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『泣いて笑ってスリランカ 体当たり紅茶修行の1年日記』末広美津代 著

2021年1月02日

セイロン紅茶専門店「ミツティー」を18年間経営する中永美津代さんによう2冊目の著作『泣いて笑ってスリランカ 体当たり紅茶修行の1年日記』を紹介します。

以前、中永美津代さんの1冊目の著書『そんな紅茶で満足ですか スリランカの本物の味と香りを楽しむ秘訣』末広美津代 著を紹介しました。

2冊とも題材は中永さんがスリランカに滞在した1年をまとめたものですが、2冊目となるこちらは、コロンボ、ヌワラエリヤ 、キャンディ、ウバ、マウント・ラビニア、ディンブラ 、ルフナと中永さんが滞在した町の順番に目次が構成されています。

そのため、下宿先がスムーズに見つからず、コロンボに留まったり、山岳地帯からマウントラビニアに一時滞在するなど、スムーズではない下宿先探しと、内戦中の事件や選挙での暴動など、当時のスリランカのリアルが伝わってきます。

現地に繋がりがあまりない中で、どうやって中永さんが正面突破したり、紹介してもらって関係を築いていったかが知れるのも興味深いです。これは中永さんのお人柄と紅茶を探求する真摯な姿勢と現地に対するリスペクトが為せる技だと思います。

中永さんが下宿された先は全部で7軒。シンハラ人の家、英語が全く通じない家、タミール人でベジタリアンの家、夫婦共稼ぎの家、上流階級の家、ムスリムの家、キリスト教の修道院と、かなり多様です。

読み進めると、民族や地域、階級での違いが分かります。なかなかここまで多様な家にホームステイできる人はいないと思います。それぞれの家庭が違えど、共有するのはとても温かい人たちで中永さんと各ファミリーとのやりとりは心に染みます。

半年続いた停電に、水なし生活。蚊に刺されるたびにデング熱になりやしないかと怯え、茶畑に入ってはヒルに刺されて血を流す。川でお風呂代わりの水を浴び、熱帯夜にうなされる。辛いものが苦手なのに、食事は3食激辛カレー

という体当たりな経験を通して見えてくる、スリランカの文化・習慣が面白いです。

前作と合わせて読むと、中永さんの1年間の体験が立体的に分かり、紅茶・セイロンティー・スリランカの文化などについて理解を深めることができます。

何かしらのテーマを持って、留学や研究などで現地に長期滞在する方には、良い事例として参考になることと思います。

本記事では、紅茶について理解を深めることを目的に、標高の低い地域から紹介し、後半に本で出てくるスリランカの生活や習慣、シンハラ語について紹介していきます。

狭いエリアに多様な紅茶ができるスリランカ

スリランカの紅茶産業の特徴が、長期滞在先として選んだ理由として説明されています。

1年間とはいえ産地で腰を落ち着けて紅茶を勉強しようとするとき、できるだけ効率よくいろんなタイプの紅茶を学べるところが良い。スリランカであれば、産地は中央から南部にかけての狭いエリアに凝縮している。それにもかかわらず、その標高差、雨季、乾季の影響、風などにより5つの異なるタイプの紅茶がとれる。ここにいれば、世界中でとれる紅茶のほぼすべてのタイプを網羅することができる。

コロンボの章で、全く期待せずに飲んだインスタントティーが美味しかったと言います。本書のタイトルにある通り、堅い頭で理解するのではなく、まさに体当たりで紅茶を理解してくお話が本書では展開していきます。

ブラックティ向きやミルクティ向きの茶葉があるように、ティバッグ向きの茶葉もあるし、砂糖を入れたらおいしさを引き出せる茶葉だってある。インスタントティだって、おいしいものもある。肝心なのは、それぞれの茶葉と先入観抜きに向き合い、自分だったらどうやってこの茶葉のおいしさを引き出すか、その方法を見つけることだと思う。

コロンボのローカル食堂の人たちに茶葉について聞いてみたというエピソードが面白いです。

外国の旅行客用に販売されている品質の高い茶葉ももちろんあるが、彼たちにしてみれば、「バカみたいに高い。それにまずい」のだそうだ。ダストでいれる紅茶を飲み慣れているので、それ以外の味はあまり受け入れられないようだ。

