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色粉と水を掛け合う恋の祭り&魔女の人形を焼く「ホーリーフェスティバル」

2021年3月28日

タイの水掛け祭り「ソンクラーン」のように、町中で有無を言わさず、だれかれ構わず色粉・色水を掛け合うお祭り「ホーリ」。
音楽を流して歌って踊ったりするのも、ソンクラーンと似ています。

毎年、3月の満月の日に魔女の人間を焼く焚き火を行い、その翌日に色粉・色水を掛け合います。
2021年は3月28日の日没とともに1日目が始まり、2日目は3月29日です。

本記事では、カラーフェスティバルとも、ラブフェスティバルとも言われる、ホーリー祭りについて解説します。

ホーリーフェスティバルとは?

ホーリーフェスティバル(Holi Festival)は、春の訪れと豊穣を祝うお祭りです。
ヒンドゥー暦の11月(グレゴリオ暦の3月)の満月の日と、その翌日に祝われます。
つまり、3月のポーヤデーと毎年同じ日になります。

1日目をホリカ・ダハン、2日目をドゥルヘンディと呼びます。

ホリカ・ダハンでは、魔女の人形の焚き火をして、悪魔祓いをします。

ドゥルヘンディでは色粉を人にふりかけたり、水を含ませてべっとりと顔に塗ったり、色粉を水に溶かして水鉄砲で人にかけて、「ハッピーホーリー」を掛け声とともに騒ぎます。

音楽が流され、それに合わせて踊って歌うこともあります。

この日だけは無礼講が許され、階級・性別・年齢・宗教は関係ないとされています。

インドやネパールなどヒンドゥー教徒が多い国では広くみられますが、コロンボではホーリーフェスティバルの様子はあまりみられません。

私は未確認ですが、スリランカではタミル人が多い北東部では見られるようです。

1日目「ホリカ・ダハン(燃死のホリカ)」

ホーリー祭(Holi Festival)の語源は、この1日目のホリカ・ダハン(Holika Dahan)と言われています。

1日目の日没頃、広場や路上でホーリカを模した女性の像を燃やして、焚き火を行います。
これは魔族に打ち勝つことを願うお祈りで、由来となる神話があります。

インド神話のアスラ(魔族)のダイティヤ族の王・ヒラニヤークシャは、大地(地母神プリティヴィー)を海の底に沈めました。

そこで、テーヴァ(天族)のヴィシュヌ神は、第3のアヴァターラ「ヴァラーハ(猪)」となって、大地を持ち上げ、ヒラニヤークシャを倒します。

ヒラニヤークシャの兄弟のヒラニヤカシプは、宿敵のヴィシュヌ神を倒すため修行を積み、ブラフマー神に願いを叶えてもらいます。

それは以下のような体を手に入れることです。

天族からも魔族からも殺されない、
人間からも動物からも殺されない、
屋内でも屋外でも殺されない、
日中でも夜でも殺されない、
弓矢や剣でも殺されない、
陸上でも水中でも空気中でも殺されない体。

ヒラニヤカシプはその体で得て、天族から天界を奪い、ヒラニヤークシャの無念を晴らします。
ところが、無敵となり、天界を支配したヒラニヤカシプは「祈るべき神は私しかいない!」と傲慢になります。

そんな父が嫌になり、息子のプラフラーダは、ヴィシュヌ神を厚く信仰します。

宿敵ヴィシュヌ神を信仰することを許せないヒラニヤカシプは、息子を殺そうとしますが、ヴィシュヌ神の加護のよって守られて殺せません。

そこで火から身を守る布を持つ妹・ホリカに協力してもらい、息子を殺そうとします。
ホリカにプラフラーダと一緒に火の中で座るように依頼します。

ところが、火が燃え上がった時、ホリカの布はホリカから離れ、プラフラーダを包み込み、プラフラーダは無傷、ホリカは焼死します。

この話がホーリーの由来になっています。

ヴィシュヌ神は、プラフラーダにヒラニヤカシプを、
夜でも日中でもない夜明けに、
屋内でも屋外でもない玄関口で、
に誘い出すように指示します。

そして、ヴィシュヌ神は、
半分人間で半分ライオンの第4のアヴァターラ「ナラシンハ」となり、
陸上でも水上でも上空でもない自分の膝の上で、
弓矢で剣でもないライオンの爪で
ヒラニヤカシプを殺しました。

プラフラーダの孫がマハーバリで、
マハーバリの名を関した世界遺産を有する町「マハーバリプラム」には
クリシュナ・ボールという奇岩があります。

シーギリヤロックが、地球の歩き方『世界の魅力的な奇岩と巨石139選』に掲載!

