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スリランカの首都「スリジャヤワルダナプラコッテ」の名前の由来と意味

2021年8月31日

スリランカの首都「スリジャヤワルダナプラコッテ」は長い名前として知られています。

長いために、覚えにくい、分かりにくいとも言われますが、名前の意味が分かれば簡単に覚えられます。

本記事では、その名前の意味や由来についてについて解説します。

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテの意味

スリランカの現在の首都は、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ(Sri Jayawardenepura Kotte)です。
スリランカの人たちはコーッテーと呼びます。

長い名前ですが、意味を理解すれば覚えられます。

  • シュリー=聖なる
  • ジャヤ=勝利
  • ワルダナ=芽生え・成育・進歩・発展
  • プラ=都
  • コーッテー=元々の地名

シンハラ語では「シュリー」と発音しますが、英語表記をカタカナに置き換えた日本語表記では「スリ」と書きます。
シンハラ文字では「コーッテー」と発音しますが、英語表記をカタカナに置き換えた日本語表記では「コッテ」と書きます。

尊称を冠した長い首都名

世界で最も長いとされる首都名は、ヒンドゥー教の神々の名前によって装飾されたタイの首都「バンコク(タイ語でクルンテープ)」です。

タイ語は修飾語が後ろにつくため、「クルンテープ」の後ろに尊称が長く続きます。

■バンコクのタイ語による正式名称
クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット

■バンコクの正式名称の意味
インドラ神がヴィシュヴァカルマン神に命じてお作りになった、神が権化としてお住みになる、多くの大宮殿を持ち、九宝のように楽しい王の都、最高・偉大な地、イン神の戦争のない平和な、インドラ神の不滅の宝石のような、偉大な天使の都。

スリランカの首都はバンコクほどには長くありませんが、首都を移転した際に尊称をつけたため長くなっています。
シンハラ語の場合は、前に修飾語がつくため「コッテ」の前に尊称が並んでいます。

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ=「聖なる勝者となる都・コッテ」です。

ちなみに、スリジャヤワルダナプラコッテを漢字で書くと、「曾理邪夜和瑠蛇那波古手」らしく、難読漢字の界隈では、少し有名です。

コロンボ県にあるスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ市

1985年まではスリランカの首都はコロンボ市でした。

現在も西部州の州都はコロンボ市であり、
コロンボ県の県都はコロンボ市です。

国の行政上の首都のみがコロンボ市からスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ市に移転されました。

コロンボ市の旧国会議事堂からスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ市の国会議事堂までは12kmの距離しか離れていません。
首都移転としてはかなり近場への移転です。
他の国の首都移転や首都機能移転の距離としては以下のようになっています。

  • ブラジル:1,200キロ(リオデジャネイロ→ブラジリア)
  • オーストラリア:500キロ(メルボルン→キャンベラ)
  • ドイツ:500キロ(ボン→ベルリン)
  • 日本:480キロ(京都→東京)
  • ミャンマー:380キロ(ヤンゴン→ネピドー)
  • マレーシア:35キロ(クアラルンプール→プトラジャヤ)

マレーシアのプトラジャヤとスリランカのスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテは最大都市からほど近い首都で似ているとも言えます。

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ市への遷都は、同じコロンボ県内のかつての王国の都に遷都しています。

日本で例えると、東京23区(旧東京市)から武蔵国の国府が置かれていた同じ東京都内の「府中」に遷都し、尊称をつけて「聖なる勝者となる都・府中」と名付けたものの、現地の人たちはこれまで通りに「府中」と呼んでいるようなものと考えると、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ市がどんなところか、なんとなく想像がつくかと思います。

スリの意味

スリはシンハラ文字ではシュリ(ශ්‍රී)と書き、サンスクリット語で「栄光、富、高貴、美、輝き」などを意味する言葉「シュリー」に由来します。

シュリー・ガネーシャ、シュリー・クリシュナなどヒンドゥー教の神々の敬称、
シュリーナガル、シュリーカーラハスティ、シュリーランガムなどヒンドゥー教やシク教の聖地・寺院・町の敬称、
シュリ・シュリ・ラビ・シャンカール、シュリニヴァーサ・ラマヌジャンなどヨガの達人などへの敬称や人命にも使われます。

