旧正月・春節とは？〜スリランカにおけるチャイニーズニューイヤー〜

2022年の旧正月は2月1日で、旧暦の大晦日にあたる除夕（1月31日）から7日間が中国本土ではお休みです。

中国人の在住者・旅行者が増え、コロンボの5星ホテルなどではチャイニーズニューイヤーの装飾がされ、特別メニューが用意されたりします。

本記事では、旧正月の概要をご紹介した上で、コロンボでの旧正月イベントについてご紹介します。

※本記事で使っている写真は、コロナ禍になる前の2020年の旧正月の徐夕（2020年1月23日）にヒルトン・コロンボがメディア会社向けに行ったパーティーです。

旧正月とは？

旧暦（中国暦・太陰暦）の正月（1月・年初）を祝うのが旧正月です。
旧暦は太陰太陽暦のため、毎年日付が代わり、2021年は2月12日です。

旧暦では月の始まりを、地球から見て太陽と月が重なる日「朔（さく）」、つまり新月の日としています。
そのため、月の始まりの日を、朔日（ついたち）と呼びます。
15日は満月の日となることから「十五夜」というのです。

古代中国で、春のはじめである立春から1ヶ月を正月と定めています。
立春は太陽の動きから作った二十四節気のため、現在のカレンダーからあまり日付は変わりません。

一方で、月の満ち欠けから作られた旧暦は毎年日付が変わります。
中国では、月の満ち欠けの方が重要視されるようになり、立春にもっとも近い新月の日が旧正月となります。

旧正月は、古代中国においては元旦と呼ばれていました。
元とは始まるの意味で、旦とは日の出を示す象形であることから、元旦は最初に日が昇る一日、すなわち正月を示す言葉となったとされています。

1912年の中華民国の成立時に太陽暦が正式に採用され、元旦は新暦の1月1日へ移動し、旧暦1月1日は「春節」となっています。
英語では「Chinese New Year」あるいは「Lunar New Year」と言われます。

各国の旧正月

中国文化圏、華人・華僑が多く住む国・地域では旧正月が祝われています。

中国では、旧暦の除夕（大晦日）から7日間がお休みです。
除夕は、日本では除夜といい、大晦日で鳴らす鐘を「除夜の鐘」と呼ぶことの由来です。

韓国の旧正月を「ソルラル」と呼び、前後3日間がお休みです。

モンゴルの旧正月は「ツァガンサル（白い月）」と呼びます。

ベトナムの旧正月は「テト」と呼び、５連休です。

マレーシアの旧正月は、英語のチャイニーズニューイヤーと呼ばれますが、マレー語では「Tahun baru Cina（タフンバル･チナ）と言います。

インドネシアの旧正月は、「イムレック」と言います。

シンガポール、ブルネイでも旧正月はお休みです。

タイでは、2021年2月12日は特別公休日に指定されました。

沖縄の旧正月は「ソーグヮチ」と言います。

横浜中華街、神戸南京町、長崎新地中華街でも例年、旧正月が祝われます。

スリランカには中華街はありませんが、現在、コロンボには多くの中国人が住み、近年は中国からの観光客が多いこともあり、５スターホテルでは旧正月の飾り付けがされることが増えてきています。

旧正月がお休みになっているような国では、多くの人が帰省をするため、期間中の移動は大変です。

また、町のお店などもお休みになるところが多く、旅行にはあまり適した時期ではないと言われますが、スリランカの地元に人たちは旧正月を祝うわけではありませんので、通常のように旅行を楽しむことができます。

ただ、近年は中国からの旅行者が多く、旧大晦日からの7日間は中国人に人気のホテルは部屋が取りづらくなります。

旧正月の飾り付け

旧正月の飾り付けでは、入口に春聯や年画が貼られ、窓には剪紙（切り絵）が貼られます。
スリランカの中華料理店で、これらの飾り付けを見ることができます。

中華圏では、年越しに花火打ち上げられ、爆竹が盛大に鳴ります。

また、獅子舞の踊りを見ることができます。

ランタンフェイスティバル

長崎新地中華街では、旧正月にランタンフェイスティバルが開催されます。

長崎のランタンフェスティバルは、旧暦1月の朔日（新月）に祝う春節と、旧暦1月15日の望の日（満月）を祝う元宵節を合わせて祝うお祭りです。

道教における三大神「天官大帝」「地官大帝」「水官大帝」は旧暦で誕生日が定められています。
天官大帝の誕生日が旧暦1月15日
地官大帝の誕生日が旧暦7月15日
水官大帝の誕生日が旧暦10月15日

