スリランカの主要な港〜コロンボ港、ハンバントタ港、トリンコマリー港、ゴール港など〜
スリランカには貿易の拠点となっている港、かつて港町として栄えた歴史ある観光の町などが多くあります。
本記事では、スリランカの主要な港について、その特徴や歴史的な背景を紹介していきます。
※冒頭の写真:グランド・オリエタル・ホテルのモニュメントの先にあるのがコロンボ港の建物です。
コロンボ港
まずは、スリランカ最大の港であるコロンボ港です。
ケラニ川(ケラニ・ガンガー)の河口に位置し、8世紀頃からアラブ商人たちがコロンボ周辺に住み始め、スリランカ・ムーアを形成していきます。
現在もケラニ川の河口に近いコロンボの2桁台の地区にはムスリムが多く住んでいます。
コーッテ王国の時代には河口・港を意味する「トタ」が付いた名前「コロントタ(Colomtota)」と呼ばれていました。
1873年にイギリスによって人工的にコロンボ に港が作られ、ゴールに変わりコロンボがスリランカにおける主要港となります。
それまでは、ポルトガル、オランダ統治時代も含めて、スリランカにおける主要港は天然港を持つゴール港で、今もムスリムが多く住んでいます。
コロンボ港は主にコンテナ港で、2015年の数字ですが、年間コンテナ取扱量は520万TEU、貨物取扱量は7,300万トンと、スリランカにおける対外貿易のほとんどはこのコロンボ港が拠点となっています。
コロンボ港は世界のトップ25の港に入るとされており、南アジアにおける重要な港になっています。
現在ではJaya Container Terminal (JCT)、南アジア・ゲートウェイ・ターミナル (SAGT)、ユニティ・コンテナ・ターミナル (UCT) 、コロンボ国際コンテナターミナル (CICT)の4つのコンテナターミナルが存在しており、さらに東コンテナターミナル (ECT)の建設計画が進められています。
そしてこの港は、西部海軍司令官指揮下のスリランカ海軍西部艦隊の海軍基地ともなっています。
また難破船のダイビングスポットとしても有名で、パナドゥーラまで続くコロンボの海岸には難破船の数が最も多く、観光地となっています。
参考)
Wikipedia「Port of Colombo」
トリンコマリー港
東海岸最大の都市トリンコマリーには、スリランカ最長の川であるマハウェリガンガ川の河口に位置し、2つの岬に囲まれた世界で5番目に大きい天然港「トリンコマリー港」があります。
その水域は2,000ヘクタールを超えるといわれています。
トリンコマリーはジャフナにつぐタミル人第二の都市であり、紀元前3世紀にヒンドゥー寺院のコネスヴァラム寺院が建立されています。
大航海時代には軍事的に重要な港として欧米各国がトリンコマリー港を奪い合います。
1620年にデンマーク東インド会社がトリンコマリーに到着し、拠点を築きます。
1622年にポルトガルがデンマークを排除し、トリンコマリーを占領した際、コネスヴァラム寺院を破壊。
翌年の1623年に寺院の跡地にポルトガルの要塞「フォート・フレドリック」を作り、今も残っています。
1639年にオランダ東インド会社がフレドリック要塞を占領。
1673年にフランス東インド会社がフレドリック要塞を占領。
1674年にオランダ東インド会社がフレドリック要塞を占領。
1782年1月に第四次英蘭戦争でイギリスがフレドリック要塞を占領。
1782年8月〜9月にはアメリカ独立戦争におけるイギリス海軍とフランス海軍の戦い(トリンコマリーの戦い)の舞台にもなります。
トリンコマリーの戦いの後、再度、オランダ東インド会社がトリンコマリー占領。
1789年にフランス革命戦争でイギリスがオランダ領に侵攻してトリンコマリーを占領します。
イギリス領セイロン時代は商港コロンボと軍港トリンコマリーとして、イギリス海軍の二大基地となります。
1942年、太平洋戦争のセイロン沖海戦にて日本海軍は商港コロンボと軍港トリンコマリーを空襲しており、トリンコマリーには空襲によって亡くなったイギリス軍人の墓が今も管理・維持されています。
トリンコマリーは美しいビーチがあることもで知られています。
近くにはスリランカ最大の海底峡谷が広がり、ホエールウォッチングなども楽しむことができます。
セイロン沖海戦についてこちらの記事をご覧ください。
トリンコマリーでのホエールウォッチングの詳細情報についてはこちらの記事をご覧ください。
参考)
ウィキペディア「トリンコマリー」
ウィキペディア「トリンコマリー占領(1782年)」
ウィキペディア「セイロン侵攻」
