仏教版クリスマス「ウェサック」とは?

ブッタの生誕・成道・涅槃を祝う仏教版クリスマスことウェサック。
スリランカでは毎月の満月の日はポーヤデー(Poya Day)という祝日ですが、その中でも最も盛大に祝われるのが5月のポーヤデーであるウェサックポーヤです。
2025年のウェサックは5月12日(月)で、翌日の5月13日(火)の2日間に渡って祝われ、今年は土日を含めた4連休になっています。
目次
ウェサックポーヤとは?
5月のポーヤデーはウェサク(වෙසක්、Vesak)といい、釈迦様(ブッダ)の「誕生日」、「成道(悟った日)」、「涅槃(亡くなった日)」を盛大に祝います。
シンハラ文字の発音に従うと、ウェサックではなく、「ウェサク」が近いようです。
大乗仏教が多い日本では
4月8日の「灌仏会」でお釈迦様の誕生日を
12月8日の「成道会」でお釈迦様が悟って仏様になった日を
2月15日の「涅槃会」でお亡くなりになった日を祝いますが、
上座部仏教(テーラワーダ仏教)が多い国では5月の満月の日に3つを合わせて盛大に祝います。
スリランカで最初に公休日に制定された仏教関連の日
毎月のポーヤデー(満月祭)の中でも、1年で最も大事と言われ、盛大に祝われるのが5月のポーヤデー「ウェサック」です。
仏教再興に尽力したオルコットが当時のイギリス領セイロン総督に提言し、スリランカで最初に公休日に制定されたのがウェサックポーヤです。
ちなみに、その次に公休日に制定されたのが翌月のポソンポーヤとウェサックポーヤの翌日であり、いかにウェサックが重要な日であることが分かります。
フォート駅前にはオルコット像が置かれ、駅前の大通りの名前はオルコット通りと名がつけられている仏教再興の尽力したオルコットについては、以下の記事をご覧ください。
コロンボのベイラ湖周辺で盛大に祝われる
ウェサック祭りはスリランカ各地で行われますが、その中でも特に大規模なのが最大都市コロンボです。ベイラ湖周辺が最も鮮やかに飾られ、人で溢れかえります。
賑わうといっても、ポーヤデーなので禁酒日であり、バーやホテルではアルコールは提供されず、酒屋も閉まります。
2019年のウェサック祭りは4月21日の連続爆破テロの影響で小規模に行われ、2020年、2021年のウェサック祭りは新型コロナウイルスのため外出禁止令が発令されたため、本記事で掲載している写真は2017年と2018年のウェサック祭りの様子です。
2023年の様子は以下のページをご覧ください。
シーママラカヤでの点灯式と花火
コロンボでのウェサックは、18:30頃から始まる点灯式と花火で始まります。
(点灯式は2025年の様子です。)
ガンガラーマ寺院を出発

仏旗を持った旗手、扇子を持った人たち、ダンサーとドラマーの楽隊、お坊さん、傘を差された黄金の仏舎利容器のようなものを持った人などがガンガラーマ寺院から、ベイラ湖に浮かぶシーママラカヤ寺院に向かいます。
18:40頃に国道4号線のガンガラーマ寺院の道との交差点にいると、旗手たち、楽隊たちの姿が見られました。
シーママラカ寺院と周辺が点灯
シーママラカヤ寺院を飾る電飾や、ベイラ湖の周囲の木々、シーママラカヤ寺院の前の通り、道路に設置されているクードゥ(ランタン)が点灯されます。
ベイラ湖で花火

18:50頃にベイラ湖で花火が打ち上げられました。
シーママラカヤ寺院の入口付近にいましたが、木で隠れて一部の花火は見られませんでした。
湖の南側の道ペラヘラマーワタから、あるいはコートヤードバイマリオットの9階のルーフテラス席からだとよく見えたと思います。
ウェサックの4大名物
ウェサック祭りを象徴するものといえば、「クードゥ」、「トラナ」、「ダンサラ」、「仏旗」の4つです。
クードゥ(ランタン、提灯)

まず、ウェサック祭りが近づくと、クードゥ(කූඩු、lantern)と呼ばれるランタンが家の軒先や店先に飾られます。
大きな会社や組織は本社前や大通り沿い、ベイラ湖周辺にくるくると回る巨大なランタンを作って設置したりします。

小さいランタンは6月のポーヤデーであるポソンポーヤまで飾られていることが多く、巨大なランタンはウェサックポーヤが終わると徐々に片付けられます。
トラナ(電飾の巨大壁画)

トラナ(තොරණ、Pandal)はブッタの生誕の物語を描いた巨大な壁画で、電飾で煌びやかに飾られます。
トラナは大変立派なものですが、個人や組織が費用を出して用意します。
ダンサラ(飲食物の無料配布)

街中ではダンサラ(දන්සල、dansala)と言って、飲み物、食べ物、アイスクリームなどが無料で配布されます。
飲み物やアイスクリームはそこまで並びませんが、食べ物については長蛇の列ができます。
ウェサック祭り後も、会社やお店がダンサラを行うことがあり、道に人だかりができているのを見かけます。
無料で飲食物を配布して、施しをすることで、徳を積むことができると考えられています。
仏旗

仏旗が各地に飾られます。

コロンボ市役所も仏旗のクードゥで飾られています。
各地のライトアップ、飾り付け
ベイラ湖(シーママラカヤ、ガンガラーマ)周辺

ガンガラーマ寺院、シーマ・マラカヤ寺院があるベイラ湖周辺が最も人が集まり、大きなトラナやランタンが見られます。









タウンホール

タウンホール周辺でも豪華な飾り付けが見られます。

また、仏旗の色に電飾した会社やホテルの電飾も町で多く見られます。
コロンボフォート








ゴールフェイス

コロンボ7

アーケード・インディペンデンス・スクエアの周辺でも豪華な飾り付けが見られます。
その辺りはものすごい人で移動も大変です。
バンバラピティヤ

一方で、お祭りの中心地から少し離れたお寺では、綺麗に電飾で飾られた仏像や仏塔に静かに祈る人々の姿を見られます。

カルタラ



満月の日であることが分かります。


SPICE UP LANKA CORPORATION (PVT) LTD Managing Director
スリランカ日本人会理事 兼 広報部長
WAOJEコロンボ支部理事(初代支部長、2期~4期事務局長、5期企画部長)
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年4月、法政大学社会学部社会学科を卒業後、人材系ネットベンチャーに新卒入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して人材系ネットベンチャーを退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当しながら、新宿ゴールデン街で訪日外国人向けバーテンダー。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2022年12月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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