茶摘みの基本は一芯二葉

中永さんがペドロ茶園のフィールドオフィサーに「どうして一芯二葉で摘まなくてはいけないのか?」と聞いた際のやりとりが紹介されています。

「一芯二葉で摘むということは、まだ柔らかい葉っぱを摘むということなんだ。柔らかい葉っぱには、紅茶のおいしさの元となる化学物質がたくさん残っているんだ。ポリフェノールとかね。逆にもっと下のほうの葉っぱはすでに硬くなっているだろう。こうなってしまうと、そのおいしさの元がどんどんなくなっている証拠。だから、一芯二葉で摘めと指示を出す。ただ、一芯三葉で摘む場合もある。これはもちろん3枚目の葉っぱが柔らかいときに限るけどね。」

当サイトでは、高品質にこだわり一芯一葉で茶を生産するAMBA茶園を紹介していますが、一芯一葉、一芯二葉、一芯三葉のことが分かるかと思います。

【オンライン旅行】高品質少量生産のマイクロ・スペシャライズド紅茶園「A…

一芯だけで作る高級なシルバーチップス

一芯二葉の一芯の部分(芯芽)だけを使った茶がシルバーチップスです。

しかも、どの茶の木からもとれるわけではなく、2,000種類ある茶の木の中の「クローン545番」だけに与えられた称号だそうです。

芯芽は銀色あるいは白色の産毛に覆われていることから、シルバーチップスあるいはホワイティーと言われ、中国では白茶と言います。チップは芯芽のことです。

柔らかい芯芽がつぶれないように摘み取る事が大切で専門の茶摘みさんが担当し、残りの二葉を別の人が摘むため、二人体制になります。

生産量が限られ、茶摘みの手間がかかることから高級とされ、値段は通常の紅茶の約20倍ほどもします。

一方で、他の紅茶とは違いシルバーチップスは揉捻(茶葉をよく揉むこと)をしないシンプルな製造工程です。

萎凋(茶の葉を乾かしてしおれさせ、発酵させる)がゆっくり行われます。萎凋は、屋外で行う日光萎凋と、室内萎凋の2つの方法が地域によって行われています。

シルバーチップスは栄養がある一方で、カフェインがなく、健康的なお茶とされています。

ただ、味・色・香がどれもあっさりしていて、紅茶と思って飲むと物足りないと感じます。

主に中東に向けて輸出されており、中東では結婚するときの持参金として、またはライスシャワー代わりに、今でも使われているそうです。

ロシア・中東で人気のルフナ茶

スリランカの紅茶産地は現在は7つ、この本の出版時は5つに分けられていました。

その中でも最も標高が低いのがルフナです。

日本では標高が高い方が良い紅茶と考えられていることが多く、

日本では、ある意味人気がないこのルフナ地区の紅茶だが、実はスリランカで作る紅茶の半分以上がルフナであり、またティオークションで競り落とされる値段も、このルフナの紅茶がいちばん高い。

ルフナの主要マーケットはロシアや中東。

ロシヤや中東では、芯芽が多く含まれるほど高く売れます。

そのため、他の産地のように茶葉をカットして小さく粉々にしてしまうと芯芽があるのか分からなくなります。

そこで、ルフナでは茶葉をカットしないのが特徴です。

ロシアや中東では紅茶は見た目が重視されると言われており、

真っ黒の茶葉の中に白の芯芽がごろごろ入っている

状態が良いとされています。

■ルフナ茶の特徴
・水色は真っ黒で紅茶というよりコーヒー色
・ミルクを入れずに砂糖を少し入れるとほろ苦くなり、コーヒーを思い出させる
・香ばしい香り
・渋くない

紅茶園という緑一面の絶景を思い浮かべますが、ルフナではヤシの木やゴムの木、クローブの木などが茶畑に立っています。その理由は、

ルフナ地区では、スモールホルダーという小規模農園が実に多い。個人が自分の敷地内で、茶の木を栽培しているのだ。よって、少しでも生産性を上げるために、共存できるだけ飢えてしまう。もちろん、茶の木にとっては良くない。

コーヒー産地だったキャンディ

5大産地の中で次に標高が低いのがキャンディです。

2020年末に中永さんに聞いたお話だと、今はキャンディは特徴的な紅茶を作る茶園があるそうですが、2006年出版のこの本にこう書いてあります。

以前紅茶の専門家に言われたことがある。
「キャンディは、けっして紅茶の栽培に最適だとはいえないのです。ただ、昔コーヒーの栽培がキャンディ中心だったので、交通の便が良かった。鉄道もまず、コロンボ→キャンディ間でひかれたからね。だから、できた紅茶を運ぶのにすごく便利だったんだ。しかし、今はね。ミツもよく知っているだろ。オークションでは、キャンディはなかなか良い値がつかないね。」

