スリランカ、77日間のコロナとの戦い
3月20日の18時から厳しいロックダウン(外出禁止令)が続いていたスリランカは、全土で5月26日から夜間外出禁止令(夜10時から翌朝4時までの外出禁止)に移行されます。
スリランカでは海軍、帰国者による感染者数の増加は見られますが、市中感染はこの3週間ほど増加は見られません。
回復して、退院する人数が増えています。
また、死亡者数は9人であり、総人口2,167万人(2018年調べ)に比べて、抑えられているといえるでしょう。
入国制限から始まったスリランカでの77日間、
66日間続いたコロンボでのロックダウンについて、その経緯をまとめました。
フェーズ0:ロックダウン前
1月27日(金):初めての国内感染者
中国の湖北省武漢市から旅行に来た44歳女性が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたのが、スリランカにおける一人目の感染者です。
その女性が滞在したアフンガッラにあるホテルの従業員に感染の疑いがあると報じられましたが、検査結果は陰性でした。
中国人女性は後日、完治し帰国しています。
この日にコロナウィルスに対応する指定病院と24時間ホットラインが開設され、翌日に中国からのアライバルビザの発給が停止されました。
3月11日(水):初めてのスリランカ人感染者
国内で初めてスリランカ人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。
観光でスリランカにきたイタリア人を案内していた旅行ガイドさんが感染しています。
前日の10日から、イタリア・韓国・イランから入国する全ての渡航者に、スリランカ国内指定の施設において14日間の隔離措置を始めていました。
翌日の12日から外国人のアライバルビザの発給が停止されました。
13日から学校が休校。
15日に映画館、国立公園などの閉鎖が発表。
3月18日(水):入国停止、最初の外出禁止令が発出
バンダラナイケ国際空港の入国が停止されました。
プッタラム、チラウ、ニゴンボに外出禁止令が発出されました。
18日までの累計感染者数は52人でした。
フェーズ1:ロックダウン開始
3月20日(金):全土に外出禁止令が発出
20日18時から週明けの23日(月)の朝6時までの外出禁止令がスリランカ全土に発出されました。
後日、コロンボ県、ガンパハ県、プッタラム県、マンナール県、バブニヤ県、ムッライッティーヴー県、
2019年4月の連続爆破テロ時に全土に非常事態宣言と外出禁止令が出され、2018年3月のキャンディ県での暴動でも全土に非常事態宣言が、キャンディ県に外出禁止令が出されたこともあり、スリランカの人たちは外出禁止令に慣れているのか、町は急に静かになりました。
20日までの累計感染者数は72人でした。
3月24日(火):一度だけの一時解除
外出禁止期間と一時解除の日程が各県ごとに発表されていましたが、スーパーやマーケットなどでの混雑状況を鑑みて、コロンボ県、ガンパハ県、カルタラ県がハイリスクゾーンに指定され、一時解除の予定が取り消されました。
その後、ハイリスクゾーンでの一時解除は行われなくなりました。
3月25日(水):生活必需品のデリバリー開始
大統領事務局が食品、医薬品、ガスなどの生活必需品の各家庭への配送を行うようスーパーなどのホールセラーに指示しました。
生活必需品の買い物も許されない厳しいロックダウンが始まったことになります。
4月2日(木):外出禁止令違反による逮捕者が1万人超え
2日までの外出禁止令違反による逮捕者が累計10,039人と、1万人を超えました。
2日までの新型コロナウイルスの累計感染者数は151人でした。
4月10日(金)〜4月13日(月):イースター、シンハラタミル正月
10日のイースター、12日〜13日のシンハラタミル正月は家でお祝いするように要請されました。
フェーズ2:第一次ノックダウン緩和
4月20日(月):ノンハイリスクゾーンの夜間外出禁止への移行
ハイリスクゾーンに指定されたコロンボ県、ガンパハ県、カルタラ県、プッタラム県以外の県は平日は夜間外出禁止(夜8時〜朝6時の外出禁止、土日は終日外出禁止)に移行しました。
しかし、20日の新型コロナウイルスの新規感染者数は33人と1日で最大の増加数となってしまいました。
4月22日(水):ハイリスクゾーンの夜間外出禁止への移行が延期