天の神「天官大帝」に吉祥を祈り、邪気払いのために、提灯（中国語で燈籠、英語でランタン）を飾ります。

日本では、旧暦1月15日は小正月とよばれ、小正月までが松の内（この日まで門松を飾った）とされていました。
松の内は、徳川幕府によって、1月7日の大正月までとされ、関東地方は1月7日までが松の内になったそうです。

旧正月で食べるもの

コロンボの５スターホテルの中にある中華レストランでは、旧正月のメニューが楽しめます。
中国の人たちは、旧正月に何を食べるでしょうか？

魚

中国南部では大晦日に魚を食べます。
魚は中国語で「余」と同じ読み方で、「年年有魚」すなわち「年年有余」で、豊穣を願う縁起物として食べられます。

餃子

中国北部では大晦日に餃子を食べます。
「餃」は中国語で「交」と同じ読み方で、喜び・団欒・縁起が良いという意味があり、
「子」は、子の刻（0時）を意味し、大晦日の夜に餃子を作り、年明けとともに食べるそうです。

春巻

春巻きは中国北部でも南部でも食べられているそうです。

年糕（お餅）

中国語で、1年成長したという意味の「年高」と読みが同じことから、縁起物として食べられます。
英語では、New Year Cakeと呼ばれます。

コロンボの主な中華レストラン

５つ星ホテル内の中華レストラン

シャングリラ・コロンボ「Shang Palace」
キングスバリー「Youe Chuan」
シナモングランド「Tao」
シナモン・レイクサイド「Long Feng」
タージ・サムドラ「Golden Dragon」

スリランカ人向けの中華レストラン

Chinese Dragon Cafe

その他の中華レストラン

闽韩（Ming Han）
Tangs Chinese Restaurant
Moon river Chinese
168 Seafood Palace
Shiwu Chinese Restaurant
Peach Valley
Fortune Boat
Tsing Tao
Great Wall Restaurant
大北京酒楼
Sunlight Garden Chinese
China Shazian Restaurant
Jasmine Song
88 Chinese Restaurant
Xilaton Chinese Restaurant

まとめ

本記事では、ヒルトン・コロンボで開催されていたチャイニーズニューイヤーのビュッフェの写真を使い、旧正月について紹介しました。

クリスマスも、日本の正月も、シンハラ・タミル・ニュー・イヤーも、タミルタイポンガルも前日から数日間続き、前日の夜が大切にされますが、旧正月も大晦日の夜はとても大切なようです。

春節の期間中に中華レストランに訪れてみてください。

関連記事

スリランカにおける中国人社会の歴史〜法顕・鄭和・中国移民〜

スリランカでも増える中国人観光客

参照

旧正月を学ぼう　～日本と世界の旧正月～
@DIME「2021年の旧正月はいつ？日本で旧正月を祝わない理由」
おきなわ物語「旧暦行事カレンダー」
ウィキペディア「旧正月」
ウィキペディア「春節」
ウィキペディア「除夜」
ウィキペディア「春聯」
ウィキペディア「年画」
ウィキペディア「剪紙」
ウィキペディア「長崎ランタンフェスティバル」
横浜中華街「2021春節」
神戸市商店街連合会「2021南京町春節祭～オンライン開催～」
ウィキペディア「小正月」
ウィキペディア「元宵節」
モンゴルの旧正月 ツァガンサル豆知識
Konest「韓国の旧正月(ソルラル)」
ウィキペディア「ソルラル」
21年のテトは7連休、建国記念日は4連休　首相が承認
VIET JO Life「【番外編】いまさらながら、「テト」ってなに？」
マレーシアでも盛大に祝われる春節（チャイニーズ･ニューイヤー）
イムレック
Bangkok times「タイの祝日【2021年版】
天官大帝（てんかんたいてい）
春節の食べ物
幸せを呼ぶ！シンガポール流旧正月の「食」文化
ウィキペディア「十二時辰」
ウィキペディア「年糕」

神谷 政志

「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。

1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年2月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、ホステル「スパイスアップ・ハウス」開設。
2020年8月、週刊「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。

渡航国：台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