キャンディの立地抜群のクラシックホテル「クイーズホテル」

クイーズホテルは、世界遺産の仏歯寺の入口の向かいにある、150年以上の歴史を持つ3つ星ホテルです。
キャンディ王の邸宅として建てられた時から起算すると、その歴史は200年を超えます。
コロニアル建築の真っ白い外観が町のシンボルになっているキャンディ、そしてスリランカを代表するホテルの一つです。
仏歯寺の入口の向かいにあり、これ以上便利な立地はありません。
そんな歴史のある好立地なホテルであるにも関わらず、リーズナブルに泊まれてしまうのがクイーズホテルの魅力です。
本記事では、クイーンズホテルの歴史、館内の様子をご紹介します。
目次
町のど真ん中に位置する便利な立地

仏歯寺に祈る人々(後ろの白い建物がクイーンズホテル)
キャンディの最大の観光資源は仏様の歯が祀られている世界遺産に登録されている仏歯寺です。
その入口の向かいに位置するのがクイーズホテルです。
キャンディの町は仏歯寺入口前が町の中心となっていますので、まさに町のど真ん中にある立地抜群のホテルです。
ホテル正面の向かい(仏歯寺の入口前)は、国道1号線と国道9号線の起点となっており、ジャフナ・ダンブッラ方面から来るバスのキャンディのメイン停留場となっています。
国道1号線はコロンボとキャンディを結ぶ幹線道路で、コロンボ・ケラニヤ・カダワサ・ケーガッラ・カダガナワ・ピリマサラワ・ペラデニヤ・キャンディなどをつないでいます。
国道9号線はキャンディとジャフナを結ぶ幹線道路で、キャンディ・マータレー・ダンブッラ・ミヒンタレー・ワウニヤ・キリノッチ・ジャフナなどをつないでいます。
ホテルの南側の向かいには、キャンディ湖があり、周囲は散策をして歩くのにもってこい。
水辺のため、風が気持ちいいです。生き物たちの姿も見られます。湖上でボートを楽しむこともできます。
伝統舞踏「キャンディアンダンス」が見られる、スリランカカルチャーショーへは550m(徒歩7分)です。
ホテルの南斜め向かいは、ショッピングモール「キャンディ・シティー・センター」があり、スーパーや銀行も入っていますので、何かと便利です。
キャンディ市内に4店舗を展開する南インド料理ドーサイが人気のローカルレストラン「Balaji Dosai」の本店は北隣にあります。
キャンディの町は中心地が碁盤目になっており、キャンディ王朝時代の歴史建造物が立ち並び、雰囲気のある店内から町の様子が眺められるバー・レストラン・ベイカリーがお勧めですが、クイーンズホテルからすぐに歩いて行けます。
キャンディ市の保存対象となっている歴史的建造物は200軒ほどもあると言われ、世界遺産のマークを使ったキャンディ市のプレートが埋め込まれています。

