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スリランカにおけるイースター(イースターの起源とグットフライデー)

2023年4月07日

2023年4月7日はイースターのグットフライデーで、スリランカでは祝日です。

クリスマスよりも大切とも言われるキリスト教のお休み「イースター」について、紹介していきます。

イースターとは?

イースター(復活祭)とは、十字架にかけられて処刑されたイエス・キリストが復活したことを記念するお祭りです。

イエスの降誕(誕生)を祝うクリスマスよりも、復活を祝うイースター(復活祭)の方が、キリスト教では重要だとされています。

キリスト教徒の聖書は旧約聖書(ユダヤ教の聖書と同様)と新約聖書がありますが、新約聖書がより重視されます。
その新約聖書の中でもコアとなるのが福音書です。
福音書とはイエス・キリストの伝記のことで、聖書には4つの福音書が掲載されています。

このうち、イエスの誕生について記載しているのは、マタイによる福音書とルカによる福音書の2つです。

一方で、イエスの復活についてはマルコによる福音書には詳しい経緯の記述はありませんが、4つの福音書に記載があることと、死んだイエスが復活したという奇跡がイエスをキリスト(救世主)という特別な存在であることを表しているため、イースターの方がクリスマスよりも大切とされています。

イースターは移動休日ですが、クリスマスは12月25日に固定されているため、キリスト教徒以外にも分かりやすいため、広まったのではないかと言われています。

復活祭当日は「イースターサンデー」といい、この日を起点としてイースター休暇の日程が決定します。

復活祭は春分の日の後の最初の満月後の日曜日とされており、毎年日付が変わります。
この日がイエスが復活した日とされます。

キリスト教国ではイースターサンデー前の金曜日(グットフライデー)からイースターサンデーの翌日の月曜日(イースター・マンデー)の4連休となる国が多いです。

オーストリアでは2週間ほど祝われているそうです。

キリスト教国では2021年のイースター休暇は4月15日(金)から4月18日(月)の4連休となります。

イースター休暇の初日「グットフライデー」

スリランカでは、イースター休暇の初日、イエスが処刑された金曜日「グッドフライデー」が祝日となっています。

キリストは罪人として処刑されますが、キリストが処刑されたことでキリストを信じた人の罪がなくなったということで”グット”フライデーと呼ばれるそうです。

イースター当日は必ず日曜日ですので、キリスト教徒にとっては基本的に3連休となり、キリスト教国の多くは翌日の月曜日(イースター・マンデー)も祝日のため、4連休となります。

イースターサンデーは春分の日の後の最初の満月後の日曜日とされており、スリランカでは満月祭(ポーヤデー)と日程が近くなります。

キリストは13日の金曜日に処刑されたと言われており、13日の金曜日が不吉と言われる由来だとも言われています。

イースターの語源

ドイツ北部の低地(ニーダーザクセン州)のゲルマン系のザクセン人が春分に祀っていた女神エオストレ(Eostre)が語源とされています。

英語でイースター(Easter)、ドイツ語でオースタン(Ostern)と言います。

エオストレが春の多産の象徴である野うさぎを従えていたことが、イースターラビットにつながっていきます。

クリスマスが北欧のゲルマン人の風習を取り込んだお祭りで、北欧ではクリスマスのことを冬至祭りを意味する「ユール」と呼ぶように、イースターもゲルマン人の風習を取り込んだお祭りで、ドイツやゲルマン人が入植したイギリスではイースターと呼びますが、フランス・イタリア・ロシア・ギリシャなどではユダヤ教の過越祭を意味するパスハ(Pascha)と呼ばれています。

スリランカにおけるクリスマス

なぜ、春分の日の後の最初の満月後の日曜日なのか?

ユダヤ教の過越に由来する

イースターはかつて、ユダヤ教の祝日「過越」の日に合わせて祝っていました。
ゲルマン系ではない国々で、イースターと呼ばずに、過越(パスハ)を意味する言葉と呼ぶのはこのためです。

フランス語ではパーキ(Paques)
イタリア語ではパスクア(Pasqua)
ロシア語ではパースハ(Пасха)
ギリシャ語ではパースカ(
Πάσχα)

過越はヘブライ人がエジプトから脱出したことを祝う日で、ユダヤ暦の正月であるニサン月の14日に祝われます。
ニサン月は現在の暦で3月頃で、14日は15夜と言われるように満月の日である15日の前日です。

ニサン月の14日は太陰太陽暦であるユダヤ暦のため、曜日が毎年異なります。
一方で、キリスト教ではイエスが復活した日を日曜日・イエスの日として優先します。

次第に、キリスト教徒はイエスの復活日を、過越の後の日曜日に祝うようになります。
そして、ニサン月は春分を有するユダヤ暦における正月なので、
春分の日の後の最初の満月(過越)の後の日曜日にお祝いするようになります。

西方教会と東方教会でイースターの日は異なる

キリストの復活日は太陰太陽暦のユダヤ暦で記録されているため、太陽暦から計算して日にちを割り出す必要があります。

このことをコンプトゥス・パスカーリスと言います。
コンプトゥス(computus)はラテン語で計算、パスカーリス(Paschalis)は復活祭の意味で、まさに復活祭の日付を計算することを意味します。