スリランカはかつて世界を代表するコーヒー産地でした。

オランダは植民地のジャワ島でコーヒー栽培を成功させた、続いて植民地のセイロン島でも栽培を開始します。

主要港のゴール付近で栽培するも失敗します。

イギリスがオランダに変わってセイロンを支配するようになり、イギリスもゴール周辺でコーヒー栽培を試みますが失敗します。

その後、イギリスのジョージ・バードがもう少し標高が高いキャンディ県ガンポラ市シンハピティヤでコーヒー栽培に成功。

そして、イギリス領セイロン総督エドワード・バーンズが1824年にキャンディ県ペラデニヤ市(現在のペラデニヤ植物園のあたり)にコーヒー農園を初め、本格的なコーヒー栽培を始めます。

1868年、セイロンはコーヒーの生産量世界一に一気に上りつめた。

ところが翌年、コーヒーさび病が発生。

コーヒー園はマラリアの特効薬になるキナノキの栽培を経て、紅茶の栽培地へと転換されました。

工場は閉鎖されているのに、茶摘みが行われている様子がキャンディの章で説明されています。

茶園を運営していく上で、いちばんコストがかかるのが人件費、その次が電気代なのだそうだ。摘まれた葉っぱはたいした量にはならないのに、それを製茶するためだけに莫大な電気を使うことはできない。近くの茶園に、摘まれた葉っぱはそのまま売られるのだ。そして、まとめてひとつの工場で、効率よく製茶される。よって、茶摘みしかしない茶園もあるのだ。

中永さんは5大産地全てで茶摘みをされているが、ヌワラエリヤから初めて、キャンディにきて、足が血だらけになって驚くというエピソードがあります。

今までいたのはヌワラエリヤ。朝晩冷え込む高地である。あそこには、ヒルは一匹もいなかった。しかし、ここはキャンディ。標高もずいぶんと低くなるので、当然気温は高くなる。ここではヒルは当たり前。

優等生なディンブラ

3番目に標高が高いのがディッコヤ、ハットンなどがあるディンブラです。

中永さんに直接聞いた際、「ディンブラはセイロンティーの優等生で、センロンティーらしい味と香り」とのことでした。

紅茶工場内の様子が紹介されています。

働いている人は白の作業服に白の帽子、まるで小学校の給食当番のような格好をしている。これまで見た工場は、たいてい男性はシャツにズボン、女性は木綿のサリー、いくら汚れてもいいくらいのものだった。しかし、ここは真っ白の制服を着ているところがけっこう多い。

 

このディンブラ地区は12〜3月までがクオリティシーズンではあるが、それ以外の月も安定した品質の紅茶を提供できる。

世界三大銘茶のウバ

2番目に標高が高いのがウバで世界三大銘茶の一つ。

場所はウバ州があるエリアにあたりますが、

バンダラウェラという小さな町を中心としたウバ地区一帯を紅茶状態ではウバという。ちなみに、現地の方たちはウバとは言わず、ウーワと発音する。

 

ウバ地区は、産地の中でも、スリランカの中央を走る山脈の東側に位置する唯一の場所。この地区だけは7月〜9月がクオリティシーズンに入る。

ウバ茶はシーズンに入ると信じられないほどのメントールの香りと味を発すると言われています。

シーズンオフのときは、深夜から稼働し始める工場は、翌日の午前中に、すべての工程を終わる。しかし、シーズンオンのときは早めに工場を稼働し始め、明け方には新茶ができ上がるのだ。(中略)工場で茶葉に触れる時間をわざと、できるだけ短くするのである。そうすると、あのメントールの味と香りが、強烈に残ったまま最高のウバのシーズン紅茶が出来上がるのだ。

外観を重視するルフナ茶では黒く見えることが大切という記述が出てきますが、対照的な発言がスタッフから出ます。

「確かに通常、外観は黒が最高だといわれています。実は、私たちもここに混じっている茎や繊維を完全に取り除き、真っ黒に仕上げることはできます。シーズンオフの時には、実際そのようにやっています。しかし、このシーズン中は、あえてそのようにいたしません。さっき言いましたよね。シーズン中の製茶は時間が勝負。この茎や繊維を取り除くために、時間をかけて機械を通し茎や繊維の除去をしていたら、せっかくのメントールが飛んじゃいます。だから、あえてそのままにしているのです。」

一大観光地エッラにあるハルペワッタ

欧米人やスリランカ人に人気の観光地エッラの郊外にあるハルペワッタがウバの章に出てきます。当時のエッラはまだ観光地化されていませんでした。以下の記事でもハルペワッタを紹介しています。

