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スリランカの紙幣になった日本のODAと、代表的なスリランカにおける日本のODA

2021年6月26日

スリランカでの日本のODA(政府開発援助)は、スリランカ初の高速道路を作ったり、国際空港やコロンボ港などの拡張、スリランカ初の電車となるコロンボ・ライト・レール計画など、多岐に渡って行われており、スリランカの紙幣にもなっているプロジェクトもあります。

本記事では「スリランカにおける日本のODA」についてご紹介します。

日本のODAの始まりはコロンボ・プラン

コロンボ・プランの事務所

日本のODAは、1954年10月6日にコロンボ・プランに参加したことから始まりました。
このコロンボ・プランとは、1950年に提唱された、アジアや太平洋地域の国々の経済や社会の発展を支援する協力機構のことで、第二次世界大戦後もっとも早く組織された、開発途上国のための国際機関です。

日本はそれまで、第二次世界大戦の敗戦からの復興に、ODAによる支援を受けていました。

1954年10月6日にコロンボ・プランに加盟したことで、日本はODAの援助を受ける国から、ODAで援助を行う国に変わりました。
日本政府は10月6日を「国際協力の日」と定めています。

コロンボプランの事務局は現在もコロンボにあります。

参照)
JICA「国際協力の目的について」
外務省「未来への投資としてのODA

長く最大援助国であった日本

1980年代から内戦が終結した2009年までは日本がスリランカへの最大の援助国でした。

DAC(開発援助委員会)諸国の中でも日本は突出した援助国で、世界銀行、国連諸機関からの援助についても、日本政府の拠出金が最大でした。

内戦終結の翌年の2010年、支援国は中国が1位(25.4%)、2位がインド(14.5%)、3位が日本(13.5%)となって以来、日本は3番目の援助国になっています。

2020年からは、

有償資金協力は、道路・港湾・空港・水利施設・電力供給などのインフラ開発が主力です。
無償資金協力は、医療と教育が主力です。

以下、日本がスリランカで行なった代表的なODA事例を紹介します。

スリランカの紙幣になった日本のODA

2011年2月4日より発行されているスリランカの現行紙幣には、日本のODAによって作られた運輸交通インフラが印刷されています。

1,000ルピー紙幣(ランボダ・トンネル)

1,000スリランカルピー紙幣の中央に印刷されている「ランボダ・トンネル」は、円借款「道路網改善計画」にて建設されたものです。

ランボダ・トンネルは、スリランカ国内で唯一の国道トンネルです。
スリランカで最も長いトンネルで、その全長は225mにもおよびます。
トンネルの工事は2006年に始まり、2008年に完了しました。

紙幣の左側には建設以前の様子が描かれており、ビフォー・アフターが表現されています。

ランボダトンネルはキャンディからヌワラエリヤに向かう途中に通るトンネルです。
近くにはランボダ滝があります。
ランボダ周囲には茶園・茶工場が点在していて、観光客の見学を受け入れているところが多くあります。

参照)
ODA見える化サイト「道路網改善事業」
The official government news portal of Sri LankaRamboda Tunnel the longest in Sri Lanka, a symbol of Japan –Sri Lanka Friendship」

50ルピー紙幣(マナンピティア橋)

50スリランカルピー紙幣の中央に印刷されている「マナンピティア橋」は、無償資金協力「マナンピティア新幹線道路橋梁建設計画」にて建設されました。

マナンピティア橋は建設当時はスリランカで最長の橋で、2009年以降の現在はスリランカ国内で2番目に長い橋です。
ポロンナルワの東を流れるマハウェリ川に架かられていて、ポロンナルワとバッティカロアを結ぶ重要な橋です。

現在は鉄道と車両の橋が並行して架けられていますが、以前は列車通過時に道路車両通行規制を余儀なくされていたほか、車両の滞在時間も長くなっていました。
同時に車両走行性や安全性の低下も指摘されていたため、道路専用のマナンピティヤ橋の建設を支援し、交通のボトルネックの解消に貢献したプロジェクトです。

参照)
ODA見える化サイト「マナンピティヤ新幹線道路橋梁建設計画」

10ルピー紙幣(コロンボ港)

