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NHKスペシャル 太古の動物「奇跡の楽園」〜インドとスリランカ〜

2021年1月29日

2011年の放送開始から足かけ10年、世界30か国、延べ2000日以上に及ぶ撮影で、生物多様性ホットスポットを巡ったNHKの番組「ホット・スポット 最後の楽園」。

第2シリーズの6回目は、生物多様性ホットスポットの中でも重要とされる「インド西ガーツおよびスリランカ」が取り上げられています。

福山雅治さんが実際に訪れているのはスリランカです。

スリランカは「現代のロストワールド」「動物の宝石箱」「太古の動物の方舟」「最後の楽園」などと紹介され、福山雅治さんはシーギリヤ、ミンネリヤ国立公園、ウダワラウェ「ゾウ保護センター」、キャンディなどを訪れています。

氷河期にインドとスリランカはアダムピークで繋がっていたため、西ガーツ山脈とスリランカに共通する生き物が多くいます。
インドの西ガーツ山脈について知ることで、スリランカの豊かな自然・植生・生物多様性をより理解できることが番組を見ると分かります。

本記事では、番組で紹介されていることを深掘りして、スリランカの観光資源「世界遺産、アーユルヴェーダ、野生動物のサファリ、バードウォッチング、スパイス、紅茶、コーヒー」を育んだ豊富な雨、それを生み出す山脈とモンスーンについて、理解を深めていきます。

生物多様性ホットスポットとは?

1988年にイギリスのノーマン・メイヤー博士により考案された地域評価の概念です。

固有種の集中度、生息環境の劣化の進捗状態の2点で評価されており、以下の2つの条件に当てはまる地域が選定されています。

・1500種以上の固有維管束植物 (種子植物、シダ類) が生息している
・原生の生態系の7割以上が改変された

現在、世界には36ヶ所が選定されており、その中でも重要とされる8つの地域に含まれているのが「インド西ガーツおよびスリランカ」です。

西ガーツ山脈とは?

ガーツとはヒンディー語で階段を意味します。

西海岸平野から階段状に山脈が迫り上がり、デカン高原の西端に沿っている山脈を西ガーツ山脈と言います。
東海岸平野から階段状に山脈が迫り上がり、デカン高原の東端に沿っている山脈を東ガーツ山脈と言います。

西ガーツ山脈は、東ガーツ山脈に比べて大きく、
標高1,000~2,690mの山々が、インド西海岸沿いに全長1,600kmにも渡って連なっている山脈です。

アラビア海から吹くモンスーンが、西ガーツ山脈にあたり、年間5000ミリの多量の雨が降ります。
この雨は、水力発電・灌漑施設の水源となるとともに、豊かな森と生物環境を育んでいます。

2012年に世界遺産「西ガーツ山脈」として、保護区・森林区・国立公園など39カ所が登録されています。
国土の5%に満たない西ガーツ山脈に、インドの固有植物種の2/3が生育すると推測されています。
温暖であったため、氷河期の影響をそれほど受けず、太古の生き物が生息しています。

生物多様性の豊かなケララ州

アーユルヴェーダが盛んな地域と知られるケララ州。

西ガーツ山脈の中で、最も湿潤で、最も熱帯性が高く、最も生物的に多様性の高い森林はケララ州にあります。
西ガーツ山脈の顕花植物のうち95%、西ガーツ山脈の樹種の固有種の89%、西ガーツ山脈に固有な脊椎動物の339種のうち66%がケララ州に出現しています。

豊かな自然環境で育ったハーブやスパイスがアーユルヴェーダに活用されているとも言えそうです。

世界一位の紅茶生産国を支えるニルギリ

多量の雨は、茶、コーヒー、ゴム、カルダモン、キニーネなど換金作物をもたらしています。

インドは世界一の紅茶生産国ですが、インドで最も多くの紅茶を生産しているのがアッサムです。
アッサムは生物多様性ホットスポット「インドとミャンマーの国境地域」に該当する地域です。

そして、アッサムについで、2番目に紅茶を生産しているのがニルギリです。
ニルギリ生物県保護区は、インド最大の生物圏保護区でもあります。

ニルギリはサンスクリット語で「青い山」を意味するため、「紅茶のブルーマウンテン」とも言われます。
ニルギリティーは、セイロンティーに似た香りがすると言われています。