Wikipedia「Trincomalee」
Wikipedia「Trincomalee Harbour」
Wikipedia「Danish East India Company」
Wikipedia「Battle of Trincomalee」
Wikipedia「Fort Fredrick」
ハンバントタ港
ハンバントタの西にあるアンバラントタは、象のサファリで知られるウダ・ワラウェ国立公園内のウダ・ワラウェ湖から流れるワラウェ川の河口にある港町で、ルフナ王国の交易の拠点として栄えました。
古来からマレー人、中国人、アラブ人が交易をしていた場所であり、現在もマレー人、アラブ人(スリランカ・ムーア)が多く住んでいる地域です。
そんなアンバラントタの東を開発して、2010年11月18日に開港が宣言されたスリランカの最新の港がハンバントタ港です。
コロンボ港、トリンコマリー港に次ぐ、スリランカ第3の国際貿易港となりました。
「トタ」は河口・港を意味する言葉です。
主要な国際海上貿易ルートの交差点に位置し、注目を集める新たなスリランカの貿易の拠点であるハンバントタ港ですが、ほぼ中国資本による開発がすすめられました。
現在ではスリランカ政府と中国商人ポートホールディングス(CMPort)の間の官民パートナーシップとしてスリランカの法律に基づいて設立されたHambantota International Port Groupという民間の有限責任会社によって港の管理と運営がなされています。
ハンバントタ港についての歴史や資本関係はこちらの記事をご覧ください。
参考)
Wikipedia「Magampura Mahinda Rajapaksa Port」
ハンバントタインターナショナルポート(HIP)
ゴール港
ゴール港は1875年にコロンボ港が台頭するまで、スリランカの主要な港となっていました。
ポイント・デ・ゴールと呼ばれる岩の多い岬によって守られるこの港は、320ヘクタールの水域を持つ天然港です。
1505年に港に入ったポルトガルの船団が夕暮れ時に雄鶏の鳴き声が聞こえたことから、その場所をゴールと名付けたといわれています。
またレジャーヨット用の設備を提供する唯一の港でもあり、国際ヨット協会はゴール港を世界で最も魅力的な場所の1つとして認識しています。
スマトラ沖地震の津波による被害もありましたが、現在では商業レジャー港としてレクリエーション施設や新たな防波堤の開発のプロジェクト開始の許可取得中です。
世界遺産「ゴールの旧市街と要塞」の観光情報はこちらをご覧ください。
カンケーサントライ港
カンケサントレイ港は現在スリランカ海軍が使用している小さな港です。
この港エリアは立ち入り禁止区域で一般の人はアクセスできませんが、近くには観光地がいくつかあります。
西の方にはキーリマライのビーチがあり、そこにある淡水の泉が有名です。
また近くのカンケサントレイビーチは、北部州のトップ2のビーチの1つとして高く評価されています。
ヤシの木と冷たい水が流れる家族向けの砂浜で、ビーチは混雑していない自然な場所で、港の村民の漁業、中世の建築物、灯台を眺めることができます。
スリランカ鉄道のジャフナ方面の終着駅にあたります。
また、ジャフナ空港があるのもこの地域です。
カンケサントレイ港周辺地域の観光情報についてはこちらの記事をご覧ください。
参考)
Wikipedia「Kankesanthurai」
Timeout「KKS Beach Jaffna」
オルビル港
オルビル港はバッティカロア、カルムナイの南に位置する商業および漁業の港湾都市にあり、2013年に開港した新しい港です。
東部地域の経済発展のために建設され、南東部とアメリカ西海岸をつなぐ拠点として成長しています。
まとめ
今回はコロンボ港をはじめとした多くのスリランカの港をご紹介しました。
近年開発が進むエリアも多くあり、これからも注目していきたいです。
また各エリア周辺では観光地として有名な場所も多くあります。
当サイトでも観光の詳細情報をご紹介しているので、ぜひ訪れてみてください。
関連記事
参考)
Sri Lanka Ports Authority
Wikipedia「List of Ports in Sri Lanka」
Srilanka’s Amazing Maritime
都留文科大学・比較文化学科在学中。
国内・海外問わず旅行が大好きです。
旅行に行った各地でマンホールの写真を撮るのが趣味。
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