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紅茶専門店「ジークレフ(Gclef)」でディンブラ茶、キャンディ茶、シッキム茶を試飲!

2021年7月14日

吉祥寺、阿佐ヶ谷、高円寺、目白に店舗を展開する紅茶専門店「ジークレフ(Gclef)」の新しい5店目が2021年6月12日、千歳船橋にオープンしました。

千歳船橋駅は私の地元の最寄り駅の一つです。

入店してみたところ、「セイロンティーを順次入荷中です。ディンブラをどうぞ!」と店長さんに案内されてディンブラ、キャンディ、シッキムの紅茶を試飲し、スリランカを伝える立場にありながら、あろうことかインド産のシッキム茶を購入してしまいました。

インドの紅茶産地はダージリン、アッサム、ニルギリの三大産地はよく知られていますが、シッキムはかつてダージリンの土地を治めていたシッキム王国があったチベット系の人が多い地域です。

シッキムの人たちはチベット系のため、インドにおいては見た目が日本人に近く、インドにある日系店舗で働く人をよく見かけます。

本記事では、ジークレフ、お茶の産地とグレード、シッキムについて紹介します。

ジークレフとは?

ウェブサイトには、以下のように記載されています。

ティーマーケットジークレフでは、シングルオリジンの紅茶・台湾茶をはじめ、クラフトマンシップに裏打ちされた、作り手の作品としての茶を取り揃えております。

茶は自然の中でつくりあげられる農産物ですが、それと同時に職人が手塩にかけて育てた、ひとつの作品でもあります。本当に優れた作品は、つくり手の思いがにじみ出るような豊かな風味を湛えており、熟成するにつれ豊潤な香りを醸し出します。

紅茶のパッケージの裏面には、以下のように記載されています。

■飲み手に対して
・つくり手の思いが伝わるような、心を込めて作られたお茶を提供いくこと。
・安全で、本質を捉えた品のみを提供していくこと。
・お茶を通じて、癒しやすらぎをもたらし、より豊かな生活づくりへ貢献すること。

■作り手に対して
・発展途上国の作り手の生活水準を向上させ、相互の信頼に基づいた、持続可能で健全な関係を構築すること。
・自然に則した農業への支援を通じ、自然環境の保護に役立つこと。

お茶の種類

インドの紅茶を中心に、各地の紅茶を取り扱っているようです。

■インド茶


ダージリン茶(ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、オータムナル、その他)
アッサム茶(ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、その他)
ニルギリ茶
カングラ茶
シッキム茶

■その他


スリランカ(セイロン)茶:シーズナル、スタンダード
ネパール茶
フレーバーティー・ボタニカルブレンド
ハーブティー
中国茶:中国紅茶、その他中国茶
台湾茶:台湾紅茶、台湾烏龍茶
日本茶:和紅茶、緑茶、ほうじ茶

文山包種茶は台湾四大銘茶(凍頂烏龍茶、文山包種茶、木柵鉄観音、東方美人)の一つで、店長さんによれば、蘇 志成さんが凄腕だそうです。

ジャム・はちみつ・スパイス

イギリスの会社のプリザーブ各種
スペインの会社のはちみつ
インドの会社のスパイス

プリザーブは果物の形が残っているものことで、果物の形が残っていないジャムより高価なものが多いそうです。

上の写真は試飲時に出していただいたものですが、それぞれ味見した後ですので、少し減ってしまった状態です。
非常に濃厚で上品な味でした。

プリザーブはオーナーさんがイギリスのホテルに泊まった際に気に入って仕入れることにしたそうです。

入荷中のセイロンティー

現在、ちょうどセイロンから紅茶が順次届いているそうです。

カタカナではグーグルマップで見つけられませんので、以下に英語の茶園名を記載しました。

セイロン茶の入荷元茶園

ヌワラエリヤ地区:Courtlodge Estate Tea Factory
ディンブラ地区:Somerset Estate Tea Factory
キャンディ地区:Kenilworth Estate
サバラガムワ地区:New Vithanakande Tea Factory
ルフナ地区:Pothotuwa Tea Factory

セイロンティーの産地については、以下のページを参照ください。

https://spiceup.lk/ceylontea/

ウェルカムドリンク:ディンブラ「サマーセット茶園」

入店してウェルカムドリンクとして出していただいのは、ディンブラ地区にあるサマーセット茶園の紅茶でした。
サマーセット茶園は、紅茶に詳しくない私でも聞いたことがある有名茶園です。

すっきりした味わいでした。

試飲:キャンディ茶とシッキム茶

ジークレフさんの店舗では、試飲ができるようになっています。

しかも、ウェッジウッドの素敵な茶器で出してくださいます。

入店時にディンブラをいただいたので、キャンディ茶をリクエストしたら、シッキム茶も用意してくださいました。

キャンディ茶

リーフ50g袋で、1,296円(税込)。

ケニルワース茶園のOP1。
OPはオレンジ・ペコーのことで、末尾の1は品質の優れたものに付けられることがあります。

上の写真をご覧いただくと分かりますが、OPの茶葉は細かくカットされておらず、フルリーフです。

「まろやかな風味の紅茶です」と説明書きがありました。

茶器はコーヒーとは違い、紅茶には広がっているものの方が良いそうです。
そして、薄い方が良いそうです。

たしかにティーカップは、コーヒカップよりも広がっていて、薄いものが多いですよね。

この紅茶も非常に美味しかったのですが、次に出てきたのがシッキム茶。

シッキム茶

リーフ50g袋 2,700円(税込)!
なんと、先ほどのキャンディ茶の倍以上の値段です!

