スリランカ初出店のラーメンまこと屋! 立ち上げメンバーそれぞれの想いと物語を徹底取材!
最近になってようやく日本食レストランがちらほらと増えてきた、スリランカ一の大都市、コロンボですが、こちらでは日本食といえば寿司や天ぷらのイメージが強く、まだまだスリランカ人になじみの浅いのが日本人にはおなじみのラーメンです。
海外に長く滞在している日本人駐在員の皆様はもちろん、海外旅行中であっても、現地の食事が数日続くと、いつもの食事が恋しくなって、そんな時に日本食レストランを見かけるとついのぞいてみたくなります。でも、食べてみるとなんか違う、日本の味が出せていなくて残念、こんなこと、コロンボでもよくありますよね。
そんなコロンボの日系駐在員の皆様へビッグニュース!
2019年11月8日、コロンボにスリランカで最大規模のショッピングモール、OneGalleFaceMall(ワンゴールフェイスモール)が誕生しました。
そして、その最上階、6階のレストランフロアには、現在大阪を中心に35店舗をチェーン展開しているラーメン屋さん、ラーメンまこと屋(RAMEN+IZAKAYA MAKOTOYA)がスリランカ初出店を果たしました!
私たちスパイスアップはお店がまだ工事中の段階からグランドオープン、その後現在に至るまで取材を重ね、「ラーメンまこと屋」の魅力、そしてこの店を立ち上げた、メンバーの熱い想いをお伝えします。
今回は、
まこと屋スリランカ店の店長、南薗さん
台湾でまこと屋の出店を経験してきた海外事業部の畑江さん
日本で採用され、日本で研修を受けてきた、スリランカ人社員のファイサルさん
以上の3名からお話を伺いました。
目次
「ラーメンまこと屋」とは?
ラーメンまこと屋は1999年大阪市福島区に第1号店となる福島店をオープンし、その後出店を続けて今年で創立20周年。
今では関西を中心に35店舗、台湾に3店舗、マカオに2店舗、そしてこの度スリランカに第1号店と、今後も世界中に展開していく予定のラーメンチェーン店。
スープや麺、チャーシューなど、すべてを店舗で仕込むことにこだわり続け、
「家族が喜ぶラーメン屋」をコンセプトに、老若男女家族みんなが笑顔になる、満足できるラーメン屋さんを追求してきた。
今回、紹介するラーメンまこと屋スリランカ店は2019年11月8日にオープンしたばかりのOne Galle Face Mall 、最上階である6階レストランフロアにオープンした。
名前:Makotoya One Galle Face Mall branch 通称「まこと屋スリランカ」
場所:L6-11,One Galle Face Mall
1A,Centre Road,Galle Face
Colombo 2,Sri Lanka
営業時間:11:00~23:00
HP:http: //www.makotofood.co.jp/
オープンから1か月経ちましたが、皆様がオープン前に想像していたのと実際とはどのように違いましたか?
海外事業部 畑江さん
オープン前に全く想像しなかったのは、現地在住の中国系のお客様がご来店の約半分を占めること。しかもほぼ固定の常連さんとなって、今では顔見知りのお客様ばかりです。
私はここに来る前が台湾駐在でしたので、接客に中国語が使えるのは計算外のラッキーでした。
日本ではラーメンは敷居の高い食べ物ではありませんが、スリランカの方にとってみれば、異国のぜいたく品。そうなると私たちお店側としても日本のラーメン屋としてではなく、日本食レストランに食事に来られたお客様を迎えるような接客やサービスをご提供させていただく、ということになります。
とにかく、スリランカ人のお客様は日本のお客様よりも、このお店でのお食事やサービスに対する期待値が高いのです。
「お箸の使い方を教えてほしい。」とおっしゃるお客様も多く、教えてあげてうまくできるようになると、皆様とても喜ばれます。お箸の使い方を本物の日本人から教わった、ということに意味があるようですね。
教える側としては責任重大。お陰様で、お箸の使い方の外国の方への教え方、このひと月でかなり上手になりました(笑)
