今回紹介した本ですと、食事中に飲むのでも良いようですので、食前でも食虫で気づいた時に飲むと良さそうです。
コタラヒムブツで作られた製品
原材料にコタラヒムブツと記載されている商品がアマゾンでいくつかできましたので、ご紹介しておきます。
参照
コタラヒムブツの秘密
ウィキペディア「サラシア属」
ウィキペディア「コタラヒムブツ」
サラシアの会
株式会社 盛光
TAKAMA
小林製薬 サラシア100
吉野家 サラシア牛丼
Webio「リパーゼ」
看護roo「脂肪はどのように消化されるの?」
公益財団法人 日本食肉消費総合センター「脂肪はどのように消化・吸収される?」
日経メディカル「アルドース還元酵素阻害薬の解説」
武田薬品工業「マンゴー」
マンゴー、抗アレルギー効果で花粉症緩和に期待~第36回「健康博覧会」セミナー
ウィキペディア「ポリフェノール」
公益財団法人 長寿科学振興財団「ポリフェノールの種類と効果と摂取量」
株式会社明治「カカオポリフェーノールとは?」
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アーユルヴェーダとスリランカの伝承医学ヘラウェダカマについて理解が深まる『スリランカに学ぶアーユルヴェーダのある暮らし』
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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