ニルギリ山岳鉄道は、ダージリン・ヒマラヤ鉄道、カールカ=シームラ鉄道とともに世界遺産「インドの山岳鉄道群」に登録されています。
ニルギリ山岳鉄道は現在も蒸気機関車が走っている大変貴重な存在です。

スリランカの紅茶7大産地とセイロンティーの特徴

世界8位のコーヒー生産も西ガーツから

インドは世界8位のコーヒー生産国です。

インドで最初にコーヒーが栽培されたのは、西ガーツ山脈のチクマガルール山地で、言い伝えではありますが、1600年頃にインド人のイスラム僧侶「ババブーダン」が聖地メッカからの帰りにコーヒーを7粒持ち帰って植えたとされています。

『コーヒーの世界史』とシンハラ人初の商社を創業しスリランカを世界三大コーヒー生産国に押し上げた大事業家

世界4位のゴム生産国

インドはタイ、インドネシア、ベトナムに継ぐ、世界4位のゴム生産国です。

スリランカは世界15位の生産国ですが、スリランカではアパレル、茶につぐ、3番目の輸出品目です。

カルダモンの原産地・世界2位の生産国

西ガーツ山脈のカルダモンヒルは、カルダモンや胡椒、コーヒーの生産地として知られています。

カルダモンは非常に高価な香辛料で、インド亜大陸が原産です。

ドイツ人コーヒー農園主がインドからグアテマラへカルダモンを持っていき栽培したことで、現在のカルダモン世界最大の生産・輸出国はカルダモンですが、2位がインドです。

カルダモンの品種には、マイソール、マラバール、セイロンと南インド、スリランカに関係する名前がつけられています。

ちなみに、コーヒーにカルダモンを入れたカルダモンコーヒーはサウジアラビアの国民的飲料です。

マラリアの特効薬「キニーネ」

マラリア原虫に毒性を示すマラリアの特効薬になる、キナの樹皮に含まれる成分がキニーネです。

セイロンティーの父「ジェームス・テイラー」はコーヒー農園で働くためにセイロンにやってきましたが、その後、キニーネの栽培に成功し、その後、茶の栽培に成功しています。

西ガーツ山脈の生き物たち

シシオザル

西ガーツ山脈にのみ生息。
尻尾がライオンのようなので、シシオザルと言います。

恐竜時代から生きるカエルたち「インドハナガエル」

西ガーツ山脈にのみ生息。
地上に出るのは年に2週間のみ。
1億3000万年前から生きているとされています。

世界最大のリス「インドオオリス」

怪鳥「オオサイチョウ

サイを連想させることから。

インドヒョウ

ヒョウの英語名はレオパードですが、以下のような種がいます。

アフリカ・レオパード
アラビア・レオパード
ペルシャ・レオパード
インド・レオパード
スリランカ・レオパード
ジャワ・レオパード
インドシナ・レオパード
アムール・レオパード(極東ロシアのアムール川に由来)

ベンガルトラ

ベンガルトラという名前ですが、西ガーツ山脈にも生息しています。
西ガーツには、インドに生息する10%のトラが生息しているそうです。

世界遺産「スリランカの中央高地」と周辺の国立公園

福山雅治さんは、世界遺産「古都シーギリヤ」、世界遺産「聖地キャンディ」、国立公園「ミンネリヤ」、国立公園「ウダワラウェ」に訪れています。

シーギリヤとミンネリヤは世界遺産「スリランカの中央高地」に含まれるナックルズ山脈の北端に近い平地にあり、ウダワラウェはスリランカの中央高地に含まれる国立公園「ホートン・プレインズ」の南端に近い平地にあります。

キャンディはナックルズ山脈の南側にあります。

西ガーツ山脈のように、高い山々が連なるスリランカの中央高地は世界遺産に登録されており、山の西側の麓には世界遺産「シンハラージャ森林保護区」があります。

スリランカの中央高地がある地域で、スリランカでのコーヒー・紅茶栽培は行われており、西ガーツ山脈とスリランカの中央高地は非常によく似ています。

Googleマップで「地形」を選んで見ていただくと、「西ガーツ山脈」と「スリランカの中央高地」が直線でつながるように並んでいるのが見えてます。

絶滅危惧種「アジアゾウ」

スリランカはアジア象の楽園。
5000頭がスリランカに生息しているとされています。

ゾウはアジアゾウ、アフリカゾウ、マルミミゾウの3種が現生種で、ナウマンゾウやマンモスなど絶滅している種があります。
アジアゾウは1万年前に絶滅したマンモス、ナウマンゾウと近縁。