10スリランカルピー紙幣の中央に印刷されている「コロンボ港」は、円借款「コロンボ港緊急改良計画」等により整備・拡張されました。

コロンボ港はスリランカ西海岸に位置する国内最大の港であり、立地条件や自然条件に非常に恵まれています。
しかし年々取扱貨物量が増加し、貨物取扱能力の不足が可視化されるようになっていました。
そのため、コロンボ港の既存埠頭(北埠頭およびクイーンエリザベス埠頭)の開発および北航路の浚渫(海底をさらって土砂などを取り除くこと、大型船舶の入港を促すため)等を行っています。

参照)
ODA見える化サイト「コロンボ港改善事業(2)」
外務省「外国の紙幣になったODA」

コロンボ港についてはこちらの記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

スリランカの主要な港〜コロンボ港、ハンバントタ港、トリンコマリー港、ゴール港など〜

スリランカにおける主な日本のODAプロジェクト

スリランカの紙幣になっているのは3つとも「運輸交通」分野でした。
3つのプロジェクト以外にも、日本はODAで運輸交通の分野への支援を多くしています。

また、それ以外の分野でも多岐にわたり、支援を行っています。
日本がこれまで支援を行ったプロジェクトの一部をご紹介します。

「運輸交通」分野のプロジェクト例

南部ハイウェイ建設事業(スリランカ初の高速道路)
ベースライン道路事業
国道主要橋梁建設事業
ガンポラ橋・ムワガマ橋架け替え計画
新マナー橋建設及び連絡道路整備計画
マンムナイ橋梁建設計画
東部州五橋架け替え計画

かつての国道1号線を結ぶ「新日本スリランカ友好橋」

「発電所」、「水力発電」、「水源開発」などのプロジェクト例

ケラニティッサ・コンバインドサイクル発電所建設事業
ククレ水力発電事業
サマナラウェア水力発電事業
コロンボ北部上水道事業
カル河水源開発・給水拡張事業
キャンディ上水道整備事業
水セクター開発事業(1)

「医療」分野のプロジェクト例

1964年、日本がスリランカへの医療援助を開始。

ペラデニヤのティーチング・ホスピタルの建設(1980年完成)
スリジャヤワルダナプラ総合病院の建設(1983年完成)

「観光開発」分野のプロジェクト例

シーギリヤにおける地域主導型観光振興プロジェクト

その他のプロジェクトについては、以下の年表を参照ください。
この年表は外務省の公式ホームページより独自に作成した、2001年以降のスリランカに対しる日本のODAプロジェクトをまとめた一覧です。(右上タップで全画面表示にできます。)

スリランカにおける新しい日本のODAプロジェクト

実施中の案件、あるいは覚書が締結された日本のODAの中でも、代表的なプロジェクトを4つご紹介します。

ただし、ゴタバヤ・ラージャパクシャ政権になり、
コロンボ港東コンテナターミナル(ECT)開発事業はスリランカ港湾局が行うことになり、
コロンボ・ライト・レール事業はキャンセルとなってしまいました。

バンダラナイケ国際空港 新ターミナル増設工事

大成建設株式会社が請け負うこの事業は、そのキャパシティに限界を迎えつつある国際空港の年間旅客取扱量を1500万人規模にするべく計画されたものです。

スリランカにおける主要な海外の玄関口であるバンダラナイケ国際空港では2009年以降、国内紛争終結や復興需要に伴う急速な経済成長に、そのキャパシティが付いて行けず問題視されていました。

2007年より増築・改修工事を行ってきたものの、さらなる観光客の増加などの要因もあり、ターミナルの拡張が早急に求められていました。

2020年3月12日に正式契約が締結され、36ヶ月の工期を見込んで完成される予定です。

参照)
大成建設「スリランカ共和国・バンダラナイケ国際空港改善事業フェーズ2(パッケージA)を受注」
ODA見える化サイト「バンダラナイケ国際空港改善事業フェーズ2(2)」

コロンボ港東コンテナターミナル(ECT)開発事業

2019年5月、マイトリパーラ・シリセーナ政権時にECTの開発・運営会社にスリランカが51%、インド・日本が49%を出資することで覚書を交わされました。

ところが、2021年2月1日、ゴタバヤ・ラージャパクシャ政権は、スリランカ港湾局による全額出資でECTを運営することを決定し、日本の関与は一方的に破棄されました。