キャンディ・シティー・センターの入口のプレート
ちなみに、クイーズホテル、キャンディ・シティー・センターのメイン道路側の建物、Balaji Dosaiの建物も保存建築です。
仏歯寺は毎日お祈り(プージャ)の時間が決められていますが、かなり混雑しますので、混雑を避けたい場合は、夜明け前の早朝に行くことになりますが、入口の目の前にあるため、クイーンズホテルに泊まれば大変便利です。
歴史と文化を感じながら町を歩くのがキャンディを楽しむ一つの方法ですので、町歩き・歴史好きな方にはベストなホテルと言えるでしょう。
エサラ・ペラへラを鑑賞するベストスポット
毎年8月に開催されるスリランカの大パレード「エサラ・ペラヘラ」は場所取りが困難で、鑑賞に適した座席は高額となります。
その中でも、行列がお寺から出るところから見える、見物ベストスポットとされているのがクイーンズホテルです。
客室のベランダからパレードを楽しむことができます。
クイーズホテルの歴史
キャンディ王朝最後の王「ウィクラマ・ラジャシンハ」が邸宅として建設したのが始まりです。
1815年にイギリスがキャンディ王国を倒し、イギリス領セイロン総督の邸宅となります。
邸宅の隣には、イギリス軍の住居が建てられ、その後、住居はセイロン・ライフル連隊の兵舎となりました。
1840年にはマラバル・ハウスという名のホステルとなります。
現在のD.S.セナナヤケ・ヴィーディヤはマラバル・ストリートと当時呼ばれていました。
D.S.セナナヤケは、セイロンの初代首相で「スリランカ建国の父」とも言われる、ドン・スティーブン・セナナヤケから取られた名前で、ヴィーディヤとはシンハラ語で「通り」という意味です。
その後、オーナーがジェームス・ステイトンに代わり、ステイトン・ホテルという名で下宿屋として1869年まで営業しています。
1869年、経営がクイーンズホテルカンパニーとなり、現在の「クイーンズ・ホテル」に改称されます。
1895年、キャンディホテルズカンパニーが買収し、大きく増改築を行い、一流ホテルとなります。
レストラン、ボールルーム、パブなどがオープンし、キャンディで唯一のブリティッシュパブとなります。
ルイス・マウントバッテン伯爵はクイーンズホテルを常宿としたため、「ザ・ロード・マウントバッテン・ラウンジ・バー」と名付けられたラウンジバーがあります。
ルイス・マウントバッテン伯爵は、1943年8月に創設された連合軍の東南アジア戦域を担う「東南アジア地域連合軍(SEAC)」の総司令官に就任し、日本軍とのビルマの戦いで指揮を執った人物で、エディンバラ公爵フィリップ王配(女王エリザベス2世の夫、チャールズ王太子の父)の叔父に当たります。
1944年4月から東南アジア地域連合軍の本部はキャンディに置かれていました。
インド、ビルマ、セイロン、マラヤ、スマトラ、シャムを担当地域とし、1945年8月15日以降はオランダ領東インド、フランス領インドシナも担当していたそうです。
歴史を感じる館内

ロビー。右に見えるのは手動ドアのエレベーター
ホテル内に入ると、歴史を感じる大きな階段の隣に、手動式ドアのエレベーターがあります。
階段も重厚感があり、登り降りをするのも楽しいですが、エレベーターはとても趣があります。
クイーンズホテルは3階建てで、それほど登り降りするわけではありませんが、是非館内を散歩して見てください。
クイーンズホテル、仏歯寺、キャンディの町並みの古写真が飾られていて、見ているだけで、とても楽しいです。
静かなプール
プールは今どきのオシャレなインフィニティープールではありませんが、ホテルの建物に囲まれた中にあり、幹線道路に面したホテルであることを忘れてしまうほどに、プールはとても静かです。
キャンディは山の上に高級ホテルが多くありますが、山の上ですと、プールは少し肌寒いですが、キャンディの町中ですと、それなりに暑いですので、プールはとても気持ちいいです。
町歩きをして汗をかいたら、汗を洗い流してからプールに入り、火照った体を冷やしたら、また別の場所に出掛けるのもいいでしょう。
このホテルは町のど真ん中にありますので、どこに行ってもすぐに戻って来れますし、せっかく外に出てからもったいないと、ぐるぐる外を回り続ける必要もなく、ホテルを拠点に動けるのが利点です。
何か買い物をしたら、部屋に戻って荷物を置いて、また手ぶらで出掛けるなんてこともできます。
客室はシンプル
古さは感じますが、快適に過ごせます。
贅沢なホテルではありませんので、客室は特に特筆することはありません。
スイートルームなどを見学すれば良かったのですが、リーズナブなホテルに泊まり、取材先を回って1日が終わってしまいましたので、部屋については、また別の機会にご紹介したいと思います。
シックなレストラン、バー
レストランはロビーの奥にあります。
朝食・夕食はビッフェ形式です。
食堂っぽいとも言えますが、内装もいい味を出していまして、歴史を感じられるのがとてもいいです。
レストランとバーについても、写真を含めて、次回にしっかりレポートしたいと思います。
まとめ
キャンディはマウンテンサイド、(ハンターナ山)、レイクサイド(キャンディ湖)、リバーサイド(マハウェリ川)と、自然豊かな場所にあるホテルが多くある一方で、今回ご紹介したキャンディ市内には歴史的建造物が立ち並び、人々の生活を感じられる環境があるのも魅力です。
時間にゆとりがありましたら、市内で一泊、山上で一泊されるのが贅沢だと思います。
以下の記事では、各立地のホテルをピックアップしておりますので、参考にされてください。
関連記事
参照)
Wikipedia「Queen’s Hotel, Kandy」
ウィキペディア「ルイス・マウントバッテン」

「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
歴史・地理・建築・語源が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にてベトナム・ミャンマー・タイ・インドネシア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の設立を開始。
2017年2月、スリランカ専門誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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