一方、中国系のお客様は元からこの類の食事になじみがあるので、良い意味で緊張感がありません。毎日のように気軽に来られるお店としてご利用いただいている気がしますし、私たちも比較的日本での接客に近い形でお客様をお迎えできて、ありがたい限りです。
今回のスリランカ出店で特に苦労されたことを教えてください。
畑江さん
大きく分けて3つあります。
まず一つ目は予定が組めないこと。
スリランカでは本当に仕事が予定通りに進みません。理由の一つは物流がスムーズに処理されないこと。もう一つはスリランカ人の仕事はマイペースです。おそらく注文する側もそれを良しとしているのでしょう。せっかちな日本人がスリランカの方とペースを合わせるのは大変ですね。
私たちの場合は製麺機と日本から輸入の食材が港で停まり、食器類がEMSの窓口で停まり、ユニフォームとメニューは開店当日に届きました。
店は開店後もまだ工事中で、営業中も作業していました。
食材も人員もそろっているのに、肝心なラーメンが開店当日まで作れませんでした。
これがスリランカか、という印象です。
日本採用のスリランカ社員 ファイサルさん
とにかく発注したものが時間通りに来ないことが今でもよくあります。
遅れるならまだしも、待っても待っても来ない時さえある。
そうなるとお店はご提供できないメニューができて、お客様にご迷惑がかかってしまう。
多めに発注するなどの簡易な手は打ちますが、食材を常に早めに発注することは、新鮮さからしてもけっしていいことではありません。今後の課題です。
畑江さん
2つ目は、大きく2つに分かれるお客様の味の好みについて。
薄味好みの中国と、濃い味万歳のスリランカ。
先ほどお客様の半分が現地在住の中国系の方々であることを話しましたが、
ここで問題となるのは、私たちのラーメンは中国系のお客様の感覚では塩分が強すぎることです。私たちがちょうどいいと思う塩分があるとすれば、ほとんどの中国系の皆様の好みはその半分です。
オープン当初、毎日のようにしょっぱすぎるとのお叱りを受けました。
中国系のお客様はほぼ100%の確率でした。
そこで、私たちはお客様が中国系の方であれば、お伝えした上で、あらかじめ塩分を半分で提供することにしました。
今では一切この件でのお叱りはなくなりました。
3つ目は「スリランカ人はそもそもラーメンというものが何かを知らない」こと。
これは今後もまだまだ続く問題です。
寿司・天ぷらの次にラーメンが来てもいいのに、と思うのは日本人のエゴですね。
僕たちがスリランカに来なければ、コットゥという食べ物に出会わなかったように、スリランカの皆様にはラーメン、というワードは全く通用しなかったわけです。
まこと屋では今回スリランカの出店に当たってはラーメンに限定されず、ほかの日本食を楽しんでいただくためにも「ラーメン+居酒屋 まこと屋」という名前での出店にしました。
ラーメンはいずれ知っていただくとして、まずは日本のおなじみの食事がお目当てのお客様にもお気軽に入っていただけるように。そんな工夫を店のネーミングに込めています。
現在のメニューはオープン当初のものにかなりの変更を加えられたそうですが、なぜですか?
畑江さん
先ほどお話しました通り、私たちはスリランカに来て、スリランカの皆様がラーメンを知らないことを知りました。また、日本食に関しての常識も私たちと認識が違うことはスリランカに限らずあります。
そういうものを、日本はこうなんだと押し付けず、むしろ時には真似もさせてもらう、くらいのメニュー構成が海外では必要です。
私たちのメニューで代表的なものはカリフォルニアロールです。
また、ホットチリから揚げやスパイシーチャーハンなど、基本は崩さず、味覚だけは現地の方々向けに、というメニューもよくご注文いただきます。
ラーメン屋さんがラーメンをスリランカの皆様へ、となるためには時間がかかるかもしれませんが、お客様に喜んでいただけるなら、きっかけはラーメンではなくても構いません。
最近ではベジタリアン向けのラーメンもメニュー化しました。
スリランカ人スタッフと一緒に働いてみて、皆様の印象はいかがですか?