欧米人が集まるスリランカの高原リゾート「エッラ」のオススメ観光スポット

 

ウバ地区の茶園ながら、山があることでクオリティーシーズンがなく、ウバの特徴のメントールの味と香りが強くならないという工場スタッフの発言があります。

「ウバ地区でクオリティーシーズンを迎える茶園は、実はすごく限られているんだ。シーズンといえば乾季。確かに今は乾季だ。しかし、ウバの特徴あるあのメントールの味と香りは、乾季というだけでは出てこない。今は南西からの季節風を受けているが、同時に南東からも乾いた風がここは吹いている。その風をキャッチできるかどうかがすべての分かれ目。キャッチできれば、いわゆる、ウバらしい味が出てくる。キャッチできなければ、あの味は出てこない。うちの茶園はね、あの山が邪魔しているんだよ。南東からの風は、あの山のせいで届かない。だから、うちは残念ながらクオリティシーズンはないってこと」

日本で人気のヌワラエリヤ

スリランカでもいちばんの観光地。新婚旅行先としては、トップの人気を誇る。

と紹介されているヌワラエリヤは5大生産地の中で最も標高が高く、スリランカ人が住んでいなかった土地をイギリス人が開拓して作った町です。

ゴルフ場・公園・競馬場が町の中心にあり、周囲にはイギリス建築とイギリス式庭園が広がる、リトルイングランドと呼ばれる避暑地として知られています。

中永さんが通ったのは、日本でも有名で午後の紅茶も茶葉を使うペドロ茶園(現地の人はピードゥロと発音する)。

スリランカは赤道の少し北に位置するため、葉がぐんぐん生長し、茶葉は毎日とれます。

茶摘みをしてその夜から製茶して、翌朝には紅茶ができ上がる。これの繰り返しだ。

ヌワラエリヤとディンブラは12月〜3月にクオリティシーズン(乾季)に入ります。クオリティシーズンの美味しさの説明がとても分かりやすいです。

日本でトマトの話を聞いたことがある。あえて厳しい環境で育てたトマトは、甘味がぐっと増すと。紅茶も同じ。乾季で雨が少ないと、茶の木のストレスがたまり、おいしさの元である化学物質が葉に凝縮される。そして品質が上がる。しかし、紅茶だって植物だ。水分を欲していることには変わりない。雨が降ればぐんぐんと新芽が育ち、生長は早くなる。確かに生産量は増えるのだが大味になってしまう。それに比べて、乾季。生産量は格段に落ちてしまうが、その分紅茶のうまみがぐっと出てくる。毎週コロンボで開かれている世界一の規模を誇るティオークションでも、この時期、ヌワラエリヤの紅茶は高値を記録し続ける。

紅茶工場の見学に行くと、工場が動いていないことがあります。その理由が分かるのが以下の製造工程の説明です。

プラッカーが昼間に摘んだ葉っぱは、3回の計量ごとにトラックで工場に運ばれる。そこからは、萎凋という過程に入る。まずは葉の水分を半分くらいまで飛ばして萎れさせるのだ。これは12〜14時間くらいかけて行われる。その後は、深夜から工場が稼働し始めて、翌朝までそのまま一気に紅茶に仕上げていく。紅茶は丸一日ででき上がるのだ。(中略)昼間マシーンは動いていない。いつ行っても、マシーンの掃除をしているだけだ。

ヌワラエリヤの郊外に紅茶工場をホテルにリノベーションしたヘリタンス・ティー・ファクトリーがあります。こちらのホテルでは茶摘みが体験でき、翌朝に自分が摘んだ茶葉が紅茶としてパッケージされたものを渡してもらえます。ホテルの敷地内のミニ紅茶ファクトリーで作った紅茶です。これも紅茶工場の稼働のことを考えると納得します。

紅茶製造に関すること

茶園で働く茶摘み婦人はタミル人が多く、額にポットゥという印をつけています。赤は既婚、黒は未婚を意味するそうです。

雨が降っても茶摘みは行われるそうです。スタッフの発言を引用します。

「雨が降るということは、土に水がたっぷり供給されるということ。そうすると、茶の木の生長が一層早まる。勢いよく芯芽がぐんぐん伸びてくるんだ。このチャンスを逃す手はない。雨が降ったら、いつも以上に茶摘みはがんばらなくちゃいけないんだよ。」

 

