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スベンドリニ・カクチ著『私、日本に住んでいます』

2022年6月10日

スリランカ人女性ジャーナリストで、日本外国特派員協会会長を務めるスベンドリニ・カクチさんの著書『私、日本に住んでいます』を紹介します。

著者スベンドリニ・カクチさんとは?

スベンドリニさんは、タミル人キリスト教徒の父、シンハラ人仏教徒の母の元に生まれたと本書の「はじめに」に書かれています。

父方の祖父母がジャフナ住むと母方の祖父母が住むについて、以下のように紹介されています。

とても乾燥した地域なので、「水を無駄にしないで」と、いつも祖母に厳しく言われ続けました。お風呂のシャワーは、大きなマンゴーの木の下にありました。シャワーを浴びている間に、同時に周囲の植物に水やりをするためです。

母方の祖父母が住む南部は水が豊かでした。庭は、いつも緑に溢れていました。いとこたちと川でよく水浴びをしましたし、この川の水で村の水田が潤っていました。

お父さんとお母さんはそれぞれ英語が堪能ではなかったそうですが、お互いの会話は英語で行っていたそうです。

そのため、スベンドリニさんはタミル語、シンハラ語、英語に親しみながら育ったそうです。

プロフィール

日本外国特派員協会会長、ユニバーシティー・ワールド・ニュース日本特派員。

コロンボ大学法学部を卒業後、上智大学に留学。
スリランカに帰国後、英字新聞社セイロン・オブザーバーに入社。
メディア特別研究員に選ばれ再来日。
ジャパンタイムズ、共同通信で活躍し、1984年にフォーリン・プレスセンター(FPCJ)から南アジアジャーナリスト研究奨学賞を受賞。
第2子出産のため退社後、開発問題や途上国に関する専門報道機関インタープレスサービス(IPS)の日本特派員としてジャーナリストに復帰。
1997年にハーバード大学のニーマン特別研究員に選ばれ、民族問題を専門に研究。
2007年にスリランカに戻り、イギリスのメディアトレーニング機関パノスで、スリランカとバングラデシュの若手ジャーナリストの教育に従事。
2010年に日本に戻り、IPS特派員としての仕事を再開後、イギリスを拠点とする世界の高等教育に関するオンラインニュースメディア「ユニバーシティー・ワールド・ニュース」に入社して現職。

著書に、日本に住むさまざまな外国人を取材した『私,日本に住んでいます(岩波ジュニア新書) 』、津波で被災したスリランカやタイの実例を紹介した『あなたにもできる災害ボランティア―津波被害の現場から (岩波ジュニア新書) 』がある。

本書の概要

本書は、スベンドリニ・カクチさんが日本に住む12名の外国人へのインタビューをまとめた書籍です。

冒頭の「はじめに」で、スベンドリニ・カクチさんご自身の「日本に住む外国人」としての経験や生い立ちについて紹介されています。

掲載されているのは以下の12名です。

1.タイ出身の東北大学への留学生
2.アメリカ出身の女性DJ
3.カンボジアにおばあちゃんがいる小学生
4.イギリス出身の女性落語家
5.西葛西にあるインド系学校
6.オーストラリア出身の吉本お笑い芸人
7.アメリカ出身の写真家
8.ミスワールド日本代表に選ばれたインド人とのハーフのモデル
9.ジンバブエ出身のゴスペルシンガー
10.ミャンマー出身の日本で難民として暮らす方
11.アメリカ出身の古民家再生を行う方
12.アメリカ出身の日本文学者・翻訳家

印象に残ったこと

本書を読んで、印象に残ったことを引用します。

ミャンマーからの難民の方が日本について感じることとして最初に取り上げているのが以下の内容です。

日本では難民はどちらかというと少しネガティブなイメージで見られているように感じることもあります。難民は、自由を勝ち取るために闘ってきた人々というよりも弱くて貧しい人だというイメージを持たれているかもしれません。

アメリカの教育と比較して、アンドリューさんは日本の教育について、以下のように述べられています。

日本の学校では、知識を一方向的に伝えるような授業がまだまだ多くて、生徒が他人の意見を聞いて議論しながら答えをみつけていくような機会は少ないように思います。

一方で、ミャンマーの教育と比較して、イエ・ミン・テッさんは、日本の教育について、以下のように述べています。

ミャンマーの学校では教師が非常に厳格で、生徒たちは質問をすることもできず、授業では教師の言葉をすべてノートに書き取るだけでした。一方、日本の学校では、自分の考えを発表することもできますし、他の生徒たちと共同でプロジェクトを行うこともできました。そんな学び方ができるということは本当の素晴らしいことだと思います。ですから、日本の生徒がクラスで居眠りしていたり、授業中にスマホをいじっていたりしているのを目にしたときなどには、「この日本の学校の素晴らしさにきっと気づいていないんだろうな」と思うこともありました。

日本文学者で翻訳家のドナルド・キーンさんは、若い人へのメッセージを以下のように残されています。

良い翻訳は、読みやすくなくてはいけません。たとえ少しくらい間違いがあっても、読者がその本を読んで、感動することができるかどうかです。読んでいて、読者がうんざりしてしまうようでは、良い翻訳とはいえません。

翻訳のコツは、最も適切な訳語を見つけることです。もちろん言語に堪能であることは、わかりやすく正しい翻訳のためには不可欠です。言語や文化を深く理解して、二つの文化をうまく結びつけること–それが、良い翻訳家の条件です。

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