当初、日本・インド・スリランカの3カ国は2019年5月28日、コロンボ港の東コンテナターミナル(ECT)開発事業を、合同で実施する旨の協力覚書(MOC)を締結しました。

3カ国はECTの開発・運営を担うターミナル運営会社(出資比率はスリランカ51%,日本とインド共同で49%)を設立するというものです。

コロンボ港で取り扱われる貨物のうち、約7割が積み替え貨物で、そのうちの7割がインド関連の貨物とされています。
また、スリランカは主要な海上交通路に近接しており、世界のコンテナ船の3分の1がスリランカ沖合を通過しています。

現在、コロンボ港に3つのターミナルがあります。
・スリランカ港湾局が所有するジャヤコンテナターミナル
・スリランカのコングロマリット「ジョンキールズ」、デンマークの海運会社マースク傘下の「APMターミナルズ(本社オランダ)」などが所有する南アジアゲートウェイターミナル
・中国貿易港ホールディングスとスリランカ港湾局が所有するコロンボ国際コンテナターミナル

覚書が締結された際は、中国を牽制して、インド、日本が東ターミナルの開発に乗り出したと報じられました。

ところがスリランカの新政権になり、旧政権が結んだ覚書に関する見直しの議論が起きます。
港湾労働者によるストライキが影響しているとされていますが、これは中国が裏で糸を引いているのではないか?とインド国内ではニュースになっていましたが、結果的にスリランカ港湾局が開発を行うことになりました。

スリランカ政府はその代わりとして、西ターミナルの開発をインドのAdaniグループが行うことになりましたが、日本の関与は明確になっていません。

詳しくは以下のページをご覧ください。

コロンボ港の西コンテナターミナルをインドのアダニとスリランカのジョンキールズが85%を取得か?

参照)
外務省「円借款 案件概要」
JETRO「日本とインド、スリランカ合同のコロンボ港開発の覚書締結」
コロンボ国際コンテナターミナル(CICT)公式ページ
南アジアゲートウェイターミナルズ(SAGT)公式ページ
ジャヤコンテナターミナル

コロンボ・ライト・レール事業

バスやトゥクトゥクが主な交通手段として活躍しているコロンボですが、朝晩の渋滞は酷く、快適とは言えません。

コロンボ・ライト・レール計画は大都市コロンボ圏の交通渋滞を解消するべく、地上から離れた架線に線路を敷いて電車(モノレール)を運行させる計画です。
ライトの名前の通り、小さめの車両で建設費も安く済むのが特長です。
この計画では学生の通学手段としても利用することが見込まれ、駅近にはショッピングモールなどの施設も隣接する予定です。
建設において日本が技術協力をすることが公表されており、改札などにも日本の非接触カード技術が用いられる予定です。

2026年までには16の駅と全長15.7kmの路線が完成する予定です。

すでに工事には着手していました。

ところが、ゴタバヤ・ラージャパクシャ政権はプロジェクトのキャンセルを決定しました。

ケラニ河新橋建設事業

有償資金協力によって行われている交通渋滞の緩和計画です。
コロンボ市を流れるケラニ河には、3本の橋に交通が集中しており、社会人や学生の多い朝晩に渋滞を引き起こしていました。

そこでこのケラニ河に新たな橋と高架アクセス道路を建設する資金を支援する計画を打ち立て、交通の円滑化と経済成長を促すことを目的としています。

日本の支援で作られたコロンボのゲートウェイ「ゴールデンゲートケラニ」

参照)
ケラニ河新橋建設事業

さいごに

スリランカにおけるODAプロジェクトの概要をご紹介しました。
2019年4月21日の連続爆破テロ事件が起きるまでは、日本が送り出している青年海外協力隊の人数が多い国の一つがスリランカでした。

最近では、日本政府はスリランカ政府の要請を受けて、2020年3月から空港や病院などにおける感染拡大防止対策に向けた支援を行っています。

スリランカと日本は戦後から相互に助け合う友好関係を築いてきました。
今後も両国の関係が維持、発展していくことを願います。

参照)

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