20日に発表されていたハイリスクゾーンのコロンボ県、ガンパハ県、カルタラ県、プッタラム県の夜間外出禁止への移行が延期されました。
翌日の23日には新規感染者数が38人、翌々日には52人と1日の最大増加数を更新する状況が続きました。
これは患者番号206による影響とされています。
ドラック中毒者がガンパハ県のJa-Elaで泥棒に入ったところをその地域を警備していて海軍が拘束。
後日、その人物がコロナに感染していたことが判明します。
その人物がスリランカにおける206番目のコロナ感染者になっています。
感染が急激に増えてしまったのは、患者番号206との接触をした海軍メンバーの拠点であるガンパハ県のWelisara海軍キャンプ内で感染が広がってしまったためでした。
5月6日(水)〜5月11日(月):ウェサック祭りによる全土外出禁止
5月7日〜5月8日のウェサック祭りに伴い、前日の6日夜8時から週明けの11日の朝6時がスリランカ全土で外出禁止となりました。
フェーズ3:第二次ロックダウン緩和
5月11日(月):市民生活、公的機関、民間部門の活動再開
コロンボ県、ガンパハ県以外の県では平日は夜間外出禁止(夜8時から朝6時まで)に移行されました。
またコロンボ県、ガンパハ県においても、市民生活、公的機関、民間部門の活動再開が許可されました。
ID番号の下一桁による外出の曜日ごとの振り分けが行われ、月曜が0と1、火曜が2と3、水曜が4と5、木曜が6と7、金曜が8と9と割り振られました。
5月23日(土)〜5月26日(火)ラマダン明け大祭による全土外出禁止
ラマダン月が終了し、ラマダン明け大祭(イド・アル=フィトル)の日となるため、23日の夜8時から26日の朝5時までスリランカ全土に外出禁止令が発出されました。
フェーズ4:第三次ロックダウン緩和
5月26日(火):スリランカ全土が夜間外出禁止に移行
コロンボ県、ガンパハ県を含むスリランカ全土が夜間外出禁止に移行します。
外出禁止時間も短縮され、これまでは夜8時から朝6時まででしたが、夜10時から朝4時までの外出禁止となります。
24日の新規の感染者数は52人と増えていますが、50人は海外からの帰国者(49人がクウェートから、1人がインドネシアから)、2人が海軍での感染確認です。
感染者数最大のコロンボでもこの19日間は感染者の増加は確認されていません。
感染数の推移はこちらからご覧ください。
第二次ロックダウン緩和はウェサック祭り明けに行われ、
第三次ロックダウン緩和はイド・アル=フィトル明けに行われています。
次のスリランカでの主要な祝日は6月5日(金)のポソン・ポーヤです。
このまま順調に感染者数が抑えられ、ポソン・ポーヤの週末明けの6月8日(月)から、さらに緩和が進んでくれればと思います。
Youtubeでも解説しておりますので、よろしければご覧ください。
「旅と町歩き」を仕事にするためスリランカへ。
地図・語源・歴史・建築・旅が好き。
1982年7月、東京都世田谷区生まれ。
2005年3月、法政大学社会学部社会学科を卒業。
2005年4月、就活支援会社に入社。
2015年6月、新卒採用支援事業部長、国際事業開発部長などを経験して就職支援会社を退社。
2015年7月、公益財団法人にて東南アジア研修を担当。
2016年7月、初めてスリランカに渡航し、会社の登記を開始。
2016年12月、スリランカでの研修受け入れを開始。
2017年2月、スリランカ情報誌「スパイスアップ・スリランカ」創刊。
2018年1月、スリランカ情報サイト「スパイスアップ」開設。
2019年11月、日本人宿「スパイスアップ・ゲストハウス」開始。
2020年8月、不定期配信の「スパイスアップ・ニュースレター」創刊。
2023年11月、サービスアパートメント「スパイスアップ・レジデンス」開始。
2024年7月、スリランカ商品のネットショップ「スパイスアップ・ランカ」開設。
渡航国:台湾、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、モルディブ、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、タンザニア、ウガンダ、フランス、イギリス、アメリカ
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