シッキムから茶葉を買ったのは8年ぶりだそうですが、今回、すごく良いお茶だったそうです。
店長さん曰く、これはお得な値段だそうです。

テミ茶園のFTGFOP1 C1のファーストフラッシュ。

グレード名が長い!
紅茶のグレードは以下のようになっています。

OP(オレンジ・ペコー):フルリーフの紅茶。
FOP(フラワリー・オレンジ・ペコー):花のような香りのOP。
TGFOP(ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー):黄金色の芯芽が多いFOP。
FTGFOP(ファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー):TGFOPの上質なもの。

それぞれのグレードで特に品質が良いものに対して、頭にSを付けたり、末尾に1を付けたりします。

C1も同様に強調されたものではないかと思います。

スリランカを伝えるのが私の本業。
試飲までさせてもらったので、セイロンティーを買って帰ろうと思っていましたが、苦味が少ないインド産シッキム茶の方が好みにあいました。

紅茶の知識がない私は、グレードが頭に入っていませんので、この記事を書くことになってから調べて知ったことですので、グレードや値段につられてシッキム茶を選んだわけではないことを付け加えておきます。

茶葉2gを熱湯150mlで5分間で淹れる

店長さんは「パッケージには2gとありますが、1.8gでも十分だと思います。先程の試飲では1.8gで抽出しました。」

とおっしゃっていました。

0.2gの違いは私には分かりそうにありません!

ちなみに、店長さんは東京の店舗でも場所によって水質が変わるので抽出時間や茶葉の分量を変えているそうです。

たしかにロンドンは中心地の水の硬度が高く、郊外に行くに連れて硬度が下がると本で読んだことがあります。
そりゃ、東京も場所によって変わりますよね。

さて、家に帰ってまずは2gを計ろうと思いましたが、そんな繊細な重さを計るものが我が家にありませんでした 泣

よって、目分量です。

スリランカで紅茶工場を見学したときに嗅ぐような、紅茶の良い香りがします。

5分間の抽出後の茶葉です。

角度によって、水色が変わってしまうのですが、真上からだとテーブルの茶色が映ってしまって濃く見えますが、横から見るとクリスタルクリアーな色をしているのが分かります。

シッキムとは?

シッキム茶とはシッキム州で取れた茶のことです。
シッキム州はインドで最少人口の州で、2番目に面積が小さい州です。

1975年にインドに併合される前は、シッキム王国の領土でした。
銘茶産地と知られるダージリンもかつてはシッキム王国の領土だったのです。

シッキムを漢字では錫金と書くそうです。
セイロンを漢字では錫蘭と書きますので、似ていますね。

ネパールとインド(シッキム州)の国境には、世界3位の標高8,586mのカンチェンジュンガがあり、ダージリンからよく見えるそうです。

カンチェンジュンはチベット語で「偉大な雪の5つの宝庫」の意味で以下の5つの峰があります。
主峰8,586m
西峰8,505m
中央峰8,478m
南峰8,476m
カンバチェン7,903m

歴史を知ると、シッキムは周辺国、大国に翻弄された小国であることが分かります。

以下、シッキムの略史です。

チベット人が建国

シッキム王国は、亡命したチベット人たちによって建国されました。

チベット仏教には以下の4つの大きな宗派があります。
ニンマ・パ:チベット密教の開祖パドマサンバヴァが宗祖。ニンマは古いの意味。シッキム王国を建国。
サキャ・パ:1034年生まれのコンチョク・ギェルポが宗祖。クビライに元の仏教全権を任されたパクパが所属。
カギュ・パ:1052年生まれのミラレパが宗祖。ブータン王国の源流。
ゲルク・パ:1357年生まれのツォンカパが宗祖。ダライ・ラマが所属。

1642年、ゲルク・パが主導する政権「ガンデンポタン」がチベットを統一したことを受けて、ニンマ・パの高僧・市民がシッキムの地に亡命して建国したのがシッキム王国です。

シッキム王国はチベットの属国で、チベットを属国にした清の属国でもありました。

ブータン王国によるカリンポンの奪取

1706年、ブータンによって、カリンポン地方を奪われます。

3代目王のチャドル・ナムゲルはチベットに亡命しますが、ダライ・ラマ6世の死亡によって庇護者を失い、ブータンに降伏します。

ネパール王国によるティスタ川西岸の奪取

1769年に建国されたネパール王国は東進し、ティスタ川までを占領します。

1780年、ネパール王国はシッキム王国の首都ラブデンツェを攻撃し、テンジン王はチベットに亡命。
ティスタ川西岸はネパール王国が占領します。

イギリスによる保護国化、ダージリンの割譲

1815年、イギリスの保護国になります。

1841年、ダージリンをイギリスに割譲。

インドによる保護国化

1947年、インド連邦が独立し、イギリスに代わって、インドがシッキム王国を保護国化します。

インドによる併合・滅亡

1973年、王室支持・独立派と、親インド・ネパール系が争う中で、王室支持・独立派が選挙に勝利。
インドが支援する親インド・ネパール系が不正選挙を訴えてデモ・武装蜂起が全国で展開されます。
王は事態の収束をインドに頼り、インド属国化の強化を図る協定に署名。

1975年、王の退位を求めるデモ隊に王宮軍が発泡したことを受けて、インド軍が侵攻。
インド軍によって王宮軍は武装解除され、王政廃止とインドへの編入を立法議会で議決。
国民投票でインド併合が承認。

参照)

Gclef公式サイト
紅茶水楼館:カングラ
グレードのお話
コトバンク:プリザーブ
ウィキペディア:ウェッジウッド
ウィキペディア:シッキム王国
ウィキペディア:シッキム州
ウィキペディア:チベット仏教
ウィキペディア:ダージリン
コトバンク:シッキム
ウィキペディア:カンチェンジュンガ
ウィキペディア:ネパール王国
ウィキペディア:ブータン
コトバンク:ティスタ川

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