スリランカの国名の「スリ・ランカ(聖なる島)」
世界自然遺産に登録されている「スリ・パーダ(聖なる足跡)」
世界文化遺産に登録されている仏歯寺「スリ・ダラダー・マーリガーワ(聖なる歯遺物の宮殿)」
その他、スリランカにある多くのヒンドゥー寺院や一部の仏教寺院の名前の冒頭に「スリ(Sri、ශ්‍රී)」とつきます。

ジャヤの意味

ジャヤ(ජය)は「勝利」を意味します。

オリンピック・パラリンピックのスリランカの応援コールとしてNHKに紹介されているのは、「ジャヤ(ජය)ウェーワー(වේවා )」です。
ウェーワーは、「なりますように」という意味で、ジャヤ・ウェーワーは「勝ちますように!」という応援コールになります。

朝の挨拶「スバ(素晴らしい)ウダーサナック(朝)ウェーワー(なりますように)」
昼の挨拶「スバ(素晴らしい)ダワサック(昼)ウェーワー(なりますように)」
夕の挨拶「スバ(素晴らしい)サンダワック(夕)ウェーワー(なりますように)」
夜の挨拶「スバ(素晴らしい)ラートリヤック(夜)ウェーワー(なりますように)」
など、ウェーワーは挨拶でも使われる言葉です。

コロンボ港に最初に作られたコンテナターミナルの名前は「ジャヤ・コンテナ・ターミナル」と言います。

コロンボ港については、以下の記事を参照ください。

スリランカ・インド・日本でのコロンボ港東ターミナル開発事業を再開

ワルダナの意味

ワルダナ(වර්ධන)は「〜になる、成長する、もたらす」を意味し、スリランカのファミリーネームによく見られます。

ジャヤワルダナ(ජයවර්ධන):「勝者になる」の意味
グナワルダナ(ගුණවර්ධන):「良い性格になる」の意味
シリワルダナ(සිරිවර්ධන):「きれいになる」の意味
ダナワルダナ(ධනවර්ධන):「お金持ちになる」の意味
など

コロンボからスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテに首都を移転した時の大統領がジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナです。

ジャヤワルダナ大統領については以下の記事で取り上げているので、興味のある方は読んでみてください。

日本を分割占領から守ったジャヤワルダナ大統領というのは本当か?

プラの意味

プラはサンスクリット語で「都」を意味します。

世界文化遺産に登録されている「アヌラーダ・プラ」
古代から宝石の町として知られた「ラトゥナ・プラ」
シンガポールの古名「シンハ・プラ」
など、現在も町の名前や由来になっていたりします。

スリランカ全土を最後に統一したシンハラ王朝であるコーッテー王国は、現在のエトゥラコーッテーに要塞を築き、都「ジャヤワルダナプラ(勝利をもたらす都)」を建設しています。

現在の、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテの「ジャヤワルダナプラ」は、このコーッテー王国の都の名前が由来となっています。

コーッテー王国については、以下の記事をご覧ください。

スリランカの首都にあるコッテ王国遺跡

コッテの意味

コッテは元々の地名です。
タミル語で要塞を意味する「コッティ」に由来すると言われています。
シンハラ語の発音は、「コ」も「テ」も長音の文字となっていて、そのまま読むと「コーッテー」となります。

シンハラ王朝のガンポラ王国がこの地に要塞を築き、継承国家のコーッテー王国が要塞を強固にして都としたことからコーッテーと呼ばれます。

現在のエスール・コーッテー地区は、「要塞の内側」という意味になります。
現在のピタ・コーッテー地区は、「要塞の外側」という意味になります。

コロンボのペター地区はタミル語の呼び名で、シンハラ語ではピタ・コトゥワ(要塞の外側)という意味になります。
コロンボのフォート地区は英語の呼び名で、シンハラ語ではコトゥワ(要塞)と呼びます。

まとめ

本記事では、分かりにくい・覚えにくいと言われるスリランカの首都名の意味と由来について紹介しました。

続いて、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ市の概要、観光スポットについて紹介します。

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参考サイト

ウィキペディア:シュリーナガル
ウィキペディア:シュリーカーラハスティ
ウィキペディア:シュリーランガム
ウィキペディア:シュリ・シュリ・ラビ・シャンカール
ウィキペディア:シュリニヴァーサ・ラマヌジャン
List of Hindu temples in Sri Lanka
List of Buddhist temples in Sri Lanka
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