ベントタ周辺のジェフリーバワ建築まとめ〜11ヶ所を一挙紹介!〜
ジェフリーバワのホテルに泊まることを目的にスリランカを訪れる人がいるほどにバワ建築は人気です。
そんなバワ建築が最も集中している町がベントタです。
ベントタは政府が国策としてビーチリゾートを開発し、その一環でホテルや駅舎の設計をバワに依頼したため、多くのバワ建築があります。
ベントタには、綺麗なビーチ、マングローブの森が生茂るベントタ川など、バワ建築以外にも魅力的なものがあります。
ぜひバワ建築のホテルに泊まり、建築とベントタの豊かな自然を楽しんでいただけたらと思います。
本記事ではバワ関連の場所11か所を紹介しています。
それぞれの詳細は、リンク先の個別の詳細ページをご覧ください。
目次
ルヌガンガ:ジェフリーバワ週末の別荘
ルヌガンガ(Lunuganga)はバワが建築家になる前から他界するまで生活と創作の拠点であった特別な場所です。
バワはイタリアの湖畔にあるヴィラを買って住むつもりでしたが、予定通りにいかずにスリランカに帰国。
1948年、デッドゥワ湖畔(Dedduwa Lake)ゴム農園だった土地を買いルヌガンガ(塩の川)と命名します。
イタリア式庭園、イギリス式庭園、日本庭園、スリランカ古来のウォーターガーデン、古代ギリシャ・ローマ世界の彫像が融合した独特の世界観を生み出しています。
バワがデザインした椅子などの家具が多く置いてあり、他のホテルにも使われたデザインのものもあり、バワ好きには堪らないコレクションとなります。
また、バワがメイドを呼ぶために設置した14つの鐘もあり、彼の生活を垣間見ることができるのはここならでは。
庭園は一般公開され、建物はカントリーハウスホテルとして運営されています。
見学は1日2回行われている1時間半のガーデンツアーに参加する必要があります。
ルヌガンガには宿泊することができ、6つの客室があります。
各客室と、メインバンガローは宿泊者しか入れませんので、バワ建築ファンなら1度は泊まりたいホテルです。
ナンバー5@ルヌガンガ:イナ・ダ・シルワ邸
ジェフリーバワ生誕100周年の記念イベントの一環として、2019年9月にバティックアーティストのイナ・デ・シルヴァの邸宅がヌルガンガに移築、公開されいました。
1962年にイナ・ダ・シルワの夫のオスムンドがバワに設計を依頼し、コロンボに建てられました。
2009年にイナ・ダ・シルワが邸宅が建っていた土地の売却を希望したことからルヌガンガ財団がルヌガンガへの移築プロジェクトを行っています。
ブティック87:旧リディア・グナセカラ邸
ブティック87(Boutique 87)はバワがルヌガンガを構成する一つとして構想した場所とされています。
1720年に建てらたスリランカ伝統のショップハウスをイタリア人女性彫刻家のLydia Petroniaが1970年代に買い取り、ジェフリーバワが改装を手掛けたものです。
18エーカーにも及ぶ広い敷地がありますが、客室はたった2部屋のみというブティックホテルです。
バワがLydiaに建物を二つ購入するように勧めたそうですが、もう一つの建物はゴールロード沿いに建っています。
当初はゴールロード沿いに入口があったそうだが、バワは180度回転させて建物が庭に面するように変えたそうです。
ブティック87に宿泊せずにガーデンツアーにのみ参加することもできます。
■ブティック87のガーデンツアーの概要
【料金】一人2,000ルピー
【人数】最小4名、最大20名
大きな池、枝が這うように伸びる中に静かに立つ中国式の大きな壺、池に浮かぶ島に立つ大きな木、朽ちた遺跡のような教会、土地の境界線を示すモニュメント、バワが弟子たちに講義をした場所、バワが紅茶やコーヒーを飲んでいた場所など、見所が多くあります。
日が暮れると、庭の各所にキャンドルが灯され、木々がライトアップされます。
バワ建築は朝、昼、晩と時間の経過とともに表情を変えるのが魅力の一つです。
宿泊すれば、それが存分に味わえます。
パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ・ベントタ:旧モホッティ・ワラウワ
パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ(Paradise Road The Villa)は19世紀にこの地域を治めていたモホティさんの家として建てられたものを、バワがブティックホテルとして改装したものです。
現在は有名雑貨店「パラダイス・ロード(Paradise Road)」がホテルを経営しています。
パラダイス・ロードらしい白と黒の色使いでインテリアが統一されています。
まっすぐに伸びる屋外プールも印象的。
敷地の真横には線路があり、そこを超えた先はビーチです。
パラダイス・ロードの商品を集めたショップが併設されていて、お土産の購入に便利です。
パラダイス・ロードはコロンボの旧バワ事務所である「パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ(Paradise Road The Gallery Cafe)」を経営していますが、このヴィラにもカフェが併設されていて、美味しい料理が食べられます。
カフェは宿泊客以外でも利用ができるので、他のホテルに泊まってこちらで食事をすることもできます。
夕食時はキャンドルでライトアップされたムーディーな雰囲気の中で食事が楽しめます。
クラブ・ヴィラ
クラブ・ヴィラ(Club Villa)は日本のばんせい証券が経営するブティックホテルです。
こちらはバワが友人のために設計したもの。
バワが設計した椅子とテーブルが並ぶ、広々とした庭にはよく日が当たり、緑の芝生が綺麗でとても心地良いです。
洒落たお部屋は手編みのバティック(東南アジア産のろうけち染の布)とペインティングで装飾されています。
ロビーにある、バワお気に入りのアーティスト「ラキセナナヤケ」の壁画にも注目してみてください。
シナモン・ベントタ・ビーチ:旧ベントタ・ビーチ・ホテル
シナモン・ベントタ・ビーチ(Cinnamon Bentota Beach)はジェフリーバワ生誕100周年プロジェクトの一環として、2017年から3年間の改装を終えて、2020年1月にリニューアルオープン開業しました。
バワが設計する建物に多く採用されたラキ・セナナヤケ(Laki Senanayake)、イナ・デ・シルヴァ(Ena de Silva)、バーバラ・サンソーニ(Barbara Sansoni)の作品を多く取り入れたホテルです。
スリランカのアーティストの作品をホテルで活用していくバワの建築スタイルの一つの方向性が決まったとも言われるバワの初期のホテルです(ジェフリーバワが46歳の時に設計)。
ジェフリーバワの弟子「チェンナ・デスワッタ」監修の下、各アーティストの後継者、建築家、アーティスト、デザイナーなどが当時の作品群の復元に取り組みつつ、新しい作品も加わっています。
メインの建物は、30部屋だったものを16部屋のスイートルームに変更し、8人のアーティストによって、部屋がそれぞれデザインされています。
外の庭はバワの兄、ベヴィス・バワによって設計されたものだそうです。
また、このホテルは城壁のような石の壁の上にホテルが建っていますが、これはオランダ東インド会社が作った小さなフォート(要塞)の上に建てたもので、フォートの城壁が一部使われています。
アヴァニ・ベントタ・リゾート&スパ:旧セレンディブ・ホテル
アヴァニ・ベントタ・リゾート&スパ(Avani Bentota Resort & Spa)はスリランカ政府のベントタ観光開発計画でバワがベントタ・ビーチ・ホテルの次に手がけたビーチリゾートホテルです。
ビーチに面して横に伸びる2階建ての宿泊棟は大きな赤茶色の瓦屋根が特徴的です。
屋根には四角く穴が開いており、2階客室のバルコニーからもビーチが見えるように設計されています。
この不思議なデザインは、バワ建築の特徴のひとつ。
気づかれづらい場所にあるので、探索して見つけてみてください。