2日目「色粉と水を掛け合う無礼講のお祭り」

ホーリー祭が別名、Festivals of Love、Festival of Coloursと呼ばれるのは、クリシュナ神の神話によるものです。

クリシュナ神はヴィシュヌ神の8番目のアヴァターラともされます。

クリシュナ神は赤ちゃんの時に毒入りの母乳を飲まされたため肌が青黒いのを気にしていました。
(シヴァ神も乳海攪拌の時に毒を飲み込んでいるため青黒い肌で表現されます)

そんなクリシュナは、隣町に住む肌が白くて美しい娘・ラーダーの好意を寄せていました。

クリシュナが母に相談すると、
ラーダーに「好きな色で僕の顔を塗って!」
とお願いしてみたらどう?とアドバイスをもらいます。

そこでクリシュナは色粉を持ってラーダーのところに行き、ラーダーに好きな色粉で顔を塗って!とお願いします。
ラーダーはクリシュナの顔を色粉で塗り、クリシュナもラーダーの顔を色粉で塗り、2人は恋人になります。

ラーダーは、ヴィシュヌ神の妻・ラクシュミーのアヴァターラとも言われます。

現在のお祭りでは恋人以外でも、身分も関係なく、「ハッピーホリー!」の掛け声のもと、色粉や色水を掛け合います。

早めに開催される「ラスマー・ホーリー」

ホーリー祭よりも早く行われるのが「ラスマー・ホーリー(Lathmar Holi)」です。

ラスマー・ホーリーは、クリシュナが養父と母と暮らした町「ナンドガオン」と
クリシュナの恋人・ラーダーの故郷「バルサナ」で行われます。

ラスマーとは、木製の棒を意味します。

いたずら好きなクリシュナが、バルサナを訪れて気になるラーダーをからかったので、ラーダと女友達がその仕返しに、クリシュナを木の棒で叩いて追い払ったという言い伝えに由来します。

これに倣って、ナンドガオンの男たちは南7キロの距離にあるバルサナの町に向かいます。
バルサナにあるラーダーを祀る寺院「Shri Radha Rani Temple,Barsana」に人々が集まります。

男たちが中央に集まり、そこを囲うように女たちが集まります。
互いに色粉を投げ合います。

そして、女性たちが男性たちを棒で叩きます。
男性たちは、盾を使って身を守ることは許されているが、叩き返してはいけません。

例年、このラスマー・ホーリーは、ホーリー祭よりも早く開催されます。

クリシュナ関係の町やヒンドゥー教聖地で盛大に行われる

首都デリーと、世界遺産タージマハールで知られるアーグラの中間にある
クリシュナに関係する4つの町では、ホーリー祭は盛大に祝われます。

また、ヒンドゥー教の聖地でも盛大に祝われます。

マトゥラー(Mathura)

クリシュナが生まれたとされる町。
クリシュナが生まれた場所とされる「Krishna Janmasthan Temple Complex」があります。

ブリンダーバン(Vrindavan)

クリシュナが幼少期を過ごしたとされる町。
クリシュナを祀る寺院「Shri Shri Krishna Balram Temple」があります。

ナンドガオン(Nandgaon)

クリシュナが養父・ナンダババと、母・ヤショーダと9年と50日間過ごしたと言われています。
地名はナンダババが治めていたことに由来します。
ナンダババを祀る寺院「Shri Nandbaba Temple」があります。

バルサナ

クリシュナの恋人・ラーダーの故郷。
ラーダーを祀る寺院「Shri Radha Rani Temple,Barsana」があります。

バラナシ

ガンジス川沿いのヒンドゥー教の聖地。

カラフルなパウダーは健康的?

元々の色粉は料理やアーユルヴェーダの治療で使う天然素材から作ったもので、体に害がないものでした。

例えば、
赤:ハナモツヤクノキの花を天日干しにした粉末
黄:ターメリックの粉末
緑:ニームの木などの粉末
など。

ただ、最近は化学的に作られたものもありますので、目や口の中に入らないように気をつけましょう。

この色粉をかけるのは、カシミールでの悪魔祓いが元になっているという説もあるようです。
家に悪魔ビシャーチャが侵入するのを防ぐために泥や汚物などを投げつけて追い払ったのが色粉・色水になったそうです。

女性は気をつけた方がいい?

1年に一度、はっちゃけてしまうお祭りです。
大量の人が集まりますので、痴漢にあうことがあるそうです。

男性で服を引き裂かれた人もいるそうですが、女性がされないとも限りません。
また、暴行、レイプという事件が発生することもあるようです。

外国人女性は目立ちますので、女性単身や女性数人だけでの行動は避けた方が良いでしょう。

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参考)

世界一カラフルで世界一危険なホーリー祭とやらに行ってみた
Travel Book【インド】ホーリー祭の観光ガイド:色粉をばらばけ! 世界一危険でカラフルなお祭り
オマツリジャパン 過激さ世界一!インド ホーリー祭に参加するには!?行き方や注意点を解説!
AFP BB News ラトゥマー・ホーリー」 カラフルな粉かけ合うヒンズー教の祭り
AFP BB News ヒンズー教の春の祭典「ホーリー」 ウイルス警戒も開催 インド
National Geographic 地方独自の風習、インドのホーリー祭
インドで最も熱狂的なホーリーを求めて聖地ブリンダーバンへ【連載】世界の都市をパチリ (15)
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