スリランカではプランテーションとして大規模に茶の栽培をしているところと、このように個人が庭先で茶の木を植えているような小規模農園の、大きいく二つに分けられる。(中略)トゥシャーラの家では、毎週日曜日に茶摘み婦人(プラッカー)をひとり雇い、茶摘みをしてもらう。摘んだ葉っぱは、すぐ近くのアイスレビーの工場に運んで売るのだ。

紅茶に関する習慣

スリランカはランチが13時から14時、17時頃にティータイムがあり紅茶とお菓子を食べ、夕食は21時頃。

ティータイムには孔雀椰子の花の蜜を煮詰めたジャガリ(シンハラ語ではハクル)が出されることがあります。ハクルを食べる際は紅茶はストレートティ(シンハラ語でカハタ)を淹れます。

食後に紅茶を飲む習慣はない。食後は決まってお水だ。

これは私も体験していて、食後に紅茶を飲むと栄養が流れてよくないといわれます。紅茶より良くないのがコーヒーで、食後のコーヒーは御法度という家庭もあります。ミルクティーであれば、そこまで影響がないので良いそうですが、ブラックコーヒーやブラックティーはダメだそうです。

スリランカでは、起き抜けにまず一杯のミルクティを飲む習慣がある。どの家庭でも、一日の最初の仕事は、妻が家族全員のためにミルクティを作り、これをそれぞれのベットまで運ぶことだ。

 

朝、起きる時間を聞くとき、こちらの人たちはこう聞く。「何時に起きる?」ではなく、「ベッドティは何時がいい?」

スリランカでは粉ミルクを使うが、中永さんのお気に入りはニュージーランドからの輸入品であるアンカー(Anchor)だそうです。

日本で粉ミルクというと、赤ちゃん用の粉ミルクが思い浮かびますが、赤ちゃん用は人間の母乳に近づけるためにミネラル分が添加されているので、紅茶に入れるとグレーがかった水色になり、見た目もおいしそうではなく、同じような味にはならないそうです。

特徴的なのはイギリス生まれのホーリクス(Horlicks)。これを紅茶に入れると全く違う味になるというというのも、

実は麦芽飲料だった。本来、紅茶に入れるために作られた製品ではないのだ。ホーリクスはインドでもよく飲まれているもので、もともとはイギリス生まれ。今でもイギリスでは「寝つきが良くなる」とミルクに加えたりお湯で溶かしたりして飲んでいる。(中略)不思議なことに、インドやスリランカではホーリクスは「寝つきが良くなる」ではなく、「元気の素」。

ミルクに加えて砂糖も違うそうで、

スリランカで使う砂糖は、日本のものより甘味が少ない。なので、山盛り1杯の砂糖といっても、想像するほど甘くはない。

紅茶以外のこと

スリランカのカレーは世界一辛いといわれている。(中略)なにしろインドより辛いということが自慢なのだから。

 

仏教徒はポーヤデイにはお寺に行き、丸一日修行をする。このことを、シルという。(中略)シルが終わると、右手首にピリットゥという白い糸を僧侶に巻いてもらう。

本書に登場するシンハラ語

本書にはシンハラ語たびたび登場します。ついでにシンハラ語を覚えてみましょう。

下宿先のお姉さんの呼び名:ロクアッカー(ロクは大きい、アッカーは姉の意味)
下宿先のお父さんの呼び名:ロクアイヤー(ロクは大きい、アイヤーは兄の意味)
キングココナッツ:タンビリ
あなたは誰ですか?:オヤーカウダ?
行ってきます:ギヒッラエンナン

ギヒンエンナンは本書に何度か出てきますが、中永さんがスリランカを離れる際の現地の人の言葉がとても印象的です。

「スリランカでは別れの挨拶に、さよならはけっして使わない。冷たくてよそよそしい感じがするからな。今、この場にふさわしい言葉は、ギヒッラエンナン(シンハラ語で「行ってきます」)だ。そうすれば、またミツは帰ってくる、また会える。そう思わないか?」

まとめ

紅茶は奥深く、知識が得られるとより楽しめると感じています。一方で、あまり頭でっかちにならずに、好きなように紅茶を楽しむことも大切だなと思います。どちらも大切であることが分かるのが本書の良いところだと思います。

紅茶の町・村への長期ホームステイの擬似体験をしに、ぜひ読んでみてください。

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参照

紅茶資格茶葉.net ゴールデンチップとシルバーチップの違いと特徴【初心者でも分かる!】
ウィキペディア「白茶」
Wikipedia「White tea」
Wikipedia「Coffee production in Sri Lanka」
ウィキペディア「フォンテラ」