プールは2つあり、奥のプールがバワのオリジナルデザイン。
ヘリタンス・アーユルヴェーダ:旧ザ・ネプチューン・ホテル
ヘリタンス・アーユルヴェーダ(Heritance Ayurveda)は、アルスガマの北隣の町、ベルワラ(Beruwala)にある本格的なアーユルヴェーダリゾート。
草木が茂る整えられた広い庭を、送迎用の車で抜けるとレセプションがあります。
レセプションの先にはラキ・セナナヤカのレリーフがあります。
さらに進むと、バルコニーからプールと、ヤシの木、砂浜の海の眺めが見てとても美しいです。
ここでは、アーユルヴェーダドクターの診断の元、各自にあった施術・食事・薬が用意されるため、薬が置かれる宿泊者用の棚があります。
ヘリタンスアフンガッラ:旧トライトン・ホテル
バワが最初にインフィニティープールを導入したホテル。
ベントタから南に15kmほどのアフンガッラの町にあります。
バワの傑作ホテルと言われるヘリタンス・カンダラマにもインフィニティープールはありますが、バワが最初にインフィニティープールを作ったのがこちらのホテルです。
比較的安く泊まることができます。
兄ベヴィスバワの自邸&庭園「ブリーフ・ガーデン」
兄ベヴィス・バワ(Bevis Bawa)は造園家として知られています。
ベントタ郊外にあるブリーフ・ガーデン(Brief Garden)にはミステリーの女王アガサ・クリスティーや、オーストラリアの著名芸術家のドナルド・フレンドなど世界の著名人が訪れています。
ガイドツアーがあり、決まった時間に回るルヌガンガとは違い、こちらは自由に見学するスタイルです。
なお、こちらに宿泊することはできません。
見学して回ると、ルヌガンガとの共通点と相違点が見られ、非常に興味深いです。
ドナルド・フレンドはベヴィスの恋人と言われ、ブリーフガーデンに6ヶ月間ほど滞在し、多くの作品を創作しています。
バワ兄弟はゲイだったそうです。
このドナルド・フレンドは後に、ジェフリー・バワをバリ島のサヌールに招聘して、アジアリゾートの源流となる別荘「バトゥシンバ」を建てています。
さらにその後、アマンリゾートのエイドリアン・ゼッカはバトゥシンバのドナルド・フレンドの別荘に住んだことからアマンリゾート、アジアンリゾートの原点としてジェフリー・バワの存在が知られることになります。
ブリーフ・ガーデンには日本庭園もあり、バワ建築が日本人の心に響くそのバックグランドが垣間見えるように思います。
ベントタ駅、ベントタ・リゾート・ビレッジ
アヴァニ・ベントタから歩いてすぐのところにあるベントタ駅も、ジェフリーバワによる設計です。
駅のメンテナンスはアヴェニ・ベントタが行なっています。
駅はツーリストビレッジにもなっており、陸橋、公共スペース、交番、郵便局、銀行、人口の池、ショッピングアーケードなどが作られました。
陸橋を渡った先のビーチ側は公共の遊び場として作れ、今も使われています。
遊び場にはスリランカ伝統のアンバラマ(Ambalama:修行者、商人、旅行者が旅路で休憩するための小屋)に模したシェルターが作られましたが、それは残念ながら今はなくなっています。
ベントタのバワ関連スポットの地図
ルヌガンガ、ブリーフガーデンはゴールロードから離れていますので、事前にタクシーを手配しておくのが便利です。
ベントタにも配車アプリのPickMeの車両は見つかりますが、あまり台数がなく待つことになります。
また、見学中はドライバーさんに待っていてもらわないといけませんので、途中でドライバーさんにキャンセルされたり、急かされたりすることもあります。
ゆっくり自分のペースで見学するには、車の手配を事前にされていくことをお勧めいたします。
ベントタは、彼の作り出した世界をビーチリゾートと共に楽しめる格好の場所です。
スリランカファンだけでなく、多くの人々を引きつけるバワ建築の魅力。
バワが理想とした自然と一体となった空間を、ベントタで味わってみてください。
参照)
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