ファイサルさん
最初は結構すぐにやめてしまう人が多かったです。
スリランカはそもそも日本人のように仕事漬けの習慣はありません。
私たちは、まこと屋スリランカのスタッフに対しても、いずれ日本と同じレベルになってくれることを期待しがちですが、その期待が重すぎてついていけなかったりすることはあったと思います。
畑江さん
一度、やめたいと言ったスタッフをなだめたとき、よくよく話を聞いたら、
やめたい理由は、今日のまかないの食事が気に入らなかったから、というものでした。
その時は、じゃあ俺が好きなものを作るよ、それでいいかな?で解決しました。
とにかくスリランカの、特に若者は、仕事場に求めるものとして、もちろん給料の金額は重要ですが、同じくらいに楽しむことが重要な要素、そんな印象を受けました。
日本の常識はもちろん通じませんし、空気も読めません。
でも、スリランカ人は、人と目が合うと知らない人でもめいっぱいの笑顔で返します。
教えなくともこれができるのは強いです。
教育を受けて日本人のサービス意識が身についたスリランカ人、育てたいですね!
「スリランカを自分の仕事で元気にしたい」南薗店長の想い
2019年4月21日。スリランカ連続爆破テロ事件勃発。
建設中のOneGalleFace Mallには工事を一時中断の通達が入り、まこと屋も出店を中止するかどうか、選択を迫られた時、周囲はそろって「やめたほうがいい、危険すぎる。」と反対した。最終的にスリランカ駐在を自ら希望していた南薗店長の
「僕は行きますよ。」
この一言が会社のトップを後押しし、
まこと屋スリランカは工事続行、オープンする運びとなる。
南薗店長のこの店のオープンにかける想いとは?
4.21の爆破テロで出店が危ぶまれたとき、何を考えましたか?
テロの脅威に対する恐怖なんかはあまりなかったです。
むしろ「頑張ろう」と思っていた場所が急にこんな目にあって、寂しい場所になってしまった。このままは何か嫌だな、自分が行ってオープンするお店がうまくいったら、少しはスリランカの活性化に役に立てるかな、そんなことを考えていました。
昨年自分の父親を亡くして、スリランカに手を挙げたのも、何かこれが自分の新たなスタートのように思っていたので、簡単にやっぱりやめよう、とはなりませんでした。
海外にいったことは社員旅行のみで仕事の経験はない。
それでも話を聞いて「それ楽しそう!」となった時点で自分の中では固く決まったことでした。
実際店に立っていて、大変だなと感じることはありますか?
スタッフの問題です。
良くも悪くも優しくて、厳しい雰囲気なんかまずないですね。
楽しいかどうか、がベースで動いてくれている感じです。
それでもスリランカ人と働くのはすごく楽しいです。
やるときはきちんとやってくれますし。
継続できるか、これは今後の課題ですが、うちの店で働いてくれているスリランカ人スタッフ、みんな最高ですよ!
日本で店長をされていた時との違いは?
日本では本部があってほかの店があって、本部からの通達通りにみんな仕事しているわけですが、こちらには本部はなく、店舗が一つあるだけで、迷ったら自分で選択を迫られることも日本よりはるかに多いです。
価格の設定に意見を求められたり、仕込を改善するのにどうしよう、など日本ではまずかかわれない仕事をさせていただき、毎日試行錯誤しながらいい経験をさせていただいています。
まこと屋のおすすめメニューは何ですか?
まこと屋の目玉商品は濃厚な旨みとコクのある牛骨スープが特徴の牛じゃんラーメン。
スリランカ店でも人気のメニューですが、
ここスリランカではスリランカ店限定メニューの鶏白湯ラーメンがおすすめです!
クリーミーで濃厚ながら食べやすいラーメンです。
スリランカには宗教上、牛肉を食べられないお客様が
多いために考案されたメニューで、
鶏白湯ラーメンを提供しているのは数あるまこと屋の中でもスリランカ店のみ!
ここでしか味わえないラーメンをぜひ楽しんでください。
こだわりのスープを海外店舗でも提供できるよう、
まこと屋ではラーメンスープのベースとなるタレ(かえし)を日本から仕入れています。
最後に
予想外のテロ事件やオープン前の苦労を乗り越えて
最新モール「One Galle Face Mall(ワンゴールフェイスモール)」
で新しいスタートを切ったラーメンまこと屋。
今回はまこと屋のスタッフ3名に、その想いやスタッフについて、
ラーメンのこだわりなどをインタビューしました。
試行錯誤を重ねながら成長し続けるラーメンまこと屋は、
お店に入ると「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」
と元気な日本語の挨拶が飛び交う素敵なラーメン店です。
ワンゴールフェイスモールに訪れた際は、
フレンドリーなスタッフとの交流や、
こだわりのラーメンを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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