西方教会は16世紀にグレゴリオ暦を採用していますので、グレゴリオ暦で計算すると、2023年のイースターサンデーは4月9日になります。

東方教会は現在もユリウス暦を使っていますので、ユリウス暦で計算すると、2023年のイースターサンデーは4月16日です。
ちなみに、東方教会のクリスマスは1月7日です。

イースターに関連する祝日や祭日

スリランカでは、「グットフライデー」のみがお休みとなりますが、キリスト教にはイースターを起点にした祝日がたくさんあります。

イースターを起点にした祝日

  • 灰の水曜日(復活祭の46日前の水曜日、四旬節の初日)
  • エルサレム入城の日(1週間前の日曜日で別名パームサンデーとも呼ばれる)
  • ホーリー・マンデー
  • ホーリー・チューズデー
  • ホーリー・ウェンズデー(スパイ・ウェンズデー、ユダ裏切りの日
  • ホーリー・サーズデー(洗足木曜日、最後の晩餐を記念する日)
  • グット・フライデー(受難日、キリストが処刑された日)
  • ホーリー・サタデー(復活徹夜祭、聖土曜日)
  • イースター・サンデー(復活祭、キリストが復活した日)
  • イースター・マンデー(キリスト教国の多くが休日)
  • 昇天祭(復活祭から40日後の木曜日)
  • ペンテコステ(聖霊降臨、昇天祭の10日後、復活祭から50日後)
  • トリニティ・サンデー(ペンテコステの1週間後の日曜日)
  • 聖体祭り(トリニティ・サンデーの後の木曜日)

キリストが断食を行ったという話にならい、伝統的には肉、乳製品、卵などを食べることが禁止され、復活祭の日に解禁になり、豪華な食事をします。

エルサレム入場の日がパームサンデー(Palm Sunday)とも呼ばれるのは、勝利を象徴するヤシの枝をキリストが通るエルサレムの道に人々が投げ込んだことに由来します。

ココヤシ・キトゥルヤシ・アラックについて理解が深まる『ヤシ酒の科学』濱屋悦次 著

イースターのシンポル「イースターエッグ」

クリスマスのシンポルがクリスマスツリーやサンタクロース、ハロウィンのシンボルがかぼちゃのように、イースターにもシンボルがあります。

イースターのシンボルは「イースターエッグ」と「イースターラビット」です。

イースターエッグはたまごをカラフルに彩ったものや、お菓子のたまごなどで「たまごは生命の誕生の象徴」です。
イースターラビットはイースター・エッグを運んでくるとされており、「ウサギは繁栄の象徴」でもあります。
また、イースターでは、たまごを使った遊びが知られています。

代表的な遊びは以下の3つです。

エッグ・ハント」はイースターエッグを隠して探させる遊び。
エッグ・ロール」はたまごを割らないように転がす遊び。
エッグ・レース」はたまごをスプーンに乗せて落さないように競う遊び。

コロンボにある教会

コロンボには長い歴史を持つ教会が多くあり、イギリスのガイドブック「ロンリー・プラネット」でも紹介されています。

礼拝はシンハラ語、タミル語、英語で行われ、それぞれの時間が決められていることがほとんどです。

St.Anthony’s Church

教会やヒンドゥー寺院が多いコロンボ13(Kotahena)に位置し、地元のカトリック教徒が多く集まる教会です。
英国の旅行ガイドブック「ロンリープラネット」などにも紹介されており、博物館も併設された観光客も訪れる場所です。

観光客にも人気なコロンボのローカル市場、ペターにも近い場所にあります。

2019年4月のイースターの日に爆発被害を受けた教会の一つです。

St.Lucia’s Cathedral

コロンボ最大の教会とも言われ、ゴッシク様式の巨大な白い大聖堂とその柱が、どこか古代ギリシャを思わせます。

2世紀以上前に、カトリックオラトリオ会士の宣教師によって建てられました。

第二次世界大戦中、日本海軍が行ったコロンボ空襲で教会のドームが被害を受けたと言われています。

参考)
Wikipedia:St. Lucia’s Cathedral

St Thomas’s Church

スリランカ最古の英国教会。

キリストの十二使徒の一人、聖トマスはキリスト教の布教のために、インドに訪れたとされていますが、コロンボにも来たと伝えられ建てられた教会です。

スリランカ連続爆破テロ事件について

2019年4月21日、イースターサンデーの朝にスリランカで同時爆発テロが発生しました。

3つの教会(コロンボ、ニゴンボ、バッティカロアの教会)と、
3つの5つ星(シャングリラコロンボ、キングスバリー、シナモングランド)
合計6か所が連続して爆破されました。

死者は259人、けが人は500人以上にのぼったといわれています。

【現地から詳細解説】ホテルと教会が狙われたスリランカ連続爆発テロまとめ

まとめ

今回はイースター休暇の初日である「グットフライデー」とイースターについて紹介しました。

スリランカは仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教と多宗教が共存する国です。

それぞれの祝祭日にどんな意味があるのかが分かると、より楽しく滞在できるかと思います。

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データで徹底解説!スリランカの民族・宗教構成とその分布

参考

ウィキペディア「復活祭」
ウィキペディア「復活大祭」
ウィキペディア「卵転がし」
Wikipedia「Ēostre」
ウィキペディア「サクソン人」
ウィキペディア「ニーダーザクセン州」
ウィキペディア「過越」
ウィキペディア「ユダヤ暦」
ウィキペディア「復活日論争」
ウィキペディア「ユリウス暦」
ウィキペディア「コンプトゥス」

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