群れはメスのリーダーが中心。
牙を持っているのはオス。

原始的な霊長類「ホソロリス」

インドとスリランカのジャングルに住む、900万年前の姿をとどめる原始的な猿の仲間。
体重は300gほど。

以下のような種があります。
アカホソロリスの亜種「ホートンプレインズ・ホソロリス」
ハイイロホソロリスの亜種「マラバールハイイロホソロリス」
ハイイロホソロリスの亜種「マイソールハイイロホソロリス」
ハイイロホソロリスの亜種「北部セイロンホソロリス」
ハイイロホソロリスの亜種「ハイランドホソロリス」

主食は昆虫。
70%は毒がある昆虫などを食べる。

世界最大の果実「ジャックフルーツ」

大きいものは50kgになります。
原産はインドからバングラディシュ。

英語名がジャックフルーツ。
ベンガル語でカタール、ヒンディー語でカタル、マラヤム語でチャッカ、インドネシア語・マレー語でナンカ、タイ語でカヌーン、ベトナム語でミッ。
マラヤム語のチャッカが、ポルトガル語でジャカとなり、英語で類型を示すフルーツと一緒になって、ジャックフルーツと呼ばれるようになったと考えられています。
和名は波羅蜜(パラミツ)。

インド・スリランカに生息するナマケグマ

インドとスリランカなどに生息します。
英語名はSloth bear。
Indian sloth bearとSri Lankan sloth bearがあります。
ナマケマノと勘違いされて名付けられました。

子供を背負って育てる唯一のクマ。
生後半月は子供を背負います。
母親は一度に二頭のクマを産みます。

シロアリを主に食べ、その他に昆虫、鳥類の卵、動物の死骸、花、果実、蜂蜜なども食べる。

まとめ

モンスーンは西ガーツ山脈とスリランカの中央高地にぶつかり、西ガーツとスリランカに雨と豊かな森を生み出したことが分かりました。

一方で、西ガーツ山脈から東側は乾燥地帯となり、豊かな森を求めて動物たちは西ガーツ山脈とスリランカを目指したのです。
氷河期はスリランカとインドはアダムスピークで陸と繋がっており、現在の西ガーツ山脈はインドの南端が南の終着点ですが、かつてはスリランカが南の終着点だったのです。

スリランカの国土の13%は国立公園になっていて、動物たちのサファリが楽しめます。
サファリ・野生動物については、以下の記事をご覧ください。

スリランカの動物が見られる場所を紹介!〜象、ヒョウ、クマ、野鳥、クジラ、ウミガメ、熱帯魚など〜

NHK「世界はほしいモノにあふれている」光り輝く島 スリランカへ

参照)

生物多様性ホットスポット
ウィキペディア「ホットスポット」
世界の地質案内「インド、ムンバイ周辺の西ガーツ山脈」
ウィキペディア「西ガーツ山脈」
ようこそ南アジアへ
ケララ州における天然林保全の技術的現状
ルピシア「旬のニルギリ到着」
ウィキペディア「ニルギリ丘陵」
ウィキペディア「ニルギリ」
ウィキペディア「ニルギリ山岳鉄道」
世界のコーヒー豆 生産量 国別ランキング・推移
世界の天然ゴム 生産量 国別ランキング・推移
カルダモンの主な生産国と消費国はどこか?
ウィキペディア「カルダモン」
セイロン・カルダモン
ウィキペディア「キニーネ」
ウィキペディア「ゾウ」
ウィキペディア「アジアゾウ」
ウィキペディア「ゾウ目」
ホソロリス
ウィキペディア「パラミツ」
ウィキペディア「ナマケグマ」
Wikipedia「Sloth bear」
Wikipedia「Leopard」
ウィキペディア「トラ」
NATIONAL GEOGRAPHIC「ベンガルトラ」
Wikipedia「Bengal tiger」
ウィキペディア「シシオザル」
ウィキペディア「インドオオリス」
東武動物公園「オオサイチョウ
ウィキペディア「インドハナガエル」